MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?進め方や企業が定めた具体例を解説
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)は、自社の存在意義や役割を認識するための考え方です。MVVを策定する際には、MVVそれぞれの意味や具体的な策定方法を知っておく必要があります。本記事では、MVVの概要や策定手順をまとめています。MVVの活用で迷われている方はぜひ参考にしてください。 MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは、以下3つの要素の頭文字をとってつけられた言葉です。 Mission(ミッション) Vision(ビジョン) Value(バリュー) Mission(ミッション) Mission(ミッション)とは、企業の使命や存在意義のことです。なぜ企業が存在するのか、社会にどのような価値を提供するのかなど、ミッションは企業のなすべきことを定めます。 Vision(ビジョン) Vision(ビジョン)とは、企業や組織のあるべき姿を示したものです。ビジョンは、ミッションを実現するために必要となる、企業の中長期的な目標や状態を明確にします。 Value(バリュー) Value(バリュー)とは、企業が具体的に取り組む行動指針や基準のことです。ミッションやビジョンを実現するために、バリューでは企業全体の行動原理を明確化します。 このように、MVVは3つの観点で企業の方針を策定する考え方です。具体的には、ミッション達成のためにビジョンを明確化し、ビジョンの実現に向けて具体的なバリューを定めていきます。MVVは、3つの要素がつながっているため、どれかひとつでも欠けてはなりません。 MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)策定の手順 MVVの策定は、以下5つの手順で進めることが効率的です。 目的の明確化 経営理念の作成 ミッションの決定 ビジョンの明確化 バリューの言語化 1.目的の明確化 まずは、PEST分析を使って自社の現状や課題を明確化し、目的を決めます。 PEST分析とは、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの要素から、自社を取り巻く環境や社会の変化をとらえるフレームワークです。 PEST分析は社会環境をとらえられるため、自社の基準だけではなく、社会情勢も加味したうえで適切な使命を考えられるようになります。 2.経営理念の作成 続いて、3C分析を使って経営理念を作成します。 3C分析とは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの要素から、自社のマーケティング戦略を立案するためのフレームワークです。自社や顧客に加えて競合他社の分析も実施できるため、他社との差別化に有効です。他社との差別化により、自社だからこそ与えられる社会への影響を明確にできるでしょう。 3.ミッションの決定 今までの分析結果をもとにミッションを決めていきます。ミッションは最も重要な概念のため、経営目線から納得できるものを策定しなければなりません。 なかなか決まらないときは、同じ業界の企業のミッション や、似たような規模の企業を参考にするとよいでしょう。 4.ビジョンの明確化 ビジョンとは、ミッション達成のために必要となる理想の企業・組織の状態を指します。そのため、ミッションに関連したビジョンを定める必要があります。 もし、ミッションとビジョンに関連性がなければ、その後のバリューを適切に導き出せません。 5.バリュー の言語化 ミッションやビジョンの実現に向けて、社員がとっていくべき模範となる行動を言語化します。 バリューを正しく導くことで、企業全体に共通の認識が広がるため、ミッションやビジョンの実現に向けた行動も自然と実行できるはずです。 MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を浸透させるポイント MVVを浸透させるためには、以下5つのポイントが重要です。 関連性の高いMVVを策定する 印象に残る言葉を意識する 短期的な結果を見込まない 従業員がMVVを自分事化する 経営者からのメッセージを発信する 関連性の高いMVVを策定する MVVは、3つの要素がそれぞれ関連している必要があります。もし、3つの要素に関連性がない場合、従業員が自社の存在意義や役割を意識できないまま、日頃の業務に取り組むことになりかねません。 その場合、企業が期待しているミッションやビジョンが達成できない恐れがあります。MVVに一貫性を持たせることで、従業員にも伝わりやすくなり、社会貢献ができる企業へと成長が期待できるでしょう。 印象に残るMVVを設定する MVVは、従業員が日頃から意識しながら業務を実行していかなければならないため、覚えやすい言葉にするとよいでしょう。3つの要素をそれぞれ長い文章にしてしまうと、一度見ただけでは頭に残らず、定着するまでに時間を要します。 また、誰が見ても内容を理解できるように、専門用語を使わないことも重要です。 短期的な効果を見込まない MVVは、策定してすぐに社内全体へ浸透することはありません。そのため、短期的な成果を見込まず、中長期的に取り組むことが大切です。 また、MVVなどの行動指針は、作ったらそのままになってしまうケースが多く見られます。重要なポイントは、継続的に少しずつ浸透させていくことです。 従業員がMVVを自分事化する せっかくMVVを策定しても、従業員の理解を得られなければ意味がありません。なぜなら、企業のミッションやビジョンは、経営者だけではなく、実際の業務を行う従業員のことも意識する必要があります。 だからこそ、社内報などを使って継続的にアピールする、目標設定にMVVを盛り込むなど、従業員がMVVを自分事化するためのきっかけづくりを心がけましょう。 経営者からのメッセージを発信する MVVは、企業の方針に関わる重要な役割を持つため、経営者自身で発信することが大切です。経営者がメッセージを発信することで、MVVの重要性が従業員へ伝わりやすくなります。 もし人事などの部署から発信した場合、経営者と比べて影響力が落ちてしまうため、従業員のなかにはMVVの重要性が伝わらないケースもあるでしょう。 そのため、MVVを浸透させたい場合は、経営者自身が発信する機会を作ることをおすすめします。 まとめ MVVはミッション、ビジョン、バリューの3つの観点で企業の方針を定める考え方です。社会に対してどのような役割を持つべきかという企業の方針は、ビジネスをするうえで定めておかなければなりません。 自社の存在意義や役割が不明確であれば、今回の記事を参考にMVVを策定しましょう。