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BPRとは?業務改善との違いや導入事例をわかりやすく解説

BPRとは?業務改善との違いや導入事例をわかりやすく解説
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働き方改革の推進、グローバル化など、ビジネスを取り巻く環境は急速に変化しています。そうしたなかで注目が集まっているのが、業務のプロセスを根本的に見直す、BPRです。

本コラムでは、BPRの意味、間違われやすい業務改善やBPOとの違い、実施するメリット、成功に必要なポイント、導入事例をわかりやすく紹介します。

BPR(業務改革)とは

BPR イメージ画像

まずは、BPRの意味と、混同しやすい業務改善・BPOとの違いを理解しましょう。

BPR(業務改革)とは既存の業務を抜本的に見直すこと

BPRとは、Business Process Re-engineering(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の略称で、業務や組織などを根本的に見直し、設計し直すことを表します。

多くの企業では業務改善を行っていますが、BPRは個々の業務を細かく見直すのではなく、業務のプロセス全体を見直します。目的は、事業が成功するプロセスをつくることです。

BPRは、人口減少にともなう労働力人口の減少や労働生産性の低さなどの課題の解決策として、注目を集めるようになりました。労働力が減少するなか、従来通りの業務プロセスで事業を展開することは困難です。また、グローバル化の影響を受け、今後も競争が激化していくと予想されるため、業務プロセスの抜本的な改革が求められています。

BPR(業務改革)と業務改善の違い

BPRと業務改善を混同してしまう方は少なくありません。その違いはなんでしょうか。

そもそも「改善」は、現状を肯定したうえで、より良くするために磨きをかけることです。「改革」は現状の否定から入り、あり方を根本的に変えることを指します。つまり、現状を受け入れるか、一から見直すかかどうかが、BPRと業務改善の違いです。

またBPRと業務改善では、具体的な内容にも違いがあります。業務改善は、各業務に存在する無駄を省き、業務の効率化やコスト削減を目指します。一方、BPRは顧客・市場を重視し、部署をまたいで業務や組織の最適化を促すものです。企業の構造やビジネスルールを抜本的かつ劇的に改革し、業務の効率化と生産性の向上を図ります。

業務改善は部分的な課題を解決するものですが、BPRは業務や組織のあり方も対象になるため、企業全体で取り組まなければなりません。

BPRとBPOの違い

BPOとは、Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略語で、業務プロセス全体を外部に委託することを指す言葉です。 BPRは業務プロセスや組織を抜本的に見直す「業務改革」を目的としているのに対し、BPOは業務を部分的に見直し効率化を図る「業務改善」を目的としており、その部分を外部に委託します。 BPOは、BPRを推進する手段としても使われます。

BPRを行うメリット

BPRを行うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

業務効率の向上

BPRを実施すると業務プロセスや組織構造を可視化でき、業務効率化や生産性の向上を阻害する原因を発見しやすくなります。それらの原因を解決するための対策が練りやすくなり、結果として業務効率や生産性の飛躍的な向上を期待できるでしょう。また、業務上の無駄を省けるため、人件費などのコスト削減も可能です。

分業制や縦割りの組織は全体像を把握しにくいことから、業務が複雑化しているケースも少なくありません。BPRは企業全体で取り組むためこうした問題を発見しやすく、適切に対処できれば業務効率がさらに上がるでしょう。

自社製品やサービスの向上

業務プロセスの効率が悪く無駄があると、自社製品の品質やサービスの低下につながるおそれがあります。しかし、BPRで業務プロセスを最適化できると、業務の効率化や生産性の向上、迅速な意思決定が可能です。その結果、従来よりも高品質な製品・サービスを提供しやすくなります。

業務環境の改善による従業員の満足度向上

BPRは、顧客満足度だけでなく、従業員の満足度向上も期待できます。BPRによる業務プロセスの根本的な見直しによって、無駄な業務・長時間労働がなくなることから、はたらきやすい職場環境づくりにつながるからです。

はたらきやすい職場環境が整うと、従業員のモチベーションが上がり、離職率の低下も期待できるでしょう。

BPRを成功させるポイント

抜本的に行うこと

BPRは、抜本的に実施する必要があります。

今までのやり方に固執するあまり、業務プロセスを見直さなかった結果、改革が失敗に終わるケースも少なくありません。BPRに取り組むと決めた際には、業務組織構造や業務フローの意義・目的をゼロベースから考え、客観的に見直す必要があります。

明確なゴールを決めること

設計段階で明確なゴールや目標を決めることも、BPRを成功させるポイントです。

前述のとおり、BPRは企業全体で取り組む必要があります。ゴールが不明瞭の場合、各人がどこに主眼を置くべきかわからず、想定していたとおりの成果が得られないでしょう。

BPRは、業務プロセスだけでなく、事業方針など経営のあり方も対象になります。経営陣などからBPRを行う目的やゴールを共有し、企業全体を先導する意識をもつことが大切です。

現場と連携すること

経営陣が先導すると同時に、実際に業務を行う現場と連携することも大切です。現場の意見や状況を理解せずに実施すると、現場の混乱を招き、かえって業務効率や生産性が下がってしまうことも考えられます。

そうした事態を防ぐためにも、経営陣と現場の双方が業務上の課題やBPRを行う目的を理解し、現場の従業員にも業務改革の当事者として提案・工夫してもらうと良いでしょう。互いに連携しながら進めていくことで、混乱を最小限に抑えながら成果を生み出せます。

BPRの進め方

BPRは以下の手順で進めることで、よい結果を期待できます。

検討

BPRに着手する前に、目標と目的を設定して、対象とする業務範囲を定めましょう。

まず行うことは、ヒアリングです。具体的には、階層の異なる従業員から業務上の改善してほしい点、経営層から企業戦略にフォーカスしたうえでの改善点をそれぞれ聞き出します。ヒアリングした内容をまとめたのち、役員と従業員の代表者で協議を重ねて、BPRの目的と目標を設定しましょう。

また、検討フェーズでBPRの対象となる業務範囲を決める際、改革の実施対象範囲と業務のキープロセスを明確にしましょう。改革に際して業務システムを導入する場合、業務単位で設計しているシステム区分も明らかにしてください。

分析

次に、現状の業務内容や業務プロセスに付随する課題を分析し、改善方法を検討しましょう。課題の分析は、必要に応じてフレームワークを利用するとスムーズに進めやすいです。

BPRの際によく用いられる分析フレームワークには、以下のようなものがあります。

  • ABC分析(活動基準原価計算)
  • BSC(バランススコアカード)

ABC分析は、業務ごとのコストを算出する、収益性やキャッシュフローを可視化し改善する、などのシーンで有用な手法です。BSCは、顧客、業務プロセス、学習と育成、財務にもとづいて現状を評価します。業務内容をより多角的に分析できる手法です。

設計

検討と分析により明らかになった課題の改善に向けて、方針や戦略を定め、具体的な実施方法を検討します。

全業務フローを自社内のリソースで補おうとするのではなく、必要に応じてアウトソーシング(社内の業務の一部を外部に委託すること)する選択肢も適宜検討しましょう。業務にはコア業務(売り上げに直接つながる重要な業務)とノンコア業務(コア業務をサポートする業務)があります。以下のようなノンコア業務は、特にアウトソーシングを活用しやすいでしょう。

  • 再現性が高く定型化可能な業務
  • 企業の利益や成果に直結しない業務
  • 業務難易度や専門性が比較的低い業務

実施

BPRをここまで進めることができたら、次は実行するフェーズです。改革の目的や実施内容などを経営陣と従業員の間で共有し、改革実施中も当初の計画どおりに実行できているか確認しましょう。

方針とズレが生じていないか、目的をクリアしているかなどを適宜チェックします。分析の時点で見落としていた課題が見つかる可能性もありますが、途中で確認することにより軌道修正が可能になります。

実施中の進捗確認には、計画達成度に応じて目安を複数設定するマイルストーン形式を取り入れるとよいでしょう。

評価

BPR実施後は、業務プロセスのモニタリングを行いましょう。業務プロセスに問題が認められる場合、何がどのように問題だったのかなどをそれぞれ確認してください。

また、BPRを実施した効果や達成度の評価も同時に実施してください。改革を実行したことでどれくらい課題が解決したか、設定した目標に対する成果があったか、進捗状況は適切かなど、さまざまな視点から評価し効果を測定しましょう。

効果測定をした結果、計画達成度に問題が見つかった場合は検討フェーズに戻り、問題解決に向けて改めて改革をスタートさせましょう。

BPRの導入事例

ここからは、BPRの導入事例を紹介します。1つ目は民間企業におけるBPR導入の成功事例です。2つ目は地方自治体におけるBPR導入の事例です。事例をもとにBPRを具体的に把握し、導入成功のイメージをつかみましょう。

住宅設備メーカー/A社の成功事例

数万アイテムにもおよぶ商品を扱うA社では、代理店・販売店からの商品問い合わせ業務を、全国にあるそれぞれの支店・営業所で行っていました。業務の重複解消とコストの最適化を目指し、BPRに取り組みました。

行ったことは、問い合わせ窓口の一本化です。取扱商品数の多さと問い合わせ内容の専門性の高さを配慮し、段階を追って業務を引き継ぎました。外部コンサルタントの支援を受けながら、マニュアルの整備、商品データベースの構築、教育カリキュラムの作成などを行い、商品問い合わせ業務を集約したことで、運用コストの削減に成功しました。

地方自治体/B県の導入事例

B県では、県民目線での施策立案機能の強化や県民サービスの向上を図ることを目的に、BPRに取り組んでいます。

まずは、県が行う業務のすべてを可視化し、職員でなければできないコア業務と職員でなくてもできるノンコア業務に分類。ノンコア業務は効率化を、コア業務は業務の標準化・手順化により一部をノンコア業務にシフトさせることを目指しました。

施策を進めることで時間を創出し、今まで以上に職員がコア業務に専念できる状態をつくることで、県民サービスの向上につなげようとしています。

まとめ

本コラムでは、BPRの意味から間違われやすい業務改善やBPOとの違い、実施するメリット、成功に必要なポイント、導入事例を紹介しました。BPRによって、現状の業務プロセスを根本的に見直すと、業務の効率化・生産性の向上を期待できます。

BPRを実施する場合、明確なゴールを決めたうえで、劇的な変化を狙うことがポイントです。ただし、いきなり企業全体で改革に着手すると混乱を招くため、現場との連携も欠かせません。

BPRは、検討、分析、設計、実施、評価の各フローを段階的に実施します。設計した業務プロセスを進める際は、進捗状況を確認し、問題があった場合は随時軌道修正をしましょう。

また、BPRは企業に限らず、自治体などの業務にも適用できます。従来のやり方で成果が出ない企業は、当コラムを参考にBPRの実施を検討してください。

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