スキルなしでもフリーランスになれる可能性を解説

「スキルなしでフリーランスになりたい」と考える人は少なくありません。しかし結論から言えば、本当に何のスキルも経験もない状態でフリーランスになることは非常に厳しいのが現実です。仕事を自ら獲得し、成果で報酬を得るフリーランスにとって、一定以上の専門性や実務経験は必要不可欠です。

また、企業はフリーランスに即戦力として期待して仕事を発注する場合が多くあります。HiProが発表した「副業・フリーランス人材白書2025」では、企業がフリーランス人材を活用する目的として「即戦力となる人材・スキルを確保する」が1位となっています。

出典：HiPro「副業・フリーランス人材白書2025」

とはいえ、今スキルがないからといってフリーランスになれないわけではありません。転職や副業を通じて段階的にスキルを身につけながら、将来的にフリーランスを目指すという選択肢もあります。

▼関連記事
フリーランスとは？はたらき方や仕事内容、必要な準備、仕事の選び方などまとめて解説！

フリーランス市場の現状と未経験者の立ち位置

フリーランス市場はここ数年で拡大を続け、エンジニアやデザイナー、ライター、マーケターといった専門職の案件が豊富に募集されています。

また、ハイクラス層のフリーランスは、「経営・経営企画」「営業」「法務・知財」に携わっている割合も多いことがわかっています。

出典：HiPro 『副業・フリーランス人材白書』

しかしその一方で、企業は即戦力人材を求める傾向が強く、未経験者がいきなりフリーランスとして受け入れられるケースは稀です。

実績がゼロの場合、仮に仕事を受注できたとしても単価が低い場合も多く、長期的に続けるには困難を伴うことも多いでしょう。まずはスキルを獲得し、実務経験を積むことが、フリーランス市場での信頼獲得につながります。

フリーランスというはたらき方の多様性と自分に合った始め方

フリーランスと一口に言っても、はたらき方にはさまざまなスタイルがあります。常駐型のフリーランスや、フルリモート、副業としてのフリーランス活動など、はたらき方の幅が広がっているのが近年の特徴です。

また、最初から独立を目指す必要はありません。たとえば、副業としてスキルを磨きながら、少しずつフリーランスの感覚を掴んでいくという始め方もおすすめです。クラウドソーシングやマッチングサービスを活用すれば、副業レベルでも実案件に触れることが可能です。

「自分に合ったはたらき方は何か？」「どんなスキルなら自分でも身につけられそうか？」を見極めながら、段階的に準備を進めていくことが、長く安定して活動できるフリーランスへの第一歩です。

▼関連記事
フリーランスになるには？フリーランスの始め方を5ステップで解説
副業でフリーランスというはたらき方のメリットや注意点、始め方について解説

未経験フリーランスが直面する主な課題

即戦力が求められる市場でスキルなしが不利になる理由

フリーランス市場は、企業が即戦力を求めて人材を探す場です。企業は、プロジェクトをすぐに推進できる人材を求めているため、未経験でスキルがない場合、不利になりやすい傾向があります。

会社員とは異なり、企業はフリーランスに即戦力としてのはたらきを期待する傾向が強く、成長段階の人材に対しては慎重になることもあります。そのため、案件を獲得できたとしても、期待される成果を出せなければ、次回の依頼にはつながらない可能性が高いでしょう。

収入の不安定さや案件獲得の難しさに対する心構え

専門的なスキルなしからフリーランスに転身した場合、収入が安定するまでに時間がかかる可能性があるため、あらかじめ備えておくことが大切です。実績がないため、案件の獲得自体が難しく、たとえ獲得できたとしても、最初は低い単価の案件からスタートせざるを得ない場合もあるでしょう。

収入の不安定さを乗り越えるためには、生活費を抑える、貯蓄を確保する、副業と並行するなど、さまざまな対策を講じておくことが重要です。

また、HiProが発表した『副業・フリーランス人材白書』によると、副業・フリーランス活動をするときの課題として「新規案件の獲得が難しい」「継続的に案件の獲得ができない・難しい」が上位に挙がっています。案件獲得の難しさに対しても、心構えや対策が必要といえるでしょう。

▼関連記事
フリーランスの案件獲得術｜高単価案件の探し方や長期で受注するための方法を解説

自己管理能力と主体的な問題解決スキルが特に重要

フリーランスは、会社員と違って上司や同僚からの指示やサポートがありません。そのため、自分で計画を立て、実行し、進捗を管理する自己管理能力が不可欠です。また、問題が発生した際には、誰かに頼るのではなく、自分で解決策を見つけ出す主体的な問題解決スキルも求められます。未経験の場合、特に最初のうちは分からないことや困ることが多く発生するでしょう。そのような状況でも、諦めずに自分で調べたり、積極的に情報収集したりする姿勢が大切です。

案件を継続しやすい人の特徴とは？

フリーランスとして活躍を続けるためには、案件を受注するだけでなく、クライアントから継続的に依頼される関係性を築くことが大切です。

案件が継続しにくいケースでは、以下のような課題が見られることがあります。

一方で、案件を継続的に受けている方の多くは、上記のようなポイントを意識しながら、クライアントとの信頼関係を丁寧に築いています。

たとえば、納期を守ることはもちろん、こまめな連絡や進捗共有、課題の早期相談などが信頼につながります。また、常に一定以上の品質を維持し、クライアントの期待を少しでも上回るよう努力する姿勢も重要です。

これらの点を意識することで、未経験からでもフリーランスとして長く活躍できる可能性を高められます。

フリーランスに必要な「スキル」とは何か？

フリーランスとして活躍するために必要なスキルは、多様です。ここでは、フリーランスに必要なスキルを3つの視点から解説します。

汎用スキル（営業力・資料作成・マネジメント）も武器になる理由

専門スキルがなくても、どのような職種や業界でも活用できる「汎用スキル」を武器にすることで、フリーランスとして活躍できる道はあります。

具体的には、以下のようなスキルが挙げられます。

これらの汎用スキルは、フリーランスとして活動する上での土台となる重要な要素です。これらのスキルを磨くことで、活躍できる可能性があります。

専門スキル（IT・人事・広報・財務など）をどう商品化するか

「専門スキル」と聞くと、高度な技術や資格が必要なイメージを持つかもしれません。しかし、必ずしもそうではありません。会社員時代に培った経験や知識も、立派な専門スキルになり得ます。

たとえば、以下のようなスキルが考えられます。

これらの専門スキルを商品化するためには、自分の強みを明確にし、ターゲットとする顧客層を絞り込むことが重要です。そして、実績を積み重ねることで、スキルに信頼性を与え、高単価案件を獲得できる可能性が高まります。

フリーランスに欠かせない「課題解決能力」とは？

フリーランスとして重要なスキルの一つが「課題解決能力」です。これは、クライアントが抱える問題を分析し、適切な解決策を提案・実行する能力のことを指します。

たとえ専門的な知識が不足していても、課題解決能力が高ければ、クライアントの期待に応えられる可能性があります。

課題解決能力を構成する要素は以下のような内容です。

課題解決能力は、経験を通じて磨かれるものです。まずは小さな案件からスタートし、PDCAサイクルを回しながら、徐々にスキルアップしていくことが大切です。

ここまでに解説したフリーランスに必要なスキルを整理すると、以下のようにまとめられます。

スキルなしからフリーランスを目指すための準備

スキルなしからフリーランスを目指すためには、入念な準備が不可欠です。ここでは、フリーランスとしての一歩を踏み出すために必要な3つの準備ステップを解説します。

1.自己分析と明確な目標設定でフリーランスとしての方向性を決める

まず行うべきことは、徹底的な自己分析です。自分の強み、弱み、興味、価値観を深く理解することで、フリーランスとしてどのような分野で活躍できるのか、どのようなはたらき方をしたいのかが見えてきます。

自己分析の具体的な方法としては、以下のようなものが挙げられます。

過去の経験の棚卸し

これまでの仕事や経験を振り返り、得意だったこと、楽しかったこと、成果を上げたことなどを洗い出します。

スキル・知識の洗い出し

自分が持っているスキルや知識をリストアップします。専門的なスキルに加え、コミュニケーション能力や問題解決能力などの汎用的なスキルも重要です。

興味・関心の明確化

自分が興味を持っていること、関心があることを明確にします。好きなこと、楽しいことを仕事にすることで、モチベーションを高く維持しやすくなるでしょう。

価値観の明確化

仕事を通して何を大切にしたいのか、どのような貢献をしたいのかを明確にします。自分の価値観に合った仕事を選ぶことで、充実感を得やすくなる傾向があります。

自己分析の結果を踏まえ、フリーランスとしての明確な目標を設定しましょう。「〇〇のスキルを活かして、〇〇の分野で活躍する」「〇〇なはたらき方を通して、〇〇を実現する」など、具体的な目標を設定することで、モチベーションを高く維持し、行動を継続できる可能性が高まります。

2.副業からスタートしてリスクを抑えつつ実績と経験を積む

収入の不安定さや案件獲得の難しさから、スキルや実績が十分でない段階で独立を目指す場合は、一定のリスクを伴う可能性があります。まずは副業からスタートし、実績と経験を積み重ねていくことをおすすめします。

副業としてフリーランスを始めるメリットは以下の通りです。

副業として始める際には、本業に支障が出ないで活動できる案件を選びましょう。実績と経験を徐々に積み重ねていくことで、自信を持ってフリーランスとして独立できます。

3.必要なスキル習得計画を立てる

フリーランスとして活躍するためには、専門スキルだけでなく、営業力、コミュニケーション能力、自己管理能力などのさまざまなスキルが必要です。自己分析の結果を踏まえ、自分に必要なスキルを明確にし、習得計画を立てましょう。

スキル習得計画を立てる際のポイントは以下の通りです。

スキル習得は、フリーランスとしての成長に不可欠です。計画的にスキルアップを図り、市場価値を高めていきましょう。

フリーランス初心者が案件を獲得する実践的な方法

スキルなしからフリーランスを目指す上で、最初の案件をどう獲得するかは非常に重要な課題です。ここでは、フリーランス初心者が実績を積み重ねていくための、実践的な方法を3つご紹介します。

クラウドソーシングサイトを利用する

クラウドソーシングサイトは、スキルや経験が少ないフリーランスにとって、案件獲得の登竜門とも言える存在です。さまざまな案件が掲載されており、自分のスキルや興味に合った仕事を見つけやすい点が特徴です。

クラウドソーシングを利用するメリットは以下の通りです。

ただし、クラウドソーシングサイトでは、競争率が高く、単価が低い案件も存在します。提案文を工夫したり、ポートフォリオを作成したりするなど、積極的にアピールすることが重要です。また、実績を積むにつれて、徐々に単価の高い案件に挑戦していくと良いでしょう。

フリーランスマッチングサービスやエージェントを利用する

フリーランスマッチングサービスやエージェントは、あなたのスキルや経験に合った案件を紹介してくれる、頼りになる存在です。営業活動が苦手な方や、高単価案件に挑戦したい方におすすめです。

フリーランスマッチングサービスを利用するメリットは、以下のとおりです。

• 自分の能力や希望に合った仕事を見つけやすくなる
• 自分で営業先を探す手間を省ける
• クライアントからのオファーやスカウトを受けられる可能性がある

一方、フリーランスエージェントを利用するメリットは、主に以下の通りです。

• 福利厚生サービスを利用できる場合がある
• 高単価案件を紹介してもらえる可能性がある
• 契約交渉や事務手続きを代行してくれる

ただし、エージェントを利用する際には、手数料が発生する場合があります。また、自分の希望に合った案件を紹介してもらえるとは限りません。複数のサービスに登録して、比較検討することをおすすめします。

SNSや人脈を活用する

SNSや人脈も案件獲得の強力な武器になります。積極的に情報発信をしたり、交流会に参加したりすることで、新たな機会につながる可能性もあります。

SNSや人脈を活用するメリットは以下の通りです。

SNSを活用する際には、自分の専門分野に関する情報を発信したり、他のフリーランスと交流したりすることが重要です。また、人脈を広げるためには、積極的にイベントに参加したり、オンラインコミュニティに参加したりすると良いでしょう。

スキルなしからフリーランスを目指す人からよくある質問

Q1.本当に何のスキルもない状態からでもフリーランスになれますか？

何のスキルもない状態からフリーランスになるのは、簡単ではありません。企業はスキルや経験を持つ人材を求めており、フリーランスは即戦力として期待されているためです。

そのため、ある程度スキルや経験を身につけたうえで、フリーランスとして独立するとよいでしょう。

まずは、副業として簡単な案件に挑戦し、必要なスキルを身につけたり、実績を作ったりすることが大切です。経験を積む中で自分の得意なことや興味のある分野を見つけ、フリーランスとして独立するためにスキルアップを目指しましょう。

Q2.フリーランスとして生活できるようになるまでの期間と収入の目安は？

フリーランスとして生活できるようになるまでの期間は個人差が大きいため、一概には言えません。スキルなしの状態からスタートする場合、まずは副業として始め、徐々に収入を増やしていくのがおすすめです。

未経験からすぐに高収入を目指すのは難しいですが、スキルアップと実績作りを重ねることで、徐々に収入を上げていくことは可能です。

Q3.フリーランスになるためにはどんなスキルが必要ですか？

フリーランスとして仕事を得るには、「企業が外注したくなる理由」が必要です。その理由の多くは、特定の専門スキルを持っていることにあります。たとえば、以下のようなスキルはフリーランス市場でニーズが高い分野です。

• 営業
• 社内のデジタル化・IT化
• 業務プロセスの改善・効率化
• マーケティング・広告宣伝
• 新規事業創出・推進
• 経営・経営企画

出典：HiPro『副業・フリーランス人材白書』

上記のような仕事では、専門スキルだけでなく、高いコミュニケーションスキルが求められます。複数のメンバーや外注先と連携しながら、プロジェクトを推進できるマネジメントスキルも大切です。

▼関連記事
フリーランスの営業職とは？仕事内容やメリット、注意点を解説

Q4.会社員がフリーランスとして独立前にやっておくべきことは？

会社員からフリーランスになる前に、以下の準備をしておくことをおすすめします。

これらの準備をしっかりと行うことで、独立後のリスクを軽減し、スムーズなスタートを切りやすくなるでしょう。

スキルなしからフリーランスを目指すなら計画的に取り組みましょう

スキルなしでフリーランスを目指すことは、決して不可能ではありません。しかし、成功するためには、しっかりと準備をして計画的に取り組む必要があります。

スキルなしでもフリーランスになれる職種はありますが、スキルがある人に比べて案件を獲得するハードルは高くなりがちです。まずは副業から始めスキルを蓄積し、徐々にフリーランスとしての活動を増やしていきましょう。