正社員とフリーランスはどう違う?それぞれのメリット・デメリットも解説

正社員とフリーランスでどちらのキャリアを選ぶべきか迷っている場合、はたらき方や収入など、どのような違いがあるのか気になるのではないでしょうか。
本記事では、これからフリーランスへのキャリアチェンジを検討している方に向けて、正社員とフリーランスの違いを徹底比較します。それぞれのメリットとデメリットに加え、キャリア転向の手順や副業から始める方法など、今後のキャリア構築に役立つ情報を幅広くご紹介します。
【4つのポイントで比較】正社員とフリーランスはどう違う?

まず、正社員とフリーランスの違いについて、以下4つの点で見ていきましょう。
- はたらき方の違い
- 収入・報酬形態の違い
- はたらく場所や時間の違い
- 社会保障、福利厚生の違い
違いを押さえることで、自分に合ったはたらき方が見えてきます。
▼関連記事
フリーランスとは?はたらき方や仕事内容、必要な準備、仕事の選び方などまとめて解説!
はたらき方の違い
正社員は会社と雇用契約を結び、会社の指揮命令のもとではたらきます。勤務時間や勤務地、業務内容は会社の規定、人事部や上司の判断によって決まり、原則として毎月固定の給与が支払われます。
一方、フリーランスは案件ごとに企業と契約を結ぶことが多く、企業に所属するわけではありません。業務内容や納期など、契約で定められた範囲の仕事を自分の裁量で進めるのが一般的です。仕事の選択肢が増える一方で、仕事を獲得するための営業活動やスケジュール調整なども自身で行わなければなりません。
また、正社員は組織の一員として評価されるため、基本的にキャリアパスや昇進の仕組みが整えられています。フリーランスの場合は、キャリアの自由度が高い反面、キャリアアップやスキルアップには自主的に取り組む必要があります。
▼関連記事
はたらき方にはどんな種類がある?雇用形態や勤務時間による違いを解説
収入・報酬形態の違い
正社員の場合、基本的には毎月決まった日に「固定給」が振り込まれます。会社によっては業績や個人のパフォーマンスに応じた賞与(ボーナス)やインセンティブが支給されることもありますが、収入のベースが大きく変動することは多くありません。安定性が高い一方、「成果を上げても大幅な収入アップにはつながらない」と感じることもあるでしょう。
一方、フリーランスは契約内容に応じて「報酬」が支払われます。契約内容によって、報酬形態は時給制や固定報酬制、成果報酬制などさまざまです。プロジェクトごとに報酬が決まっている場合もあれば、月額固定で契約する場合もあります。自分で金額設定や交渉ができるため、高い専門性や実績があれば収入を大きく伸ばすことも可能です。ただし、案件がなければ収入が途絶えるリスクがあり、安定性の面では注意が必要です。
なお、正社員でも一部の職種や会社によってはインセンティブを重視した成果主義を導入している場合があり、フリーランスでも月額固定の報酬で契約する場合がありします。自身の給与や報酬形態を確認し、比較や検討をすることが大切です。
はたらく場所や時間の違い
正社員は基本的にオフィスや指定された勤務地に出社し、定められた勤務時間ではたらくことが一般的です。最近ではリモートワークやフレックスタイム制を導入する企業も増えていますが、会社の方針に従うことが求められます。休日や有給休暇の取得も、会社の就業規則や状況により調整が必要になることがあります。
一方、フリーランスの場合、クライアントに常駐する形態を除けば、基本的にはたらく場所や時間は自由なことが多いです。自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、自分の好きな環境で仕事ができるほか、活動時間も深夜や早朝などライフスタイルに合わせて選ぶことも可能です。ただし、納期やミーティングなどクライアントの都合に合わせる必要がある場面もあるため、すべてが自由というわけではありません。
自由度が高い点はフリーランスの大きな魅力ですが、同時に自己管理能力が求められます。管理を怠ると納期に間に合わなくなる可能性があるため、スケジュール管理能力やモチベーション維持の工夫が重要です。
社会保障、福利厚生の違い
社会保障や福利厚生については、正社員とフリーランスで大きな違いがあります。正社員は会社の社会保険(健康保険、厚生年金、雇用保険など)に加入でき、保険料の一部を会社が負担してくれることが一般的です。また、会社によっては住宅手当や育児休暇制度、研修制度など、さまざまな福利厚生が用意されていることもあります。
一方、フリーランスは原則として国民健康保険や国民年金に加入することになり、保険料や年金保険料は全額自己負担です。
さらに、福利厚生面でも企業が提供するような社宅制度や資格取得支援制度、健康診断などのサポートはありません。すべて自分で管理し、必要であれば外部のサービスや保険を契約する必要があります。こうした面に不安を感じる方は、フリーランスとして活動する前に情報収集を行い、備えることが大切です。
正社員のメリット・デメリット
次に、正社員としてはたらく場合のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
正社員のメリット
正社員は、毎月の給与に加えて賞与や昇給などの制度が整っており、社会保険や福利厚生の充実により安定した生活基盤を築きやすいのが特徴です。
また、勤続年数や実績に応じた昇進の機会があることが多く、上司や先輩の指導を受けながらスキルを身に付けられる傾向にあります。さらに、人事や経理などのサポート体制が整っているため、自分の業務に専念するための環境が用意されているといえるでしょう。
毎月の安定した給与があることによって住宅ローン審査などの際に信用を得やすいのもメリットだといえます。
正社員のデメリット
一方、正社員のデメリットとしては、会社の就業規則や部署の方針に従うことを求められるため、勤務地や勤務時間の自由が限られ、所属する会社の制度によっては転勤や異動の可能性もある点が挙げられます。また、給与体系が固定されていることが多く、成果を上げても収入が大きく変わらない場合があります。さらに、副業を禁止している会社では収入源を増やす方法が限られることもあるでしょう。
加えて、組織によっても差異はありますが、重要な意思決定には上司や役員の承認が必要になることが多く、新しい取り組みを始めるのに時間がかかる場合があります。そのため、やりがいや自身の成長を感じにくいと思う人もいるかもしれません。
フリーランスのメリット・デメリット
続いて、フリーランスのメリットとデメリットを見ていきましょう。
フリーランスのメリット
フリーランスは、はたらく時間や場所を自由に選べることが多いため、ライフスタイルに合わせた柔軟なはたらき方が可能です。育児や介護、趣味との両立もしやすく、自分のペースで仕事を進めやすい傾向にあります。
また、スキルや実績に応じて企業と報酬を交渉できるため、専門性を高めれば高単価の案件を獲得しやすくなり、収入を大きく伸ばすことも可能です。さらに、案件の選び方によっては自分の得意分野や好きな仕事に集中できるため、モチベーションを維持しやすく、やりがいを持ってはたらけるでしょう。キャリアの方向性を自ら決め、新しい分野への挑戦やスキルアップを自分の意思でスピーディに進められるのも大きな魅力です。
フリーランスのデメリット
一方、フリーランスのデメリットとしては、案件の受注状況によって収入が変動するなど、安定性に欠ける点が挙げられます。また、社会保障の面では自己管理が求められ、病気やケガによる収入減に備える必要があります。
契約の締結や請求書の発行、確定申告、営業や経理といったビジネス全般のスキルも求められ、それらの業務にかかる時間やコストも考慮しなければなりません。さらに、組織に所属しないため相談相手が少なく、孤独を感じやすいため、場合によってはコミュニティへの参加や情報共有の場を持つなど工夫が必要です。
正社員からフリーランスになるには?
正社員からフリーランスへの転向を考える場合、まずは自分が提供できる価値やスキルを明確にすることが重要です。エンジニアやデザイナー、ライターなど、専門性のあるスキルを持っている場合は案件を獲得しやすくなるでしょう。ただし、最近では営業やマーケティング、人事など、会社で培ったスキルや経験をそのまま活かせる案件も増えています。マッチングサービスなどで自身が得意な領域の案件を探してみるとよいでしょう。
会社を退職する際は、保険や年金の切り替え、確定申告などに関する知識も必要です。また、フリーランスとして継続的に成果を出すためにも、営業スキルや顧客とのコミュニケーション能力、自己管理能力などを磨いておきましょう。退職前に副業などで実績を作り、軌道に乗ってから独立する方法もおすすめです。
▼関連記事
フリーランスの始め方を5ステップで解説|会社員時代から必要な準備とは
フリーランスから正社員に戻るには?
一方、フリーランス経験者が正社員に戻ることも可能です。現在の転職市場では即戦力としてのスキルや実績が評価される傾向にあり、年齢を問わず採用ニーズがあります。前職がフリーランスだったかどうかよりも、培ってきたスキルや経験が重視されています。
転職サービスdodaの調査では、「2025年2月の転職マーケット」において、求人数は前年同月比106.5%。転職希望者数は同108.8%でした。(2025年4月時点情報)

出典:転職求人倍率レポート(2025年2月)(転職・求人doda(デューダ))
また、dodaの「転職成功者の平均年齢調査」によると、転職成功者の平均年齢は2022年が32.2歳、2023年が32.4歳、2024年が32.7歳と年々上昇しており、転職成功者に占める40代以上の割合も2022年が13.9%、2023年が14.9%、2024年が16.6%と大きく上昇していることがわかります。(2025年3月時点情報)
転職市場そのものの盛り上がりに加え、40代以上といった経験豊富なミドル層の転職においては成果を上げる能力があることを示せれば、前職がフリーランスであっても正社員であってもあまり問題にならないと考えられるでしょう。
まずは「正社員×副業」から始めるのがおすすめ
フリーランスへの転向に興味があっても、いきなり会社を辞めるのはリスクが大きいと感じる方も多いでしょう。まず正社員としてはたらきながら副業でフリーランス活動をスタートするのがおすすめです。副業が解禁されている企業であれば、平日の朝や夜などの空き時間や休日などに少しずつクライアントを開拓し、実績作りを行えます。
副業で安定的な収益が出るようになれば、フリーランスとしての独立を検討してもよいでしょう。すでに取引実績のあるクライアントを抱えていれば、独立後の収入に対する不安も軽減できます。ただし、勤務先の規定で副業が認められているかを事前に確認し、確定申告など税務処理にも注意することが大切です。
▼関連記事
独立したいなら副業から始めるのがおすすめの5つの理由|注意点や必要なステップも解説
【税理士監修】会社員の副業には確定申告が必要?20万円以下でも申告する必要があるケースとは
まとめ
正社員とフリーランスには、はたらき方や収入形態、社会保障、キャリアの選択肢など、多くの違いがあります。正社員は安定性や社会的信用を得やすい反面、自由度は低くなる傾向があります。一方、フリーランスは収入やはたらき方の面で自分の希望にあった環境を作りやすいものの、自分自身ですべてを管理する負担やリスクが存在します。どちらが合っているかはライフスタイルや価値観などによって異なるため、自分の目指すキャリア像や現在の状況を踏まえ、最適な選択ができるよう検討してみてください。
この記事が気に入ったら「シェア」