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AIをビジネスに活用するためには?具体的な進め方や注意点を解説

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AI(人工知能)は大量のデータ分析や推測を行うことが可能です。ビジネスにAIを活用することで、業務の自動化や作業効率の向上などのメリットがあります。このAIを活用したビジネスを「AIビジネス」と呼びます。

AIビジネスは身近なところにも増えてきていますが、その活用法を迷っている方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、AIビジネスを導入するために必要な手順や大事なポイント、他社の活用例をまとめています。ぜひ参考にしてください。

AIとは人工知能のこと

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AIとは、Artificial Intelligence(人工知能)の略です。人間の知的な行動をコンピュータ上で人工的に作り出し、さまざまな判断や予測を可能にするものですが、明確な定義はありません。

どのような場面で活用するかにもよりますが、AIが何かを判断するには、大量の学習データが必要です。その膨大なデータのなかから共通点を導き出して、判断材料として活用します。

AIビジネスが求められている2つの背景とは

文字どおり、AIを活用したビジネスがAIビジネスです。AIビジネスと聞くと未来の話のように聞こえますが、実際はさまざまな場面ですでに展開されています。

現在AIビジネスが求められている背景には何があるのか、以下で詳しく解説します。

DXの推進

DXとは、Digital Transformationの略です。デジタル技術を用いてビジネスモデルを変革させ、企業価値を高めることを指します。

経済産業省は2018年に発表した「DXレポート」内で、企業の競争力強化のためにはDXの推進が欠かせないとしています。また、DXを推進できずにいれば競争力の低下が避けられず、2025年以降に現在の3倍にのぼる大きな経済損失が発生する可能性があると発表しました。レポートではこのことを「2025年の崖」と表現しています。

AIは、DX推進に有効な手段の一つとして期待されています。DXを推進し「2025年の崖」を回避するためにも、AIのビジネス活用に注目が集まっている状況です。

※出典:D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(サマリー)(経済産業省)

人手不足

近年は少子高齢化などの影響もあり、多くの業界で人手不足が続いています。それにより、仕事の効率化を課題にしている中小企業は少なくありません。

AIを適切に活用できれば、業務効率の向上や人手不足解消などにつながるメリットが得られます。そのため、AIを活用し業務の自動化や業務効率化を目指す企業が増えており、AIのビジネス活用に注目が集まっています。

AIをビジネスに活用するメリット

ビジネスにAIを活用するメリットは、以下の5つがあります。メリットを把握しておくと、スムーズにAIを取り入れられるでしょう。

生産性の向上

人間が製品や部品をチェックする目視検査や同じ動作を繰り返す作業などは、人為的ミスが発生する可能性がありますが、AIによる異常検知を導入することで、ヒューマンエラーの抑制が期待できます。ミスによる修正などの工数が減り、結果的に生産性の向上につながります。

コストの削減

AIを活用し生産性が向上すれば、残業代などのコストが削減できます。また、定型業務などをAIに任せれば、人材不足であっても業務を進められたり、従業員をコア業務に集中させられたりするため、人件費の削減につながります。

そのほか、AIを活用し需要予測を行うことで仕入れや在庫を最適化でき、廃棄などのコストも抑えやすくなるでしょう。

顧客満足度の向上

たとえばAIを活用してビッグデータを分析すれば、顧客が求めている商品をレコメンドできます。また、AI活用型チャットボットの導入によって、顧客からの問い合わせに適切かつ迅速に回答することも可能です。

このように、AIを適切に活用できればサービスの品質が高まり、顧客満足度の向上につながるでしょう。

コミュニケーションの円滑化

AIはチャットボットなどの自然言語処理を行えるため、企業の問い合わせやサポート窓口に活用できます。

今後、AIを活用した自動翻訳の精度が上がれば、言語が異なる人同士でもスムーズな会話が可能です。国内のコミュニケーションはもちろん、国境を越えたコミュニケーションも円滑になると予想されます。

データドリブンな組織形成

AIは大量のデータ分析に強いという特徴があります。そのため、複数のデータの共通点を迅速に洗い出し、データにもとづいた判断が可能です。需要予測などマーケティング分析での活用はもちろん、今後は医療分野などでも活躍の場が広がるだろうといわれています。

AIをビジネスに活用するデメリット

AIをビジネスに活用する場合、以下のようなデメリットもあります。デメリットも十分に理解したうえで、AIの導入を検討しましょう。

コストがかかる

AIを導入するために、一時的なコストや実装するための人件費がかかります。特に導入時は、ある程度の初期費用がかかることを考慮しておきましょう。

ただし、AIが導入されて実際の活用が始まると、コスト削減が期待できます。現在の事業の状態や展望を踏まえて導入するかどうか判断してください。

専門的な知識が必要

AIを実装するためには、プログラミング言語や解析するアルゴリズムの知識が必要です。

AIの導入を検討する企業が増えている一方で、AIを扱える人材は不足しています。AIの専門知識をもつ人材の確保はもちろん、既存従業員のAIリテラシーを上げることが重要です。AIの研修や資格取得制度などの導入も検討が必要になるでしょう。

またAIの実装完了後、エラーが起きた際に対応できる人材の確保もおすすめします。

責任の所在が曖昧になる

AIを利用したサービスに何かトラブルが生じた際、責任の所在が曖昧になることもデメリットの一つです。

AIを実装した開発側の問題なのか、運用している側の問題なのか、判断がつきにくい場合があります。そうした場合に備えて、トラブル発生時の対応を事前に決めておきましょう。

ビジネスにおけるAI活用事例

ここでは、ビジネスにおけるAIの活用事例を2つ紹介します。それぞれの活用事例を参考に、自社へ応用する方法を考えてみてください。

自動車業界/A社の事例

自動車業界のA社は、いくつかの質問に答えるだけで顧客に合った商品を提案する「診断サービス」にAIを活用しています。A社が診断結果をもとに最適な商品を提案し、顧客は店舗でその商品を購入できるサービスです。

どの商品が合っているかわからない顧客も多いため、AIが診断することで顧客満足度の向上につながり、店舗での対応も効率化できます。

このように、AIがデータを活用し顧客にサービスを提供する事例が増えています。自動車業界だけでなく、今後はさまざまな業界で導入が進むでしょう。

資産運用サービス/B社の事例

資産運用サービスのB社は、資産運用のサポートでAIを活用しています。これまで資産運用分野では、おもに値動きの予測や投資対象銘柄の選択にAIが活用されていました。しかし現在は長期にわたる資産運用をサポートするための役割を担っています。

AIの活用により資産運用が自動化されたことで、誰もがスマートフォンやパソコンを使い、自分に適した資産運用がしやすくなりました。たとえ高度で詳細な知識をもっていなくても、資産運用が始められるようになったことで、資産運用を身近なものに変えつつあります。

AIビジネスの進め方

AIビジネスを社内に取り入れる際の詳しい手順を紹介します。

現状の把握

各部署の業務を整理して、現状の課題を洗い出します。どのような業務にどのくらい時間がかかっているかなど、全体像を把握しましょう。現状を正確に把握することで、AIを計画的に導入しやすくなります。

AIを活用する業務範囲の決定

現状の課題のなかで、AIに置き換えられる業務を決定します。現在人間が行っている業務のうち、どこまでをAIが担当できるのか、担当したほうが良いかを決めましょう。どのような業務をAIに任せられるか不明な場合は、プロ人材に相談することをおすすめします。

学習データ収集

業務をAIに置き換える際は、学習データが必要です。必要となるデータを明確にして、そのデータを収集しましょう。学習のベースとなるデータが多いほど、AIの提案の質や精度が向上します。

データの収集のためには、企業全体での協働が不可欠です。AIを導入する背景やメリットなどを丁寧に説明し、従業員に協力を仰ぎましょう。

AIの選定

AIにはさまざまな種類があります。自社ですでに使っているシステムをカスタマイズするのか、新しいAIを開発するのか、新たなツールを導入するのかなどを決めましょう。

いずれの場合も、業務の目的を確実に実現できるかを事前に確認しておく必要があります。導入後にうまく活用できずにコストだけがかかり続けるケースもあるため、丁寧に選定作業を進めましょう。

AIの学習

AI製品を用意したあとは、実際に学習データをAIに学習させます。専門的な知識が必要になるため、AIに詳しい人材がいるとスムーズです。社内にAIに詳しい人材がいない場合は、外部の専門家の活用も検討してください。

サービスへの適用

学習の完了後には、AIを活用するサービスに組み込みます。通常業務に使えるかを確認しながら、手順などを改訂しましょう。マニュアルなどを作成すると、どの従業員でも同じ作業を行えるようになり、作業効率向上につながるためおすすめです。

AIの評価

サービスへの適用が完了したあとには、AIを評価します。想定していた動きができているのか、テスト検証しながら進めていきましょう。リリース後にエラーなどが起きないよう、多角的視点から慎重に評価を進めていくのがポイントです。

本番リリース

AIの評価が問題ないことを確認したあとは、本番環境へリリースします。リリース後も定期的に評価や精度を確認し、余裕ができた際にAIの適用範囲を拡大するとよいでしょう。同時に、次のAI課題に取り組むのもおすすめです。

AIビジネスのポイント

実際にAIビジネスを始めるにあたり、あらかじめ知っておきたいポイントを3つ紹介します。ポイントを押さえて、スムーズにAIを導入しましょう。

業種とAIの相性を考える

まずは、自社の業種とAIの相性を考えます。たとえば、製造業はAIとの相性が比較的良い業種です。需要予測や異常検知などの効率を上げる目的で、AIを導入している企業が多数あります。

現状、AIがあまり導入されていない業種であっても、競合他社と差をつける目的で導入を検討するのも良いでしょう。「競合他社は導入していないから」と後回しにするのではなく、自社に導入した場合にどのような業務に活用できるかを考えることもおすすめです。

AI人材を確保する

AIビジネスには専門的な知識をもっている人材が欠かせません。自社にAIに精通した人材がいると、イレギュラーな事態が発生した際にも迅速に対応可能です。

今後AIビジネスはさらに拡大していくと予想されますが、AIを活用できる人材は限られています。AIビジネスの実施を積極的に検討する企業は、早期にAI人材の確保に努めましょう。

必要なデータを確認する

いくら膨大なデータを取得していても、目的に応じたデータが揃っていなければ想定通りの効果を期待できません。どのような目的でAIを活用したいか、そのために必要なデータはどのようなデータなのか、などを確認しましょう。

まとめ

AIビジネスは、DXの推進や人手不足の影響で年々注目されています。AIビジネスを行うことには、顧客満足度の向上や生産性の向上、コスト削減が可能など、さまざまなメリットがあります。

特に、顧客満足度を上げるためにAIをビジネスに活用している企業が増えているため、早めの導入検討がおすすめです。また、導入前にはAI人材の確保や必要なデータを確認しておきましょう。

さまざまなメリットがあるAIを、適切にビジネスに活用してください。

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