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副業の時間管理はどうする?気をつけるべき法律や副業活動の実態などを解説

副業の時間管理のイメージ

「副業を始めたはいいけど、本業との両立が難しくて寝不足気味…」
「気づけば納期ギリギリになるけど、どのように時間管理をすればいい?」

副業への関心が高まる一方で、このような時間管理の壁に直面している方は少なくありません。副業における時間管理は、単なるスケジュール調整術ではなく、キャリア・健康・人生を守るために重要です。

本記事では、時間管理が重要な理由や、時間管理をしないことで考えられるリスクなどを解説します。副業活動の実態も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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副業の時間管理が重要な理由

副業における時間管理は、単にタスクをこなすための技術ではありません。自身のキャリアと生活を守るために大切な基盤です。

副業の時間管理が重要な理由は、主に以下の3つです。

  • 本業との両立を図るため
  • 余暇やリフレッシュの時間も確保するため
  • 限られた時間の中で最大限の成果を出すため

それぞれ、具体的に解説します。

本業との両立を図るため

副業の時間管理が最も重視される理由の一つは、本業との両立を実現するためです。

本業のパフォーマンスを維持・向上させながら副業を行うには、明確な時間管理が必要です。時間管理が曖昧なままでは、副業の業務が本業の時間に影響しかねません。

たとえば、本業の就業中に副業の連絡に対応したり、疲労が抜けずに本業の集中力が散漫になったりする事態が考えられます。

計画的に時間を区切ることで、業務に集中できる環境を作り出し、本業と副業の双方で質を落とさずに活動できるようになるでしょう。

余暇やリフレッシュの時間も確保するため

自身の心身の健康を守り、長期的に活動を続けるためには、余暇やリフレッシュの時間を意図的に確保することが重要です。

副業に夢中になるあまり、プライベートの時間をすべて仕事に費やしてしまうと、心身の疲労が蓄積し、いずれ燃え尽きてしまう(バーンアウト)可能性があります。

スケジュールを立てる際には、仕事の時間だけでなく「何もしない時間」や趣味、家族や友人と過ごす時間も予定として組み込みましょう。意識的に休息を取ることで、創造性や生産性が向上し、結果として本業・副業双方のパフォーマンス向上も期待できます。

限られた時間の中で最大限の成果を出すため

副業に充てられる時間は、本業がある以上、どうしても限られます。貴重な時間を最大限に活用し、効率的に成果を出すためにも、時間管理は欠かせないスキルです。

あらかじめ「いつ、何を、どれくらいやるか」を計画しておくことで、作業への取り掛かりがスムーズになります。行き当たりばったりで作業をすると、優先順位の低いタスクに時間を費やしたり、作業の切り替えに手間取ったりと、無駄な時間が生まれがちです。

時間管理をすれば作業の全体像と優先順位が明確になり、限られた時間の中でも高い実力を発揮できるようになるでしょう。

副業の時間管理をしないことで考えられるリスク

時間管理の重要性を理解していても、実践を怠るとさまざまなリスクが生じます。時間管理をしないことで起こりうる具体的なリスクは、主に以下の4つです。

  • 労働基準法違反となる可能性がある
  • 心身の健康を損ねるリスクが高まる
  • 本業のパフォーマンスが低下する恐れがある
  • 納期が遅れることでクライアントからの信頼が低下する可能性がある

以下、それぞれ具体的に解説します。

労働基準法違反となる可能性がある

副業の時間管理を怠ることで、本業の企業が意図せず労働基準法に違反してしまうリスクがあります。

労働基準法第38条第1項では、労働時間は異なる事業場(本業の会社と副業先)の労働時間を通算すると定められており、本業と副業がどちらも雇用契約の場合、労働時間の通算が必要となります。逆に、どちらか一方でも業務委託など雇用契約に該当しないはたらき方をしている場合、労働時間の通算は不要です。

本業と副業がどちらも雇用契約の場合、本業で1日8時間はたらいた後に、副業で2時間はたらいた場合、その日の総労働時間は通算され10時間になります。法定労働時間を超えた2時間分については、労働契約や労働条件に応じて本業の企業または副業先の企業が割増賃金を支払う義務を負います。

労働時間の管理・申告が不正確だと割増賃金が支払われず、企業が法違反に問われる可能性があるため注意が必要です。自身の労働時間を正確に把握し、適切に申告することは、自分と企業を守るための責務ともいえるでしょう。

出典:労働基準法(e-Gov法令検索)

労働時間の上限規制や36協定に関する具体的な内容は、こちらの記事で詳しく解説しています。

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【社労士監修】副業の労働時間の考え方とは?本業と通算するケースや計算方法を解説

心身の健康を損ねるリスクが高まる

無計画に副業を続けると、心身の健康を著しく損なう恐れがあります。

本業の疲れが癒えないまま深夜まで副業をしたり、休日をすべて返上して作業に没頭したりする生活が続けば、睡眠不足や過労が慢性化します。

集中力や判断力の低下を招くだけでなく、ストレスの増大から精神的な不調を引き起こす原因にもなりかねません。最悪の場合、うつ病などの精神疾患や、過労による深刻な健康被害につながることも考えられます。

副業はあくまで本業や生活を豊かにするための手段です。そのために健康を犠牲にすると、本末転倒になることを覚えておきましょう。

本業のパフォーマンスが低下する恐れがある

副業による疲労の蓄積や時間の圧迫は、本業のパフォーマンスに直接的な影響を及ぼす恐れがあります。

慢性的な睡眠不足や集中力の欠如は、日中の業務におけるミスや効率の低下を招く可能性があるためです。また、常に副業の納期やタスクのことが頭の片隅にある状態では、たとえば重要な会議や判断が求められる場面で適切な判断ができません。

結果として、本業での評価が下がってしまったり、昇進の機会を逃してしまったりする可能性があります。副業が本業に支障をきたさないよう意識することは、社会人としてのマナーであり、自身のキャリアを守るためにも不可欠です。

納期が遅れることでクライアントからの信頼が低下する可能性がある

副業における納期遵守は、クライアントからの信頼を得るために欠かせない条件です。時間管理ができておらず、安易にキャパシティを超える仕事を引き受けてしまうと、納期の遅延を引き起こすリスクが高まります。

一度でも納期に遅れると、「この人に任せても大丈夫だろうか」とクライアントに不安を与え、信頼関係に傷がつく可能性があります。信頼の失墜は、継続的な案件の喪失や、業界内での評判の低下に直結しかねません。

自身の対応可能な業務量を見極め、確実に納期を守ることが大切です。

副業の時間管理をする方法

リスクを回避し、副業を成功に導くためには、具体的な時間管理の方法を実践することが不可欠です。ここでは、誰でも今日から始められる4つの具体的な方法を紹介します。

  • 週単位や日単位の「時間割」を作成する
  • タスクの受注量をコントロールする
  • タスクやスケジュール管理ツールを活用する
  • タイムトラッキングツールで作業時間を記録する

これらを組み合わせることで、あなたに合った時間管理の仕組みを構築できるでしょう。

週単位や日単位の「時間割」を作成する

まず着手すべきは、学生時代の時間割のように、週単位・日単位で活動時間を可視化することです。これにより、漠然としていた「使える時間」が明確になります。

はじめに、睡眠・食事・入浴といった生活に必須の時間と、本業の勤務時間をスケジュール帳やカレンダーアプリに書き出しましょう。その結果残った時間が、あなたが副業やプライベートに使える「可処分時間」です。

次に、その可処分時間の中から、週に何時間を副業に充てるかを決め、具体的な曜日や時間帯を「副業時間」として固定します。たとえば、「平日は21時から22時の1時間、土曜は午前中に3時間」といった具合です。

時間割を作ることで、日々の行動にリズムが生まれ、計画的に副業に取り組めるようになります。

タスクの受注量をコントロールする

時間管理をするうえで、自身のキャパシティを把握し、それに基づいてタスクの受注量をコントロールすることも欠かせません。副業を始めたばかりの頃は、意欲が先行して多くの案件を引き受けてしまう傾向にありますが、これは非常に危険です。

まずは、一つのタスクを完了するために、自分がどれくらいの時間を要するのかを計測してみましょう。その実績を元に、先ほど作成した「時間割」の範囲内で無理なく完了できる業務量を見極めます。

クライアントから新しい依頼があった際は即答するのではなく、現在のタスク量と自身のスケジュールを照らし合わせて、納期内に対応可能か冷静に判断する癖をつけましょう。

時には勇気を持って断ることも、長期的に信頼を維持するためには必要な判断です。

タスクやスケジュール管理ツールを活用する

現代では、時間管理をサポートしてくれる便利なツールが数多く存在します。ツールを活用することでタスクの抜け漏れを防ぎ、効率的なスケジュール管理が可能になるでしょう。

カレンダーアプリは、本業・副業・プライベートの予定を一元管理するのに役立ちます。タスク管理ツールを使えば、案件ごとの進捗状況を可視化し、優先順位をつけてタスクを整理することが可能です。

自分に合ったツールを見つけて活用することで、頭の中だけで管理するよりも格段に抜け漏れや遅延を防げます。

タイムトラッキングツールで作業時間を記録する

自分が「何に」「どれくらいの時間を使っているか」を正確に把握するために、タイムトラッキングツールを活用することも適切です。

タイムトラッキングツールとは、作業時間を記録・分析するためのツールのことを指します。作業時間のデータが蓄積されることで、より正確な見積もりやスケジュール作成が可能です。

また、「集中が途切れがちな時間帯」や「生産性が高い時間帯」など、自分自身のはたらき方の癖を発見することにもつながります。

生産性を高めて効率よく副業をするためには、感覚ではなく事実に基づいて時間を管理することが大切です。

副業活動の実態

「理論はわかったけれど、実際に他の人はどれくらい副業に時間をかけているのだろう?」と不安や疑問を持つ方も多いでしょう。

ここでは、調査データを基に、副業活動のリアルな実態を紹介します。

具体的な数値を知ることで、あなた自身のスケジュールを立てる上での現実的な目標設定に役立ててください。

副業の1か月の活動時間の中央値は20時間

副業にどれくらいの時間を割けば良いか、明確な答えはありません。ただ、多くの人が無理のない範囲で活動していることがデータからわかります。

株式会社パーソルキャリアが運営するHiProの「副業・フリーランス人材白書2025」によると、副業人材の1か月あたりの活動時間の中央値は20時間でした。

最も多い活動時間は「11〜20時間/月」で、ハイクラス層は全体の21.2%、メンバークラス層(※)は全体の18.5%を占めています。仮に月20日はたらいた場合、1日あたり30分~1時間の計算です。

(※)
ハイクラス層:本白書における基準として「年収総額(一時的な収入や不労所得除く)が800万円以上」とした。
メンバー層:本白書における基準として「年収総額(一時的な収入や不労所得除く)が800万円未満」とした。

出典:副業・フリーランス人材白書2025(HiPro)

次いで「21〜40時間/月」がハイクラス層は18.0%、メンバークラス層は15.7%となっており、1日あたり1〜2時間程度の活動がボリュームゾーンであることが見てとれます。

まずはこの数値を参考に、現実的な計画を立てることが、副業を長く続けるための第一歩と考えられます。

会議・打ち合わせは平日の早朝・夜や休日(土日・祝日など)が多い

本業がある中で、クライアントとの打ち合わせ時間をどのように確保するかは大きな課題です。しかし、この点についても、多くの人が柔軟に対応している実態が明らかになっています。

同じくHiProの「副業・フリーランス人材白書2025」の調査結果を見ると、副業における会議や打ち合わせは、本業に影響の少ない時間帯に設定される傾向があります。「平日の早朝・夜」や「休日(土日・祝日など)といった回答が多く、これらを合わせると半数を超えます。

出典:副業・フリーランス人材白書2025(HiPro)

副業を始める際は、こうした時間帯に柔軟に対応できるかをあらかじめクライアントとすり合わせておくと、スムーズに業務を進められるでしょう。

副業の時間管理でよくある質問

ここでは、副業の時間管理に関して多くの方が抱える具体的な質問に回答します。タスク漏れや急な予定変更への対処法など、実践的なヒントを参考に、時間管理術を身につけましょう。

Q1.タスク漏れや納期遅れを防ぐための方法は?

タスク漏れや納期遅れを防ぐには、「タスクの可視化」と「バッファ(予備時間)の設定」が効果的です。

まず、依頼された仕事は、どんなに小さなものでも必ずタスク管理ツールや手帳に書き出して一覧化しましょう。そして、それぞれのタスクに優先順位と締め切りを設定します。

このとき、実際の納期よりも少し早めに「自分用の締め切り」を設定しておくのがポイントです。予備時間があることで、不測の事態が起きても慌てずに対処でき、納期の遅延を防げます。

また、抜け漏れ防止のためには、一日の始まりにその日のタスクを確認し、一日の終わりに見直す習慣をつけることも大切です。

Q2.効率よく副業の時間を確保するコツは?

効率よく副業時間を確保するコツは、「スキマ時間の活用」と「やらないこと(ToDon't)を決める」ことです。

通勤電車の中や昼休み、アポイントの合間など、日常生活には5分や10分といったスキマ時間が点在しています。メールの返信や情報収集、タスクの整理など、細切れの時間でできる作業をあらかじめリストアップしておくと、時間を有効活用することが可能です。

同時に、時間を生み出すためには何かをやめる決断も必要です。自分の生活を見直して優先度の低い行動を減らすことで、まとまった時間を確保できる場合があります。

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Q3.急な予定変更や本業が繁忙期の場合の対処法は?

急な予定変更や本業の繁忙期は誰にでも起こり得ます。パニックにならず、冷静かつ迅速に対応することが大切です。

まず、状況を把握し、副業のスケジュールにどの程度影響が出るかを見極めます。もし、クライアントに約束した納期に間に合わない可能性が出てきた場合は、できるだけ早い段階で、正直に状況を報告し、相談することが不可欠です。

その際、「いつまでなら対応可能か」という代替案を提示すると、相手も安心しやすくなります。普段からクライアントと良好なコミュニケーションを築き、タスクの進捗を共有しておくことも、こうした緊急時の助けになります。

無理に一人で抱え込まず、早めに相談・連携することが信頼を維持するうえで重要です。

適切な時間管理で安心して副業ができる環境を整えよう

本記事では、副業における時間管理の重要性から、管理を怠った場合のリスク、そして具体的な管理方法や副業活動の実態までを解説しました。

時間管理は、自分の心身を守る盾としても、時間効率を向上するための武器としても役立ちます。どちらの性質も活かすことで、持続可能で豊かな副業ライフを実現できるようになるでしょう。

まずは、あなたの「可処分時間」を書き出し、現状を把握することから始めてみてください。あなたの副業をより良い方向へ導く、確かな第一歩となるはずです。

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