心理的安全性とは?組織の心理的安全性を高める方法を解説します

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ビジネスにおける心理的安全性とは、組織のなかで自らの意見や思いを安心して発信できる状態を意味します。

本コラムでは、心理的安全性の意味や重要視されている背景や心理的安全性を高める方法、ポイントなどを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

心理的安全性とは

心理的安全性

まずは、「心理的安全性」の意味について確認しましょう。

自分の考えや気持ちを安心して発言できる状態のこと

心理的安全性とは、組織のなかで自分の考えや思いを安心して発信できる状態のことです。具体的には「意見や考えを発信しても、嫌われたり否定されたりしないと確信できる状態」を意味します。

心理的安全性は、ハーバード大学の組織行動学者であるエイミー エドモンソン氏により提唱されました。

心理的安全性が注目されている背景

心理的安全性が注目を浴びたきっかけは、Googleが「心理的安全性の高いチームのパフォーマンスは高い」と発表したことです。 Googleは「プロジェクト・アリストテレス」と呼ばれるチームを立ち上げ、効果的な組織の条件を調査しました。その結果、組織内の人員構成よりも、どのような組織であるかという規範の部分が重要であると判明しました。

また、以下の5つの項目のうち、「心理的安全性が最も重要」という結論も出しています。

  • 心理的安全性:リスクのある行動をしても否定されないと信じられ、チームのために発言しても大丈夫と思える状態
  • 相互信頼:チームメンバーに対し、業務を時間内にかつ高品質で仕上げてくれると感じられる状態
  • 構造と明確さ:チームが持つ役割や達成のためのプロセス、チームや個人の業務目標が明確になっている状態
  • 仕事の意味:取り組んでいる仕事そのものや、仕事による成果には意味があると思える状態
  • インパクト:自分がやっている仕事には意義があり、社内外に対して良い変化を与えると信じている状態

心理的安全性の高い組織は、従業員の離職率が低く、収益性も高いことがわかっています。

以上のような背景があり、ビジネスシーンで心理的安全性に注目が集まるようになりました。

心理的安全性を損なう4つの不安

心理的安全性を損なう4つの不安について解説します。自社や所属するチームに該当するものがないか確認してみましょう。

無知だと思われる不安

無知だと思われる不安とは、何か質問をしたときに「こんなこともわからないのか」と思われてしまうのではないか、という気持ちです。このような不安を抱いていると、職場でわからないことがあってもなかなか質問できなくなります。その結果、十分なコミュニケーションが取れず、認識のズレや問題の放置につながる可能性があります。

無能だと思われる不安

無能だと思われる不安とは、自分の能力が低いと思われることに対しての不安のことです。具体的には、職場で失敗をしたときに「こんなこともできないのか」と思われることを懸念する気持ちを指します。

無能だと思われることに不安がある場合、その人は自分の失敗を認めなかったり、ミスを隠ぺいしたりする可能性が高いです。その結果、ミスの発見が遅れて取り返しのつかない事態に発展するリスクが考えられます。

邪魔をしていると思われる不安

邪魔をしていると思われる不安とは、自分が組織の輪を乱しているのではないかと不安に感じることです。「自分の居場所を失うことへの不安」と言い換えることもできるでしょう。

「自分が邪魔をしている」と不安に思うと、その人は会議などの発言が求められる場において意見を述べにくくなります。結果として、他人の意見に同調するだけとなり、組織のクリエイティビティが損なわれる原因となります。

ネガティブだと思われる不安

ネガティブだと思われる不安とは、否定的な意見ばかり言っていると思われることへの不安です。会議などの話し合いの場において、各人の意見が相反するケースは少なくありません。

しかし、自分がネガティブだと思われることに不安をもっている人は、問題点や懸念点を指摘しづらくなります。その結果、議論が不十分なまま意思決定がなされ、組織が良くない方向に進むリスクが生じるでしょう。

心理的安全性がもたらす職場・企業へのメリット

心理的安全性が高いことによる、組織側の代表的なメリットを紹介します。

イノベーションが生まれやすくなる

心理的安全性が高い組織は、イノベーションが生まれやすくなります。組織として心理的安全性が高ければ、従業員は臆することなく自分の意見を表明できるでしょう。その結果、活発な意見交換が行われ、革新的なアイデアの想起につながる可能性があります。

また、現状と違うものに取り組もうとした際、受け入れてもらえる安心感があると、新しいことにチャレンジしやすくなります。価値のあるイノベーションが生まれれば、業績アップや企業価値の向上が見込めるでしょう。

生産性が向上する

組織の心理的安全性が高まり、嫌われたり否定されたりしないと確信できていると、一人ひとりが自分らしく働きやすくなります。 結果として、個人の能力を発揮しやすくなるため、企業全体の生産性が向上するでしょう。

多様な能力を持つ人材が集まる

心理的安全性が高く、多様な価値観や意見が認められる組織だと周知された場合、多様な個性や能力をもった人材が集まりやすくなります。

同じような価値観をもつ者同士より、多様な価値観や能力をもつ人が組織に集まったほうが、今まで出てこなかったような意見やアイデアが生まれやすく、組織のクリエイティビティが高まるでしょう。

定着率が高まる

心理的安全性が高いと、従業員は職場に居心地の良さを感じ、長く働きたいと考えるようになります。のびのびと業務を進められるため、従業員同士の結びつきが強くなり、結果として職場への定着率も向上するでしょう。

心理的安全性がもたらす人へのメリット

続いては、「人」に焦点を当てて、心理的安全性がもたらすメリットの一例を見ていきましょう。

パフォーマンスが向上する

心理的安全性が高まり、意見が尊重されたりスキルを発揮したりできると、従業員は組織に所属していることに喜びを覚え、職場に「居場所がある」と感じられるようになります。自分の存在が受け入れられると、不安を抱かずにやりがいをもって業務に集中できます。その結果、各人のパフォーマンスの向上が見込めるでしょう。

責任感・関心度が高まる

心理的安全性は、各人の責任感の向上にもつながります。自分が組織に貢献していると実感することで、自身の業務に対する責任感が高まります。

他人の意見に同調するだけだった従業員も自分の意見を発信し、それが受け入れてもらえるようになると、業務への関心が高まり、組織に積極的に関わるようになるでしょう。

モチベーションが高まる

心理的安全性が高まることで、従業員は安心して業務に取り組めます。その結果、ストレスが軽減し、業務にやりがいを感じるようになるでしょう。楽しく働ければ、モチベーション向上にもつながります。

各人のモチベーションが向上することで、組織全体の業績も上がりやすくなります。

組織の心理的安全性を高める方法

組織の心理的安全性を高める方法を解説していきます。できることから実践していきましょう。

お互いの存在を承認・尊重する

心理的安全性を高めるには、各人が尊重される必要があります。大切なことは、相手の存在を承認・尊重することです。特に、上司と部下の関係では、部下を萎縮させるような態度は控え、メンバー一人ひとりの存在や考えを受け入れる必要があります。相手を尊重し、人格を否定しないことを心がけましょう。

ポジティブ思考を高める

心理的安全性を高めるには、従業員に対してポジティブな思考や発言を促すことも重要です。

どのような意見も否定せず、まずは傾聴してください。仮に相手が愚痴をこぼしたとしても頭ごなしに説教するのではなく、可能な限りポジティブな方向に誘導しましょう。

発言の機会を平等につくる

発言する機会を平等につくることも重要です。会議の際、特定の人ばかりが発言することは少なくありません。司会者が1人ずつに意見を聞く、アイスブレイクを挟むなどの工夫で、各人が発言しやすい空気を作りましょう。

評価制度を見直す

評価制度も状況に応じて見直しましょう。従業員が不公平に感じている場合や上司に意見をしたら評価が下がると不安に思っている場合、組織の心理的安全性が高い状態とはいえません。

減点方式ではなく成果への加点方式にする、個人評価ではなくチームやプロジェクトごとの評価にするなどの見直しは、心理的安全性を高めることにつながります。

交流の機会を設ける

業務以外で従業員同士が交流する機会を増やすことも大切です。食事会や飲み会は、各人の意外な一面を知る良い機会となります。業務外のリラックスした場面なら、従業員同士も打ち解けやすいでしょう。

なかには、大人数の集まりが苦手な人もいます。そのような人には少人数のランチ会に誘うなど、一人ひとりへの配慮も忘れてはいけません。

心理的安全性を高めるマネジメント手法

心理的安全性を高めるために効果的な施策を3つ紹介します。

1on1

1on1とは、従業員同士でおこなう1対1のミーティングのことです。業務のことだけでなく、プライベートに関しても腹を割って話すことで、お互いの結束感を高める効果があります。心理的安全性の重要性にいち早く気付いたGoogleでも実施されている施策です。

OKR

OKRとは「Objectives and Key Results」の略で、「目標と主要な結果」という意味があります。達成目標と、達成度を測る主要な成果を設定する手法です。

具体的には、まず組織としての目標を設定し、そこから各人の目標を設定します。これにより、組織の目標と個人の目標に整合性が保たれるため、従業員は常に目標を見失わずに業務に取り組めます。全員が同じ方向に向かって進むことで、連帯感を生む効果も期待できるでしょう。

まとめ

心理的安全性とは、従業員が安心して自分の意見を発信できる心理状態のことです。心理的安全性が高い組織では、クリエイティビティが刺激され、イノベーションが生まれやすくなります。

また、各人が積極的に業務に取り組めるため、パフォーマンスの向上も期待できます。心理的安全性を高めるには、各人が安心感をもつことが重要です。

自社の心理的安全性を高め、高いパフォーマンスを発揮する組織へとレベルアップさせましょう。

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