フリーランスになって後悔している人は多い？

フリーランスになった人すべてが後悔しているわけではありません。むしろ、一定の満足度は得られているという調査結果があります。

HiProの調査によると、副業・フリーランスを経験した人のうち、メンバークラス層では6割以上、ハイクラス層では約8割が「満足している」と回答しています。

ただ、すべての人が順調とは限りません。収入の波・孤独感・自己管理の負担などに直面し、「想定していたはたらき方と違った」と感じるケースも少なからずあります。

後悔する人がゼロではない以上、あらかじめリスクや現実を知っておくことが大切です。十分な準備を行うことで、後悔を感じにくく、安定して活動できる可能性が高まります。

出典：HiPro「副業・フリーランス人材白書2025」

▼関連記事
フリーランスは本当にやめたほうがいいのか？後悔しないための注意点を徹底解説

フリーランスになった人によくある後悔と対策

フリーランスとして自由にはたらきたいと思っても、現実とのギャップに悩む人は多いです。特に、収入・はたらき方・信用・人間関係などで戸惑うケースが目立ちます。

よくある後悔とその対策を知っておけば、あらかじめ準備や心構えができるでしょう。ここからは、フリーランスになった人によくある後悔とその対策を紹介します。

収入が不安定で将来が不安

収入が安定しないことに不安を感じる人は少なくありません。フリーランスは、毎月の売り上げや依頼数が一定とは限らず、予測が難しいはたらき方です。

対策としては、以下のような工夫が必要です。

• 生活費の6か月分を貯めておく
• 固定案件を1〜2本確保しておく
• 年間での収支を見て計画を立てる

フリーランスは収入が変動しやすいことを念頭に置くことで、将来の不安を軽減できる可能性があります。

▼関連記事
フリーランスの年収はいくら？平均・手取りを徹底解説！

低単価案件の獲得が多く稼げない

単価が低い案件ばかりを受けてしまい、労力に見合った収入を得られず、後悔につながるケースも少なくありません。

経験が浅い時期は、実績作りのために安い仕事を受けることも多いと思いますが、受注前に時給換算する習慣をつけたり、単価交渉を行ったりすることが大切です。得意分野に絞って専門性を高めることも効果的な手段といえるでしょう。

想定よりも案件を獲得できない

フリーランスになっても、すぐに仕事を獲得できるとは限りません。

HiProの調査においても、「新規案件の獲得が難しい」「継続的に案件の獲得ができない・難しい」が副業・フリーランス活動をするときの課題として挙げている人材が多く、案件獲得はフリーランスにとって大きな壁となっていると言えるでしょう。

出典：HiPro「副業・フリーランス人材白書2025」

対策としては、以下のような方法があります。

• ポートフォリオを整える
• プロフィールや提案文を見直す
• マッチングサービスや知人経由の紹介も視野に入れる

案件を獲得できない期間も想定に入れ、継続的な営業活動を行うことが重要です。

▼関連記事
フリーランスの案件獲得術｜高単価案件の探し方や長期で受注するための方法を解説

税務処理や確定申告に苦戦

税務処理や確定申告に悩むフリーランスは多いです。特に、経理に慣れていない人にとってはストレスになりかねません。

HiProの調査によると、「確定申告が面倒・難しい」と回答した割合は、ハイクラス層で28.2%、メンバークラス層で33.6%と高めの傾向があります。

出典：副業・フリーランス人材白書2025（HiPro）

税務処理や確定申告には、レシートの整理や帳簿の記入、申告書の提出などの作業が発生します。申告が遅れたり、申告内容を間違えたりすれば、延滞税や加算税が発生するリスクもあるため注意が必要です。

負担を減らすには、会計ソフトを導入する、税理士に相談する、早めに記録をつけるなどが効果的です。

税務処理は後回しにせず、仕組みを作って管理していきましょう。

▼関連記事
【税理士監修】フリーランスが納める税金の仕組み・節税対策を徹底解説
【税理士監修】フリーランスは確定申告が必要？ケース別の判断基準やメリット、やり方を解説

孤独になり、相談できる人がいない

フリーランスは基本的にひとりではたらくため、孤独を感じやすくなります。家族や周囲に同じはたらき方をしている人がいない場合、悩みを共有できずに苦しくなることがあるでしょう。

主な対策は、以下のとおりです。

• オンラインコミュニティや勉強会に参加する
• SNSで同業者とつながる
• フリーランス仲間と定期的に情報交換する

孤独感を軽減するためには、自ら積極的にネットワークを築く姿勢が有効といえます。

はたらきすぎて生活が不規則になっている

フリーランスは仕事量を自分で決められますが、逆に言えば「休みがない状態」になるリスクもあります。

たとえば、納期が重なった月に毎日夜中2時まではたらき、朝は子どもの世話をするというような生活が続くことも珍しくありません。

スケジュールに休息日を組み込んだり、納期や作業量を事前に調整したりすることが大切です。また、ときには案件を断る勇気も必要です。過度の労働は長期的な健康リスクを招く可能性があるため、生活リズムの維持に努めることが望ましいでしょう。

スキルアップへのプレッシャーを感じている

フリーランスは実力がなければ案件を継続して受けられず、不安がつきまといます。

特にITやWeb業界は技術の進化が速く、数年でスキルが陳腐化します。「勉強しないと取り残される」というプレッシャーを感じる人は多いです。

対策としては、以下の方法があげられます。

• 定期的に学習の時間を確保する
• セミナーや勉強会に参加する
• 業界の最新情報をチェックする

スキルアップは不安の回避だけでなく、仕事の幅を広げるための手段として捉え、積極的に取り組むことが推奨されます。

仕事とプライベートの切り替えができない

フリーランスは自宅で仕事をする人が多いため、オンとオフの切り替えが難しくなります。

仕事を始めたのに家事に気を取られたり、夜までパソコンに向かってしまったりと、集中力や生活の質にも影響が出る可能性があります。

仕事時間と家族時間を明確に分けたり、作業場所を固定したり、ToDoリストを導入して作業を管理したりすることが大切です。

生活と仕事の境界線を自分で引けるようになると、パフォーマンスも上がりやすくなります。

フリーランスで成功しやすい人の特徴

フリーランスで安定的に活躍している人には、いくつかの共通点があります。ただスキルがあるだけでなく、思考や行動の特徴に強みがある人が多いです。

ここからは、フリーランスで成功しやすい人の特徴を詳しく紹介します。

▼関連記事
フリーランスに向いている人の特徴まとめ｜向いていない場合の対策も紹介

明確なビジョン・目的がある人

明確なビジョンや目的を有する人は、フリーランスとして安定した活躍を実現しやすい傾向にあります。目標がはっきりしていると、やるべき行動を自分で判断しやすくなります。

たとえば、「将来は地元の中小企業を支援するWebディレクターになりたい」と明確な方向性がある人は、営業先、スキル習得、情報発信などに一貫性が生まれます。

逆に、「何となく自由にはたらきたい」とだけ考えていると、行き当たりばったりになり、継続的な成長が難しくなる可能性が高まります。

自分の軸を持っている人ほど、ブレずにフリーランスを続けやすくなります。

継続的に学び続ける力がある人

継続的に学び続ける力がある人は、フリーランスとして長く活躍できます。変化が速い業界では、過去の成功パターンがすぐに通用しなくなることがあるためです。

日頃から学び続ける習慣が身についていると、新しいツールや技術の習得にも前向きに取り組めます。自分のスキルを「資産」として育てる意識があるため、仕事の幅も収入も安定しやすくなるでしょう。

自己管理が得意で計画的な人

自己管理が得意で計画的に動ける人は、フリーランスとして成功する可能性を高められます。フリーランスは会社員と違い、納期・体調・学習のすべてを自分で管理する必要があるためです。

以下のように先回りして動ける人は、トラブルを防ぎやすくなります。

• 毎月の営業スケジュールを事前に組む
• 休む日を決めておく
• 作業内容をタスクごとに細分化する

逆に、計画なしに動くと納期遅延や体調不良につながる恐れがあります。自己管理が疎かになりクライアント信用を失うと、次の仕事にも影響が出かねません。

計画を立てて、自分のコンディションと業務をコントロールすることが大切です。

積極的にコミュニケーションを取れる人

積極的にコミュニケーションを取れる人は、フリーランスでも信頼を得やすくなります。クライアントとのやりとりを通じて、良好な関係を築けるためです。

たとえば、提案の背景を丁寧に説明したり、納期に遅れそうなときは事前に連絡したりといった行動が、信頼につながります。やりとりがスムーズな人ほど「またお願いしたい」と思われやすくなるでしょう。

また、他のフリーランスや知人とつながっておけば、紹介や協業のチャンスも広がります。案件を安定させるうえでも、対人関係は無視できません。

変化を楽しめるチャレンジ精神がある人

変化を楽しめるチャレンジ精神がある人は、フリーランスに向いています。状況が目まぐるしく変わる環境でも、前向きに工夫しながら進めるためです。

たとえば、AIなどの新しい技術に興味を持って試したり、営業のやり方を都度見直して改善したりと、時代の流れに合わせて柔軟に行動しましょう。

環境の変化にストレスを感じるのではなく、「面白そう」と捉えることが大切です。環境の変化を前向きに捉え、柔軟に行動を重ねることで、長期的な活躍の可能性を拡大できます。

すでに後悔しているフリーランスが取るべき対処法

「思っていたはたらき方と違った」「収入が不安定でつらい」と感じている人も、対処次第で状況は変えられます。あきらめずに改善を重ねることで、フリーランスとして選択できる領域や案件の幅が拡大する可能性があります。

次に紹介する方法から、まず一歩を踏み出してみましょう。

さまざまな業界・職種の知見を活かす

さまざまな業界・職種の知見を活かすことで、フリーランスとしての新たな道を開けます。一つの分野にこだわりすぎると、案件の幅が狭まり、収入やモチベーションにも影響が出かねません。

たとえば、営業職からWebデザインに転向した場合、前職の知識を活かして「営業支援LP制作」に特化したサービスを立ち上げるなどです。業界の課題がわかっているぶん、提案力と信頼性も強みになるでしょう。

まずは、今まで経験した仕事、関わってきた業界、人脈や得意なジャンルを整理することが大切です。過去のキャリアを切り離すのではなく、今の武器として組み合わせて活用していきましょう。

マッチングサービスやエージェントを活用する

マッチングサービスやエージェントを使えば、スキルや希望条件に合った業務委託案件を紹介してもらうことが可能です。

クライアントとの交渉・契約・請求まわりも代行してもらえるため、作業に集中できます。そのため、営業の負担を軽減したい場合や、リソース不足で案件獲得が難しい場合に有効な手段となります。

また、案件数が多いため、単価や継続性の比較もしやすく、自分のスタイルに合った選択ができます。

スキルの再構築・専門性を確保する

スキルの再構築・専門性の確保は、フリーランスとして活躍するために重要な要素です。なんとなく続けていた仕事に限界を感じたら、一度立ち止まって学び直すことも選択肢の一つといえます。

たとえば、Web制作を続けてきた人は、SEO（検索エンジン最適化）やUI/UXの専門性を高めることで単価アップと差別化につなげられるでしょう。自分の得意分野を明確にして、業務の質を高めることが収入の安定にもつながります。

学び直す際は、以下のような手段が有効です。

• オンライン講座で知識を更新する
• 資格取得や検定を受けて専門性を証明する
• 実案件でのフィードバックをもとに改善する

専門性を持つことで「選ばれる理由」が生まれ、クライアントからの信頼も得られやすくなるでしょう。

フリーランスとして後悔したくない人によくある質問

フリーランスになる前に気になる疑問は多くあります。特にキャリアやタイミング、年齢との関係について不安を抱く人は少なくありません。

ここでは、フリーランスとして後悔したくない人によくある質問に、わかりやすく回答します。

Q.フリーランスから会社員に戻る際に評価されるポイントは？

フリーランスから会社員に戻る場合でも、スキルや経験が評価されるケースは多くあります。大切なのは「何をしてきたか」を具体的に伝えることです。

たとえば、「Webディレクターとして3件の新規案件を企画・進行し、1社とは保守契約にも発展した」といった成果は説得力があります。企業に勤めていなくても、実績を数値や具体例で示せればアピール材料になるでしょう。

また、自ら営業を行った経験、クライアントとの折衝、進行管理など、企業にとって再現性の高いスキルも評価されやすくなります。

Q.フリーランスになるならどのタイミングが適切？

フリーランスになるタイミングとして適切なのは、実績・人脈・資金の準備がある程度整った段階です。「仕事がない状態」でいきなり始めると、焦りや後悔につながる可能性があります。

独立に向けては、次のようなポイントを確認しましょう。

• 副業で継続案件を経験している
• ポートフォリオや営業準備が整っている
• ある程度の生活費を確保している
• 社会保険・税金の知識を持っている

上記を意識して準備すれば、タイミングを見極めやすくなります。

Q.フリーランスで後悔しやすい年齢層は？

特定の年齢層が後悔しやすいということはありません。フリーランスとして後悔するかどうかは、それぞれの状況や感じ方によって異なります。

むしろ重要なのは、年齢よりも「独立前の準備」です。20代であっても十分なスキルと計画があれば成功できますし、40代、50代でも準備不足であれば失敗する可能性があります。

年齢や状況に応じた戦略と環境整備を十分に整えることで、後悔せずにフリーランスを続けられるでしょう。

フリーランスについての理解を深め、後悔を防ぐ

独立を考えているなら、理想だけでなく現実も含めてフリーランスというはたらき方を多面的に理解することが大切です。後悔を防ぐためには、自分に合った準備とタイミングを見極めることが出発点になります。

自由にはたらくという選択を後悔につなげないために、自分の価値観やライフスタイルに合ったキャリアをじっくり描いていきましょう。

▼関連記事
フリーランスとは？はたらき方や仕事内容、必要な準備、仕事の選び方などまとめて解説！
フリーランスになるには？フリーランスの始め方を5ステップで解説