ハイクラス人材が副業をするメリットは?案件探しのコツや注意点を徹底解説

「本業の成長に限界を感じているが、転職はリスクが高い…」
「自分の専門性が社外でどこまで通用するのか、客観的に試してみたい」
キャリアの可能性が広がるハイクラス人材にとって、自身の市場価値をどのように高め、維持していくかは大きなテーマの一つといえます。
本記事では、ハイクラス人材が副業に取り組むメリットや注意点について解説します。また、ハイクラス人材が副業で求められる背景から、ハイクラス向けの案件の種類、成功への道筋まで多角的にご紹介します。
副業でハイクラス人材が求められている背景

高度な専門性を持つハイクラス人材が副業市場で求められる背景には、深刻な人材不足による企業の経営戦略の変化があります。
HiProの調査によると、副業で需要の高い職種としてマーケティング・PRや新規事業開発、事業企画などの専門職が上位を占めています。

出典:「副業」における、2023年度の振り返りと2024年度の市場予測を発表|HiPro
これは、企業がデジタルシフトや新領域への参入を急ぐ中で、内部リソースだけでは対応しきれない高度な知見や実行力を、外部から柔軟に調達しようとする動きの表れです。
正社員の採用に比べてコストと時間を抑えつつ、即戦力となるプロフェッショナルを確保できる副業は、企業にとって合理的な選択肢といえます。
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ハイクラス人材の副業の実態
ハイクラス人材の副業は、「もはや一部の先進的な個人だけの取り組みとは言い切れない状況になっています。
ハイクラス人材の17.8%が「副業経験がある」と回答
HiProが発表した「副業・フリーランス人材白書2025」によると、ハイクラス層のうち副業経験があると回答した割合は17.8%に上りました。
およそ6人に1人が、既に本業以外の舞台で自身のスキルを活かしていることを示しています。

この数値は、メンバークラス層の15.7%を上回っており、経験や役職を重ねた人材ほど、副業への関心と実践が進んでいることがうかがえます。
さらに注目すべきは、現在副業を「検討している」または「興味がある」と回答した層が28.1%に及ぶ点です。この潜在層の存在は、今後ハイクラス人材の副業がさらに一般化していく潮流を示唆しているといえそうです。
副業経験があるハイクラス人材の約80%が「満足している」と回答
副業を実践しているハイクラス人材は、その経験に高い満足度を感じています。
同調査によると、副業に対する総合満足度は80.8%という高い水準になっています。これは、メンバークラス層の満足度72.8%と比較しても約8ポイント高い結果です。

また、ハイクラス層は「自身の経験・スキルを他の分野で活かせる」「新しいスキル・経験を身につけられる」といった自己成長や挑戦に強い満足感を得ています。
このことから、副業はハイクラス人材にとって、金銭的対価に加えてキャリアを豊かにする自己実現の場として機能している可能性が高いと考えられます。
ハイクラス人材が副業に挑戦することで得られるメリット
ハイクラス人材が副業に取り組むことは、単なる収入増以上の、キャリアを飛躍させる戦略的な価値を持ちます。主なメリットは、以下のとおりです。
- 本業では得られない実践的なスキルと経験を獲得できる
- 経営層や他業界のプロフェッショナルとの人脈を形成できる
- 自身の市場価値を客観的に把握できる
- 将来の独立・起業に向けた準備になる
- 主体的に仕事を作る面白みを得られる
- 社会課題や事業課題の解決に貢献できる
以下、具体的に解説します。
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本業では得られない実践的なスキルと経験を獲得できる
副業は、意識的にキャリアの幅を広げるための絶好の機会です。
たとえば、大企業でマネジメントを担う人材が、副業でスタートアップの事業立ち上げに参画するケースを考えてみましょう。そこでは、ゼロからイチを生み出す意思決定のスピード感や、あらゆる制約の中で成果を出すための創造性が求められます。
このように、本業とは異なる環境での経験は、本業の組織に戻った際に、新たな視点や柔軟な発想をもたらす貴重な資産となるでしょう。
経営層や他業界のプロフェッショナルとの人脈を形成できる
副業を通じて築けるネットワークの本質は、実務を共にする中で育まれる「信頼に基づいた関係」です。経営者や専門職と課題に向き合う過程で、意思決定のスピードや思考の枠組みに触れることができ、自らの視野を大きく広げられます。
特にスタートアップのCEOや異業種のCTOといった第一線のリーダーと協働する経験は、日常業務では得にくい学びをもたらします。こうした質の高い人脈は、将来のキャリアチェンジや独立、本業での新規事業推進など、あらゆる場面で大きな支えとなるでしょう。
自身の市場価値を客観的に把握できる
副業を通じて、自分の専門性やスキルが「今の会社でだけ通用するもの」なのか、それとも「幅広い環境で評価されるもの」なのかを知ることができます。
本業以外の企業から報酬を得て課題解決に取り組む経験は、自身の市場価値を測るうえで有効な指標となります。本業の評価軸とは異なる視点で能力が認められることで、キャリアへの自信が深まるだけでなく、今後強化すべきスキルや知識の領域も明確になるでしょう。
将来の独立・起業に向けた準備になる
独立や起業を目指す人にとって、副業は実践的な準備を進めるための有効なステップとなります。
本業の安定した収入基盤を維持しながら、以下のような取り組みを行うことが可能です。
- 自身が提供するサービスの需要を確認
- プロダクトのアイデアを具体化・検証
- 将来の顧客となり得るクライアントとの関係構築
副業という形で段階的に起業を目指すことで、リスクを抑えつつ独立への土台を築くことが可能です。こうした準備は、事業の成功確率を高めるうえで有効な戦略的アプローチとなり得ます。
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主体的に仕事を作る面白みを得られる
大規模な組織では、役割や業務範囲がある程度規定されていることが少なくありません。
しかし、副業、特にアドバイザーやコンサルティング案件では、クライアントが抱える課題そのものを定義し、解決策を設計するところから関与することが求められます。
これは、与えられたタスクを行うのではなく、自らが主体的に価値を創造して「仕事を作る」面白みを実感できる経験となりやすいでしょう。
自身の知見や提案が、クライアントの事業に直接的なインパクトを与える手応えは、大きなやりがいと達成感につながるでしょう。
社会課題や事業課題の解決に貢献できる
キャリアを重ねる中で、自身のスキルを社会やコミュニティに還元したいという思いを抱くハイクラス人材は少なくありません。
副業は、社会課題や事業課題の解決を実現するためにも有効な手段です。地方創生プロジェクトに専門家として参画したり、環境問題に取り組むスタートアップにアドバイスを提供したりと、さまざまな形で携われます。
本業で培った高度な専門性を、利益追求とは異なる文脈で活用することは、社会貢献への満足感だけでなく、自身のキャリアに新たな意義と深みをもたらしてくれるでしょう。
ハイクラス人材が副業をする際の注意点
副業がもたらすメリットは大きい一方で、ハイクラス人材だからこそ留意すべきリスクも存在します。自身のキャリアとブランドを守るため、以下の点には十分な注意が必要です。
競業避止義務・利益相反について厳重な管理をする
本業の競合企業で副業を行うことや、本業を通じて得た機密情報を利用して利益を得ると、深刻な契約違反と見なされる可能性があります。懲戒処分や損害賠償請求の対象となるリスクがあるため、競業避止義務・利益相反について、副業を開始する前に確認しましょう。
自社の就業規則の確認はもちろん、必要であれば人事部門や法務部門に相談するなど、慎重に対応しましょう。
自身のブランドイメージに影響を与えかねない案件には注意を
ハイクラス人材にとって、個人の信頼性や専門家としての評価(パーソナルブランド)は大切な資産の一つです。副業で関わる企業や案件の内容によっては、その印象が周囲にどのように伝わるかに影響を与える場合があります。
たとえば、社会的に議論を呼んでいる事業や、コンプライアンスに関して懸念が指摘されているサービスに携わることで、望まない形で自身の名前が結びつく可能性も考えられます。
こうしたリスクを避けるためには、案件を受ける前に企業の事業内容や評判、経営姿勢を確認し、自身の価値観や職業倫理と整合しているかを慎重に見極めることが有効です。副業は新しい挑戦の場でもある一方で、長期的なキャリア形成の観点から「自分のブランドと調和する選択」を心がけることが大切です。
自身の意思決定やアドバイスに責任感を持つ
経営アドバイザーやコンサルタントといった副業では、自身の助言がクライアント企業の判断や事業運営に大きな影響を与えることがあります。
そのため、本業と同じようにプロフェッショナルとしての姿勢を大切にすることが望ましいでしょう。提供する情報の正確さや分析の妥当性に配慮し、提案がもたらす結果についても丁寧に向き合う姿勢が大切です。
ハイクラス人材向け副業案件の種類と具体的な仕事内容
ハイクラス人材向けの副業案件は多岐にわたりますが、求められる役割や貢献の仕方によってかかわり方が大きく異なります。ここでは、ハイクラス向けの副業案件で代表的な5類型をご紹介します。
自身のスキルセットやキャリアプランに合致する案件を見極めるための参考にしてください。
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①経営課題に深く関わる「コンサルティング・アドバイザー」案件
コンサルティング・アドバイザーは、企業の経営層が抱える特定の課題に対し、専門的な知見を提供して解決に導きます。
主な仕事内容は、以下のとおりです。
- 新規事業の戦略立案
- M&A後の組織統合(PMI)
- マーケティング戦略の抜本的な見直し
- DX推進のロードマップ策定
単なる助言に留まらず、経営会議に参加して意思決定をサポートしたり、プロジェクトの進捗を管理したりと、ハンズオンでの関与を求められることも多いのが特徴です。
高度な専門知識と、複雑な問題を構造化し、実行可能なプランに落とし込む能力が欠かせません。
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②事業推進を担う「マネジメント・実行支援」案件
マネジメント・実行支援は、戦略を実行フェーズに移し、現場でプロジェクトを牽引する役割です。
主な仕事内容は、以下のとおりです。
- 特定のプロダクトのグロースを担うプロダクトマネージャー(PdM)
- 営業組織の改革を推進するセールスマネージャー
- 人事制度の再構築をリードする最高人事責任者
戦略的な視点だけでなく、チームを動かし、具体的な成果を出すための泥臭い実行力が求められます。
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③変革を加速する「イノベーション推進・事業開発」案件
イノベーション推進・事業開発とは、企業の新たな成長エンジンを創出する役割です。既存事業の枠にとらわれず、新しい製品やサービスの企画・開発、あるいは新たな市場への参入をゼロからリードします。
主な業務内容は、以下のとおりです。
- 市場調査
- ビジネスモデルの構築
- プロトタイプの開発
- アライアンス先の開拓
不確実性の高い状況下で仮説検証を繰り返し、事業を前進させる起業家精神と、社内外の関係者を巻き込む推進力が求められます。
企業の未来を創造する、やりがいの大きい仕事です。
④知見を還元する「セミナー講師・研修」案件
セミナー講師・研修は、自身が長年の経験で培ってきた専門知識やノウハウを、体系化して他者に伝える役割です。特定の業界動向に関するセミナーや、リーダーシップやマネジメントスキルを向上させるための企業研修、専門職向けのスキルアップ講座などがこれにあたります。
単に知識を話すだけでなく、受講者の理解を促し、行動変容につながるようなプログラムを設計・提供する能力が重要です。
自身の知見を社会に還元すると同時に、専門家としてのブランドを確立する上でも有効な手段となります。
⑤大学の研究シーズを事業化する「CxO(経営支援、起業支援)」案件
大学や研究機関が持つ優れた技術シーズ(研究成果)を、ビジネスとして社会実装する役割です。
研究者と二人三脚で事業計画を策定し、資金調達や組織構築、製品開発などをリードする、「大学発ベンチャー」の共同創業者ともいえるポジションを担います。技術への深い理解と、ビジネスをゼロから立ち上げる経営能力の両方が求められる、難易度の高い仕事です。
まだ世に出ていない技術を社会に実装する仕事のため、社会的意義を感じられる副業といえるでしょう。
ハイクラス人材が副業案件を獲得する方法
質の高い副業案件を獲得するには、自身の価値を正しく市場に伝え、機会を引き寄せるための戦略的なアプローチが有効です。ここでは、ハイクラス人材が副業を獲得する方法について解説します。
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ハイクラス人材向けの副業エージェント・マッチングサービスに登録する
ハイクラス人材が副業案件を獲得するには、ハイクラス人材向けのプラットフォームの活用が効率的です。プラットフォームに自身の職務経歴を詳細に登録しておくことで、高度なスキルを必要とする案件を獲得できる可能性が高まります。
また、エージェントの場合、キャリア相談や契約交渉のサポートを受けられる点も大きなメリットです。
特にハイクラス向けサービスは、一般的な案件紹介サイトとは異なり、以下のような特徴があります。
- 役職経験者を対象とした案件が多く、役員直下や経営課題に関わる案件に出会える可能性が高い
- プロジェクトベースのスポット案件から継続的な顧問契約まで幅広い選択肢がある
- 事業戦略、DX推進、新規事業開発、組織改革 など高難度で影響力の大きい領域の案件が豊富
利用にあたっては、自身の得意領域や提供できる価値を明確に整理したうえで登録することが重要です。
経営者向けのセミナーを開催して参加企業にアプローチする
経営者向けのセミナーを開催し、参加企業にアプローチする方法も一つです。自身の専門性を武器に、能動的にアプローチできます。
価値ある情報を提供することで、自身の専門性や問題解決能力を直接アピールすることが可能です。参加者から「ぜひ当社の相談にも乗ってほしい」など、具体的な案件につながることが期待できます。
ハイクラス人材の副業報酬の目安
HiProの「副業・フリーランス人材白書2025」によると、ハイクラス層の副業での月額報酬の中央値は13万円です。

これは、メンバークラス層の中央値である8万円と比較して、高い水準にあることがわかります。また同調査では、月に200万円以上の報酬を得ているハイクラス人材が11.7%も存在することが明らかになっています。
企業の根幹に関わるような重要な課題を解決できるプロフェッショナルは、それに見合った高い収入を目指せることがわかります。
ハイクラス人材の副業に関するよくある質問
副業を始めるにあたり、多くのハイクラス人材が抱くであろう疑問について、実践的な観点から回答します。
Q1.本業が多忙でも副業との両立は可能?
本業が多忙でも、副業との両立は可能です。重要なのは、本業と副業のタスクをすべて洗い出し、緊急度と重要度のマトリクスで整理し、本当に自分がやるべきことに集中することです。
生産性の低い会議への参加を見直す、単純作業は自動化する、集中力が高まる時間帯を戦略的に副業にあてるなど、主体的に時間をコントロールする意識が不可欠です。
週に数時間から始められる案件も多いため、まずはスモールスタートで両立の感覚を掴むと良いでしょう。
Q2.副業の契約前に企業側と確認しておくべきことは?
トラブルを未然に防ぎ、スムーズに業務を遂行するためには、契約前の期待値調整が極めて重要です。
以下の項目は、書面で明確に合意しておきましょう。
業務範囲 | 何をどこまでやるのか、具体的な成果物は何かを定義します。 |
成果の定義 | どのような状態になればプロジェクトが成功と見なされるのか、具体的なKPIや評価基準を共有します。 |
仕事時間と連絡方法 | 想定される月間の仕事時間、定例会議の頻度や時間、緊急時の連絡方法などをすり合わせます。 |
報酬 | 金額、支払期日、経費の取り扱い(交通費など)を明確にします。 |
機密保持と知的財産権 | 業務上知り得た情報の取り扱いと、成果物の知的財産権の帰属を定めます。 |
契約解除条項 | どのような場合に契約を解除できるのか、双方の条件を確認します。 |
ハイクラス人材こそ戦略的に副業を始めて、キャリアを加速させよう
本記事では、ハイクラス人材が副業に取り組むことの多面的な価値について解説しました。
市場が高度な専門性を求める中、副業は単なる収入源ではなく、スキル獲得や人脈形成、将来の独立準備など、キャリアを戦略的に強化するための手段となります。
まずは、「今後1年間で、どのような新しいスキル、経験、あるいは人脈を獲得したいか」と、自身の成長目標を定義することが大切です。
その目標を羅針盤として、本記事で紹介した案件の種類や獲得方法を参考に、自身のキャリアを加速させるにふさわしい挑戦の場を見つけ出してください。
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