40代からでも目指せるフリーランス|経験を活かした自由なはたらき方を実現する方法

「40代からフリーランスを目指せる?」「会社員経験しかないけれど独立は可能?」
上記のような不安や疑問を感じている人は多いのではないでしょうか。
40代でのフリーランス転身は、遅い選択と捉える必要はありません。むしろ、これまでに培った経験や実績、人脈を活かせる点が多く、キャリアを生かした独立の形を描きやすい年代ともいえます。
本記事では、40代フリーランスの実態や向いている職種、メリット・デメリットを解説します。
40代フリーランスの実態

まずは、40代フリーランスの実態について解説します。
フリーランスの人口は40代後半が最も多い
総務省の調査によると、フリーランス人口は「45~49歳」が24.5万人で最も多いという結果が出ています。
出典:基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方~令和4年就業構造基本調査の結果から~(総務省)
会社員として十分なキャリアを積んできたことで「自分の力で仕事ができる」と自信を持ち、独立する人が多い傾向にあります。
40代は、フリーランスとして活躍する人が最も多い世代です。年齢を理由にためらう必要はありません。
40代からのフリーランスが前向きに考えられる3つの理由
「今からフリーランスは遅いかも」と不安に思う人もいるかもしれません。しかし実際には、40代だからこそ活かせる強みがあります。ここでは、40代からのフリーランスが前向きに考えられる3つの理由を紹介します。
豊富な経験と実績が信頼につながる
豊富な経験と実績は、40代フリーランスならではの大きな強みです。クライアントは「安心して任せられる人」に仕事を依頼したいと考えるため、長年のキャリアは大きな信頼材料となります。
たとえフリーランスとしての経歴が浅くても、会社員時代に積み重ねてきた職歴や成果が、そのまま即戦力の証明になります。
たとえば、営業職で活躍していた人が独立後に営業研修の講師や営業支援を行うケースもあります。資料作成や戦略提案のスキルを活かして、クライアントに価値を提供できるのです。
40代では、積み重ねた経験そのものが大きな武器となり得ます。実績を活かして信頼を得やすい点は、独立後に強みとなるでしょう。
「人脈」という名の資産が案件獲得の強みになる
フリーランスになる際に、人脈は案件獲得に直結します。
長くはたらいてきた人ほど、社内外で信頼関係を築いた相手が多くなる傾向にあります。そのつながりが、独立後の紹介案件や業務提携に結びつくケースもあるでしょう。
元同僚からの紹介や、以前の取引先からの依頼など、信頼関係をもとにした仕事の機会は少なくありません。こうした人脈は、クラウドソーシングやマッチングサービスを利用せずとも安定した収入につながる可能性があります。
長年の経験を通じて培った「人とのつながり」は、40代だからこそ活かせる大切な資産といえるでしょう。
ライフステージの変化に対応できる柔軟なはたらき方が選べる
40代は、子どもの進学や親の介護など、一般的に家庭環境が変化しやすい時期でもあります。
フリーランスであれば、仕事の時間や場所を調整しながらはたらくことができ、ライフステージの変化に柔軟に対応できます。
たとえば、日中は家庭の用事に時間を使い、夜に仕事を進めるといったスケジュールも可能です。会社員では難しいはたらき方も、フリーランスなら実現できるでしょう。
こうした柔軟性は、家族との時間を大切にしながらはたらける安心感にもつながります。
40代におすすめのフリーランス案件
フリーランスが受注できる案件のなかには、マネジメント経験や専門スキルを活かせる職種が多くあります。特に、これまでの実務経験を土台にした仕事は、独立後に強みとして発揮しやすい分野です。
ここでは、40代におすすめの4つのフリーランス案件を紹介します。
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経営戦略コンサルタント
経営戦略コンサルタントは、企業の経営課題に対して中長期の戦略を立て、改善提案をする仕事です。
仕事内容と求められるスキルを下の表にまとめました。
仕事内容 | 求められるスキル |
企業の経営課題に対して戦略立案・改善提案を行う |
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経営層と直接やり取りを行うため、業界知識やビジネス全体を見渡す視点が欠かせません。管理職や事業責任者を経験してきた人は、数字の扱い方や課題の特定、提案力などで信頼を得やすい傾向があります。
たとえば、事業部長として新規事業の立ち上げに関わった経験があれば、複数企業の戦略パートナーとして活動することも可能です。顧問契約や定例相談といった継続的な依頼につながることもあるでしょう。
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新規事業開発/事業企画
新規事業開発や事業企画は、企業の新規事業開発や事業の立ち上げ期をサポートする仕事です。仕事内容と求められるスキルは、以下の表のとおりです。
仕事内容 | 求められるスキル |
新サービスの企画・立ち上げ・実行支援 |
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市場分析からビジネスモデルの構築、実行支援までを担うため、事業開発やプロジェクト推進の経験が活かされます。
たとえば、IT企業で新規サービスの立ち上げをリードした経験がある人は、独立後に複数企業の立ち上げ支援案件を獲得できる可能性があります。資金調達や採用計画のアドバイスなど、実務に即した支援が求められる場面も多いでしょう。
新規事業は実践的な視点が評価される領域です。
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プロジェクトマネージャー(PM)/PMO支援
プロジェクトマネージャー(PM)やPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)支援は、大型プロジェクトの進行管理や、進捗・品質・予算のコントロールを担当する仕事です。
主な仕事内容と、求められるスキルを表にまとめました。
仕事内容 | 求められるスキル |
プロジェクトの進行管理や予算・品質・人員のコントロール |
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関係者の調整やスケジュール管理、課題の早期発見など、現場での経験と冷静な判断力が求められます。40代までにプロジェクトマネジメントを複数回経験してきた人は、評価されやすくなるでしょう。
たとえば、SIer企業でPMを担当していた人は、独立後に外部PMとしてベンダーコントロールを担うことも可能です。上流工程に特化した支援で、高単価の継続案件につながるケースもあります。
プロジェクト経験を積んできた40代にとって、PMやPMO支援は独立後の軸にしやすい分野です。
中小企業向けDX・業務改善コンサル
中小企業向けDX・業務改善コンサルは、デジタル技術やシステム導入を活用し、業務効率の向上をサポートする仕事です。
仕事内容と求められるスキルは、以下のとおりです。
仕事内容 | 求められるスキル |
中小企業の業務効率化・DX支援を実行面までサポート |
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リソースが限られている中小企業では、現場に寄り添った実行支援が重視されます。業務フローや組織運営に詳しい40代の人は、課題の発見から改善提案まで一貫して対応できる点が評価されやすいでしょう。
たとえば、バックオフィス責任者の経験がある人なら、経理や人事の自動化ツール導入を支援し、改善の伴走サービスまで提供できます。現場に即した提案ができれば、リピート依頼や顧問契約にもつながる可能性があります。
中小企業の「かかりつけアドバイザー」としての役割が期待される分野であり、経験豊富な40代と相性が良いといえそうです。
40代からフリーランスになることで得られるメリット
ここでは、40代までに培ってきた経験・キャリア・人脈を活かした4つのメリットを紹介します。
問題解決力・柔軟性・信頼構築力が強みになる
長年の仕事経験で培ってきた「トラブル対応力」や「状況判断力」は、40代フリーランスの大きな武器になります。
たとえば、急な納期変更や仕様変更といったトラブルにも冷静に対応できれば、クライアントから「安心して任せられる人」として再依頼につながりやすくなります。
経験を通じて身につけた判断力は、成果の質だけでなく信頼関係づくりにも直結します。
これまでのキャリアを土台に「第二のスタート」ができる
会社員として積み上げた経験や専門性は、独立後の仕事にもそのまま活かせます。
無理に新しい分野に挑戦しなくても、これまでの得意分野をベースにした形で新しいキャリアを築くことも可能です。
「これまでの仕事人生が、次のステージの武器になる」と考えると、前向きに一歩を踏み出しやすくなるでしょう。
独自の人脈を活かした案件獲得がしやすい
独自の人脈を活かして案件を獲得しやすい点も、40代フリーランスのメリットです。
職場・取引先・社外ネットワークなど、広範囲にわたる人脈が形成されている場合、そのつながりが、独立後の紹介案件や共同プロジェクトにつながるケースも珍しくありません。
信頼関係ができている相手からの依頼は、条件交渉や継続性の面でも安定しやすくなります。
人脈は、営業にかける時間やコストを大きく減らせる資産です。
40代でフリーランスになることで考えられるデメリット
40代でフリーランスになると、メリットだけでなく注意すべきリスクもあります。ここでは、特に意識しておきたい3つのデメリットについて解説します。
経済的責任が大きく、収入の不安定さの影響が大きい
経済的責任が大きい40代は、収入の不安定さが生活に直結しやすくなります。
住宅ローンや子どもの教育費、生活費など、一般的に支出が多い年代であることが理由です。会社員のように毎月一定の収入があるわけではなく、月によって売り上げが大きく変動するため、収入が少ない場合は家計に影響を及ぼします。
たとえば、継続案件の契約が終了し、次の仕事がすぐに見つからなかった場合、数か月間、収入が大幅に減少する可能性もあります。
フリーランスを目指す場合は、もしものための生活費を事前に準備し、家計の見直しや収入源の分散も視野に入れることが大切です。
社会的信用の低下が各種ローンの審査に影響する
フリーランスになると収入の安定性が証明しにくく、住宅ローンや各種ローンの審査が厳しくなる場合があります。もし独立を検討しているなら、住宅購入や大きなローン契約は会社員のうちに済ませておくと安心です。
また、開業後は確定申告を正確に行い、少しずつ信用情報を積み上げていくことが大切です。
再就職を視野に入れるなら「学び続ける姿勢」が大切
フリーランスとして活動したあとに「再び正社員として働きたい」と考える方もいるかもしれません。近年は企業側も即戦力としてミドル層を積極的に採用する動きが強まっています。
実際、転職サービスdodaの調査によると、40代以上の転職成功者の割合は2024年に16.6%となっており、2023年の14.9%から大きく伸びています。
これは、即戦力としてスキルや経験を評価する採用が広がっていることを示しています。
出典:転職成功者の平均年齢調査【最新版】年代別の転職活動のポイントは?(doda)
その一方で、最新の技術や知識への対応力が求められるケースも多いため、フリーランスとして活動している間も「学び続ける姿勢」を持つことが大切です。
実績の更新やスキル習得を重ねていけば、再就職を希望する際にも安心して臨むことができるでしょう。
40代からフリーランスを始めるなら、押さえておきたい準備ポイント
40代でフリーランスとして活動するなら、年代ならではの状況をふまえて準備しておくことが大切です。事前に整えておけば、不安を減らし安心してはたらくことができます。ここでは、特に意識しておきたい4つのポイントを紹介します。
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複数収益源で収入の不安定さを解消
フリーランスは、案件が入れ替わることが少なくありません。収入を1社や1案件に依存していると変化の影響を受けやすいため、複数の収入源を持つことで安心感が生まれます。
たとえば、平日はクライアント業務を行いながら、週末はオンライン講師として副収入を得る方法があります。また、ブログや動画といったストック型の収益を組み合わせるのも有効です。
収入の柱をいくつかに分けておくことが、安定への第一歩です。
体力と健康の自己管理
体力と健康の自己管理は、40代フリーランスにとって不可欠です。フリーランスは自分がはたらけなくなると、そのまま収入に直結します。そのため、健康を維持することも大切な「仕事の一部」と考えましょう。
毎朝のウォーキングやジム通い、ストレッチなどを習慣化することで体力を保つ、パソコン作業が多い人は、目や肩、腰のケアを行うなど、自身の体力や健康の管理を意識しましょう。
無理のないはたらき方を心がけ、定期的に休むことも長く活躍するためのポイントです。
社会保険・税金の負担を最小化する
会社員と異なり、フリーランスは健康保険料や年金保険料をすべて自己負担する必要があります。加えて、所得税や住民税、場合によっては消費税の納付も必要です。
小規模企業共済やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用すれば、将来の備えをしながら所得控除が受けられます。また、青色申告を活用することで、最大65万円の特別控除も受けられます。
使える制度を理解し、計画的に取り入れることで「手元に残るお金」を増やす工夫をしましょう。
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フリーランス保護法とインボイス制度への対応
フリーランス保護法やインボイス制度など、新しい仕組みが導入されています。これらを理解しておくことは安心してはたらくための基盤となります。
- フリーランス保護法:報酬支払期限や契約条件の明示など、取引の適正化やフリーランスの就業環境の整備
- インボイス制度:消費税の仕入税額控除を受けるための「適格請求書」に関する仕組み
今後もルールの見直しが行われる可能性があるため、最新の情報をチェックしておくことが大切です。
出典:2024年公正取引委員会フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)/インボイス制度について(国税庁)
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40代からフリーランスとして安定して活動するための戦略
40代からフリーランスを目指すなら、感覚や勢いだけで進むよりも、計画的に基盤をつくることが安心につながります。ここでは、安定した活動を実現するための3つの工夫を紹介します。
まずは副業から始めて実績を積む
まずは副業から始めて実績を積むことで、独立後の不安を減らせます。
いきなり会社を辞めるのではなく、現在の仕事を続けながら少しずつ外部案件を経験することで、自分に合ったはたらき方や単価の相場をつかめるためです。また、副業で実績や取引先をつくっておけば、独立直後に収入がゼロになるリスクも避けられます。準備期間を通じて自信と信用を積み上げておくことで、スムーズにスタートできます。
発信・人脈・コミュニティを味方につける
SNSやブログで自分の考えや実績を発信したり、勉強会やコミュニティに参加したりすることは、仕事のきっかけづくりに役立ちます。特に40代は経験や視点が豊富なため、共感や信頼を得やすいのも強みです。
仕事は「信頼経由」で発生する場面が多いものです。受け身にならず、経験や考えを言語化する習慣を持ちましょう。
長期契約・継続案件を中心に組み立てる
長期契約や継続案件を中心にスケジュールを組み立てると、安定したはたらき方がしやすくなります。たとえば、月額契約や顧問型の案件が増えると、収入の見通しが立ちやすくなり、不安や営業負担も軽減します。
長期的な関係を築ける取引先を意識的に増やすことで、落ち着いたはたらき方を実現しやすくなります。
40代フリーランスに関するよくある質問(FAQ)
40代でフリーランスを検討している人の中には、踏み出す前に不安や疑問を抱えている人も多くいます。ここでは、40代でフリーランスを目指す人によくある3つの質問に回答します。
Q1.ゼネラリストでもフリーランスになれますか?
特定の技術職ではなく、幅広い知識と経験を持つゼネラリストは、調整役や橋渡し役として重宝される場面があります。複数の業務を横断的に見渡せる力が、プロジェクトの立ち上げや改善支援、マネジメント業務などで役立つでしょう。
特定の専門スキルを磨くことも選択肢の一つですが、まずは自分の強みがどこにあるかを明確にして、ニーズのある領域で実績をつくることから始めましょう。
Q2.会社を辞める前に、準備しておくべきことは何ですか?
安心して独立に踏み出すためには、生活面と仕事面の両方で準備を整えておくことが大切です。特に次のようなポイントを押さえておきましょう。
- 生活費の確保や固定費の見直し
- 副業での実績づくりやポートフォリオの作成
- 開業届や青色申告の手続き準備
- 健康診断や体調管理の再確認
準備を丁寧に進めることで、独立後の不安を大きく減らせるでしょう。
Q3.フリーランスになったあと、再び会社員に戻ることはできますか?
可能です。実際にフリーランスとして活動したあと、再就職を選ぶ方も一定数います。企業によっては「最新のスキルを持っているか」「組織で柔軟にはたらけるか」が評価のポイントになることもあります。
そのため、会社員に戻る可能性を視野に入れる場合は、スキルや経験を常にアップデートし続けることが安心につながります。
40代の経験を力に、フリーランスとして新しいキャリアを築こう
本記事では、40代でフリーランスを目指す際の実態やメリット・留意点、安定的に活動するための具体策まで幅広く解説しました。
40代は、これまでに積み重ねてきた経験・実績・人脈が大きな強みになる年代です。会社員として培ったスキルや信頼関係を、今度は「個人の力」として活かすことで、新しいキャリアの可能性が広がります。しっかりと準備を整えれば、安定と挑戦を両立できるのも40代からのフリーランスの魅力です。
もし「これからのはたらき方を見直したい」「もっと自分らしいキャリアを築きたい」と感じているなら、まずは小さな一歩から始めてみましょう。
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