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経営戦略とは?経営戦略の組み立て方とフレームワーク、成功事例を紹介

経営戦略

社会の変化が激しい現代では、優れた経営戦略がますます重視されています。しかし、経営戦略の策定には市場環境の分析や経営理念、ビジョンの見直しなどが必要になるため、ハードルが高いと感じている方も多いのではないでしょうか。

当記事では、経営戦略の定義や分類などの基礎的な部分の解説から、戦略の組み立て方や役立つフレームワークまで紹介します。経営戦略の策定により事業を成功させた企業や団体の事例も紹介しているので、あらためて経営戦略の重要性を確認したい方はぜひ参考にしてください。

経営戦略とは

経営戦略

まず、経営戦略の定義と、混同されやすい 用語との違いについて解説します。

経営戦略の定義

経営戦略とは、組織の事業目的を達成するために設定する方針です。企業活動の方向性を示す経営戦略は、組織の成長・存続に欠かせません。

経営戦術と経営戦略の違い

「経営戦略」と混同されやすい言葉に「経営戦術」があります。

一般的に「戦略」は長い時間軸での方向性を示し、企業が持続的に成長・活動をしていくうえで必要です。一方で「戦術」は、短い時間軸での対応策という意味を持っています。

つまり、「経営戦略」で示された方向性に沿って事業 目的 を達成するために、「経営戦術」として具体的な施策を実行していく、ということです。経営戦略策定の際には、戦略と戦術の違いを認識しながら組み立てていく必要があるでしょう。

経営戦略が重要となる背景

今後、企業にとって経営戦略はますます必要になると予想されています。

近年は、新型コロナウイルス(COVID-19)の蔓延や気候変動、災害の多発、テクノロジーの急激な進化などが絶え間なく起こり、世の中の動きを予測するのが難しくなっている時代です。多くの企業では、コロナ禍で時代の不確実性を体験したことでしょう。

このような世の中が 予想しにくい状況を表したのが「VUCA(ブーカ)時代」という言葉です。曖昧性や変動性、不確実性という意味合いを持ちます。

日本では今後も少子高齢化が進み、労働人口の減少はますます深刻な問題になると考えられます。加えて変化の激しい世の中では、市場ニーズや価値観も多様化します。企業が市場で生き残るためには、環境の変化に応じた戦略を練り、実践・修正を繰り返していかなくてはなりません。

変化の激しいVUCAの時代だからこそ、今後も企業においては、経営戦略の重要性が問われることが予想されます。

経営戦略の分類

経営戦略には、全社戦略、事業戦略、機能戦略の3種類があり、後者になるにつれ戦略が具体的になっていきます。それぞれの種類について詳しく解説します。

全社戦略

全社戦略とは、長期的で大きな枠組みの方針を示す戦略です。具体的にはビジョンの策定、戦略的事業単位(SBU)の設定、経営資源の配分方針の決定などが該当します。

事業戦略

事業戦略とは、全社戦略で取捨選択した事業の動きを決める工程です。市場や顧客に対する理解を深め、自社だけの強み(USP)を導き出したうえで、事業内の経営資源を分配していきます。

機能戦略

機能戦略とは、企業が事業を進めるために必要な機能領域ごとの戦略です。例えば、メーカーには開発や生産、営業などの部門があり、売上を最大化するための計画・方針が部門ごとに存在します。機能戦略は、この部門ごとの戦略を決めるフェーズです。

一方で、それぞれの部門が自由に戦略を決めてしまうと、企業としての一貫性がなくなり、部門間連携が難しくなる可能性もあります。だからこそ、各部門が足並みをそろえて動くための戦略を立てなくてはなりません。

経営戦略の立て方

ここからは、経営戦略の組み立て方を確認していきましょう。

経営理念やビジョンの明確化

まずは、企業の根本ともいえる経営理念やビジョンを確認しましょう。「経営理念」とは経営者の哲学や信念をベースに、企業活動の考え方や価値観を明文化したものです。

そして「ビジョン」とは、経営理念に基づき、ある時点で「こうなっていたい」という構想や将来像を示すものを指します。

経営理念やビジョンと自社の現状とのギャップを埋めるためには、経営戦略が欠かせません。そのため、経営戦略の土台となる経営理念やビジョンを明確化し、一貫性を持たせた経営戦略を策定することが重要です。

環境分析を行う

続いて、自社の現状を正確に把握するために市場の環境分析をおこないます。後述するフレームワークを活用しながら、外部環境分析と内部環境分析の2側面から分析していきます。

外部環境分析

外部環境とは、自社ではコントロールできない他社や市場、社会動向のことで、「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」の2項目があります。

「機会」はプラスの影響を与える要素、「脅威」は マイナスの影響を与える要素とし、両局面から企業を分析して事業の成功要因(Key success factor/KSF)を見出していきます。外部環境の分析により、まだ他社が参入していない市場の発見につながります。

内部環境分析

内部環境とは、自社の強みや弱み、経営資源など、自社がコントロールできる環境のことです。外部環境分析で見出したKSFに対して、自社が活躍できる領域や活躍の機会を見出していきます。

目指すべき目標を設定する

自社を取り巻く市場環境や自社の強み・弱みを把握してKSFを見出せたら、実際に複数の戦略を立てていきます。さらに実践する戦略を絞り込み、それぞれに遂行度合いや達成期間などの目標を設定しましょう。

目標に対する振り返りを行う

設定した目標を一定期間実践したら、効果が出ているかどうかの振り返りをします。うまくいっていない場合には、企業の経営理念やビジョンに立ち返り、再び市場の環境分析から始める必要があるでしょう。

経営戦略を立てる際に活用できるフレームワーク

経営戦略策定の際に使用される、代表的なフレームワークを6つ紹介します。

3C分析

3C分析とは、自社を取り巻く業界の環境を分析する際に活用できるフレームワークです。自社の改善ポイントを検討し、新規ビジネスのチャンスをつかむためには、顧客や市場の分析と同時に競合他社の分析も欠かせません。

3Cは「Customer(市場や顧客)」「Competitor(競合他社)」「Company(自社)」という3つの言葉の頭文字から付けられたものです。3C分析は「市場→競合→自社」の順番ですすめることが推奨されています。

3C分析のメリットは、シンプルでわかりやすく、市場環境を漏れなく把握できることにあります。しかし、3C分析は事実情報のみを集める手法であるため、このフレームワークを使っただけでは安心できません。のちに説明するSWOT分析も組み合わせて解釈をする必要があるため、3C分析時には事実と解釈を区別しておきましょう。

SWOT分析

SWOT分析とは、企業が市場の環境分析をする際に、自社の強みや弱みを把握するために利用するフレームワークです。4つの要素(強み、弱み、機会、脅威)を整理して市場環境を分析する手法で、シンプルかつ使用しやすいことがメリットです。

SWOT分析では企業が自社独自の見解を見出しやすいため、うまく活用すれば他社と被らない経営戦略の策定も可能になるでしょう。4つの要素をかけ合わせてクロスSWOT分析をすることで、より説得力のある戦略の方向性を示すことができます。

PEST分析

PEST分析とは、自社ではコントロールできない要素を分析する際に活用されるフレームワークです。

PESTとは「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4単語の頭文字を取ったものです。企業はこれらの外部環境から大きな影響を受けています。変化の多い時代だからこそ、マクロ環境を把握して社会変化に対する中長期的な仮説を立て、戦略立案に活かさなくてはなりません。

PEST分析を実施して業界を俯瞰すれば、社会の価値観に合わせたビジネスをおこなえるようになるでしょう。

5Forces分析

5Forces分析とは、自社が業界内で事業をすすめるなかで、どのようなことが脅威(Forces)となるのかを知るためのフレームワークです。分析の対象として、以下5つの脅威があげられています。

  • 業界内での競争
  • 業界への新規参入者
  • 代替品の存在
  • 買い手(顧客)の交渉力
  • 売り手(サプライヤー)の交渉力

5Forces分析は、特に新ブランドや新製品を開発する際に有効です。分析を通じて想定できる脅威を知り、業界の構造を把握して、収益性を検証していきます。また、SWOT分析の前段階で活用すれば、企業はより高精度な経営戦略を組み立てることが可能です。

STP分析

STP分析とは、業界内での自社の立ち位置を明確化するために使用されるフレームワークです。「Segmentation(市場の細分化)」「Targeting(狙う市場の決定)」「Positioning(立ち位置の共有)」の3単語の頭文字からこの名前が付けられました。

STP分析をする際のポイントは、顧客目線を持つことです。顧客の行動を把握してニーズを整理すると、他社との差別化につながる戦略を練られるようになります。

VRIO分析

VRIO(ブリオ)分析とは、自社の経営資源の強みと弱みを分析する際に活用できるフレームワークです。VRIOとは、「Value(経済的な価値)」「Rareness(希少性)」「Imitability(模倣可能性)」「Organization(組織)」という4単語の頭文字から付けられました。VRIO分析を通して他社との差別化ポイントを知ると、企業は優位性を見出した経営戦略を組み立やすくなります。

経営戦略の成功事例

ここからは、優れた経営戦略を策定し事業を成功させた企業や団体の事例を2つ紹介します。

自動車メーカー/A社の事例

自動車メーカーA社は、軽自動車への集中戦略により市場で大きなシェアを獲得した企業です。

国内のニーズを把握し、軽自動車に特化した販売をしたことで、軽自動車における第一想起対象としてのイメージを世間に定着させました。

世間のニーズを読み取り、大手企業との競争を避けた経営戦略を立てることで、確固たる企業イメージを獲得し売上拡大に成功した事例です。

建設機械メーカー/B社の事例

建設機械メーカーのB社は、ビジネスモデルの戦略的な変革で成功を収めた企業です。

B社は国内市場での成長の鈍化を受けて、早くから海外市場進出の戦略を打ち立てました。建設機械を造って販売するだけでなく、デジタル技術をかけ合わせたサービスも展開しています。

建設機械の盗難が相次ぐ海外市場において最新システムを導入し、追跡を可能にした建設機械は歓迎されました。

また、同システムから得られたデータをもとに、ユーザーに対してエンジンや部品に関するアドバイスや、販売店に対して販売促進の提案を行っています。さらに、そこから得られたデータを活用して新たな機械の開発にもつなげるなど、ビジネスモデルの変革が成功の鍵になった事例だといえるでしょう。

まとめ

経営戦略の立て方や活用できるフレームワークの種類、企業や団体の成功事例を解説・紹介してきました。

気候変動や感染症、デジタル技術の発達などにより変化の激しい現代で企業が成長し続けるには、時代の変化に対応できる経営戦略を立てることが重要です。今回取り上げたフレームワークや事例を参考にして、適切な経営戦略を立てていきましょう。この記事が、経営戦略の重要性が再認識されるきっかけとなれば幸いです。

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