副業から起業するメリットやデメリットは?法人化のタイミングを紹介

将来的な起業を踏まえて、リスクヘッジ策として挙がるのが副業からの起業です。しかし、スモールスタートで起業の準備を進めようと考える一方で、「そもそも副業からスタートして、起業まで持っていくことができるのか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
副業でビジネス基盤を形成してから起業する場合、退職後すぐに起業するよりもリスクを減らすことが可能です。
本コラムでは、副業で起業することのメリットやデメリット、副業をベースに起業する方法をご紹介します。「副業に興味がある」「副業から始めて将来は起業したい」と考える方は、ぜひ最後までお読みください。
副業から起業する2つの方法

起業とは、新しく事業を起こすことです。副業として事業を起こす際は、法人と個人事業主の2種類の方法があります。
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副業のビジネスを法人化する
1つ目は、副業で提供するソリューションを基盤に、法人化を図ることです。一般的には長期的な事業拡大や従業員の採用を見越している場合、資金調達や事業継承の観点から法人化を選ぶ傾向にあります。
法人化するためには資本金や登記の手続きなど、さまざまな手続きが必要です。法人は社会からの信用度が高く、節税しやすいというメリットがあります。そのため、個人事業主から法人設立を通じて、事業を拡大する方もいます。
会計、事業計画、マーケティング、経営方法など、法人化には幅広い知識が求められます。そのため、起業当初は、専門分野のプロフェッショナル人材に有償で依頼される方も多いです。税理士に依頼した場合、確定申告、所得税、節税や経費という税金に関するアドバイスや申請代行をしてくれます。
個人事業主として起業する
2つ目は、個人事業主として起業することです。一般的には副業の収入が20万円を超え、確定申告が必要になった場合に、個人事業主を選ぶ傾向にあります。個人事業主の場合、税務署に開業届を提出するだけで起業ができるため、法人化と比べると手続きが簡単です。また、資本金が不要であるため、起業に必要な資金を抑えられます。
しかし、一般的に法人よりもクレジットカード等の各種審査が通りにくいというデメリットもあります。特に就業先を退職し、個人事業主として独立する場合は注意が必要です。
また、個人事業主は社会保険の負担が会社と折半ではなく、全額負担する必要があります。とはいえ、個人事業主は資本金を必要としないため、スモールスタートで事業を展開できることが魅力です。まずは個人事業主として起業し、事業が安定したら法人化するほうがよいでしょう。
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副業の法人化はタイミングが重要!法人化のタイミングと判断基準
副業を法人化するタイミングは、早すぎると設立・維持コストが負担になる一方、遅すぎると得られたはずの利益を逃す可能性があります。法人化を検討する際は、事業がいくつかの転換点に達したときが目安となります。
ここでは、判断の参考となるポイントを5つ紹介します。
年間所得が500万円~800万円を超えたとき
副業による年間所得(売上から必要経費を差し引いた利益)が500万円〜800万円程度に達した場合、法人化を検討するタイミングの一つです。所得税・住民税と法人税の合計負担を比較すると、このあたりで法人化のメリットが現れる場合があります。
個人の所得税は、所得が増えるほど税率が高くなる「超過累進課税」が採用されており、税率は5%から最大45%まで7段階に分かれています。住民税(一律約10%)と合わせると、最大で約55%程度の負担になることがあります。
一方、中小企業の法人税率は、所得800万円以下の部分で15%(適用除外事業者は19%)、800万円を超える部分で23.2%です。ただし、地方税や控除の影響で実効税率はやや高くなる場合があります。
この所得額はあくまで目安であり、最適なタイミングは、役員報酬の設定や会社内部にどれだけ利益を留保するかなど、事業戦略によって変わります。
将来的に利益の多くを会社に残して設備投資や新規事業に回す計画がある場合、個人所得がそれほど高くない段階でも法人化する方が、税負担を抑えつつ事業を成長させられる点で有利になることがあります。
出典:No.2260所得税の税率(国税庁)
出典:No.5759法人税の税率(国税庁)
出典:個人住民税(総務省)
課税売上高が1,000万円を超えたとき
個人事業主は、2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えると、その年から消費税の納税義務が発生します。新設法人は設立1期目と2期目には基準期間が存在しないため、このタイミングで法人を設立すると、原則として最大2年間は消費税の納税義務を免除可能です。
たとえば、売り上げ1,100万円(うち消費税100万円)の場合、この100万円を納税せず事業資金として活用できます。
ただし、2023年10月開始のインボイス制度の影響で、取引先が課税事業者の場合は免税選択のメリットを享受しにくいことがあります。BtoB取引では、免税メリットと取引先の利便性を考慮した判断が必要です。
出典:No.6501 納税義務の免除(国税庁)
出典:No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例(国税庁)
出典:インボイス制度の概要(国税庁)
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社会的信用や事業拡大が必要になったとき
事業が成長し、より大きな取引や資金調達を目指すフェーズに入ると、個人事業主での信用力に限界がある場合があります。法人は、法務局に登記されて情報が公開されることで、個人事業主よりも高い社会的信用を得やすいとされているためです。
具体的には、以下のような事業拡大に直結するメリットをもたらします。
- 法人名義の銀行口座開設がスムーズになる
- 金融機関からの融資が受けやすくなる
- 個人事業主とは取引しない企業との契約が可能になる
特に、日本政策金融公庫などが提供する創業者向けの融資制度は、法人格を持つことでより活用しやすくなる場合があります。
また、法人は出資額の範囲で責任を負う「有限責任」が原則です(個人保証をした場合などを除く)。事業拡大に伴うリスク管理の観点でも、法人化は有効な選択肢となります。
家族に給与を支払いたい場合
配偶者や親族が事業に協力してくれる場合、法人化することで所得を分散させることができます。法人では役員に就任した家族に「役員報酬」を支払い、会社の必要経費として計上可能です。累進課税を考えると、一人の高額所得者に集中するよりも、複数人に分散する方が世帯全体の税負担を抑えられる可能性があります。
たとえば、社長一人で年収1,000万円を受け取ると、給与所得控除や基礎控除が社長一人に限られます。社長700万円、配偶者(役員)300万円と分ければ、それぞれに給与所得控除や基礎控除が適用されるため、世帯全体の手取り額が増える可能性があるでしょう。
個人事業主でも青色事業専従者給与を利用できますが、適用条件が厳格であり、役員報酬ほど柔軟性や節税効果は期待しにくい点に注意が必要です。
家族と共に事業を成長させていくビジョンがあるなら、法人化は非常に合理的な選択といえるでしょう。
代表取締役を自分以外に任せたい場合
副業を事業資産として捉え、将来的な事業承継や売却(M&A)を視野に入れる場合、法人化は重要です。法人は独立した人格を持つため、株式譲渡を通じて経営権をスムーズに他者に移すことができます。
また、本業の就業規則上、自身が代表取締役になれない場合でも、信頼できる家族やパートナーを代表にして事業を運営できるのも法人の利点です。事業の永続性や柔軟な経営体制を作るうえで、法人格は有効な基盤となります。
副業から起業することのメリット
副業から起業することには、さまざまなメリットがあります。副業の解禁が推奨されている今、早くから始めておいて損はありません。起業・副業のメリットは以下のとおりです。
- 本業とは別の手段で収入をアップできる
- 低リスクで起業できる
- 経営スキルを養える
それぞれ解説します。
本業とは別の手段で収入をアップできる
そもそも副業には、本業以外で収入を得られるメリットがあります。そのうえで副業が安定軌道に乗った状態で起業すれば、事業のスケールを高めながら、収入を上げていくこともできるでしょう。これは総収入が上がるだけでなく、将来的に本業を超える収入源を生み出すことにもつながります。
また、起業のメリットは節税ができることです。事業活動に必要な出費であれば、経費として計上することができます。
低リスクで起業できる
副業から起業するメリットは、低リスクであることです。本業を辞めて独立・開業する場合、資金調達に不安がありますが、副業から起業する場合であれば、金銭的なリスクをより小さい状態に抑えられます。
また、副業の参入ハードルは着実に下がっており、スマートフォン一台でも始められる時代です。アフィリエイトや動画編集など、事業内容によっては初期費用を最小限に抑えながら副業をスタートすることもできるでしょう。
経営スキルを養える
起業をすると、売上やコストの管理、マーケティングやセールス、請求書の発行などの事務作業といった、経営のためのさまざまな業務を行う必要があります。自身でビジネスの全体像を把握し、業務を管理する経験を通じて、経営者としての視点やスキルを身につけることができます。
スモールスタートできる副業での起業は、経営者として成長するための有効な手段といえるでしょう。
副業から起業することのデメリット
副業からの起業は、メリットだけではありません。起業のデメリットを理解し、対策を講じておくことが重要です。ここからは、副業から起業するデメリットについて解説していきます。
オーバーワークとなる可能性がある
副業から起業し、本業と両立する場合は、オーバーワークに注意しましょう。会社員が副業する場合は、土日や業務後の時間に働くことになります。副業や起業の準備、本やセミナーでの勉強など、時間がかかります。
副業は稼働すればするほど収入が増えるため、キャパシティを超えた仕事を受けてしまい、オーバーワークとなりかねません。
また、本業と両立しながら登記の手続きや株式会社の設立、起業における人材集めなど多くのことを行わなければならないことも、オーバーワークとなる可能性のひとつです。
オーバーワークになると最悪の場合、大きく体調を崩してしまうリスクもあります。対処法としては、副業が本業に影響が出ないように適度に休息を取りつつ、自分の稼働可能な業務量を把握することです。
会社の規程に違反する可能性がある
世間的に副業は推奨されているものの、今も副業を禁止にしている企業は少なくありません。
厚生労働省のモデル就業規則では、会社が副業を禁止・制限できる理由として、次の4つが示されています。
① 労務提供上の支障がある場合
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合※引用:モデル就業規則(厚生労働省)
副業を始める際は、会社の就業規則や副業の業務内容を確認し、競業避止義務や秘密保持義務などに違反しないかを確かめましょう。
初期費用がかかる
一般的な起業方法では、手続きやオフィス代、人件費などの費用がかかります。その額が多い場合、資金調達が必要な場合もめずらしくありません。
主な資金調達の手段として、次の出資元から融資を受けることができます。
- 日本政策金融国庫
- クラウドファンディング
- ベンチャーキャピタル
- エンジェル投資家
- 地方銀行
- メガバンク
- 補助金、助成金、支給金
それぞれ融資の条件が異なるため、自分自身の事業内容に合うものを選ぶことが重要です。副業の種類によって、初期投資の金額は変わります。初期投資に多額のお金がかかるような事業を選んでしまうと、初期の段階でうまくいかずに破綻してしまう恐れがありますので、注意しましょう。
副業から個人事業主として起業する流れ
副業で起業する流れは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、個人事業主として起業する場合の流れを簡単に説明していきます。
開業届の提出
個人事業主の場合、事業開始から1ヵ月以内に税務署に開業届を提出する必要があります。
また、青色申告特別控除を受けたい場合は、申告期限などを確認し、早めに提出しましょう。
事業開始等申告書の提出
事業開始申告書は、各都道府県に自身の事業の開始を申告するための書類です。各自治体に提出する書類で、各自治体によっては提出期限や呼び方が違う場合があるため、まずは各自治体に問い合わせて確認を取りましょう。
青色申告承認申請書の提出
事業開始から2ヵ月以内に、青色申告承認申請書を提出しましょう。青色申告をすることで、青色申告特別控除や赤字の損益繰越ができます。
最大65万円まで特別控除を受けられるため、個人事業主は白色申告より青色申告を始めるのがおすすめです。
税理士を探す
税金関係で困ったことがあったときに、頼りになるのが税理士です。節税や確定申告、その他の税金の悩みなども顧問税理士がいれば、スムーズに手続きができます。
顧問料が発生するものの、個人事業主における書類手続きや補助金・助成金のアドバイス、経費にできるもの、節税、起業のノウハウなど、さまざまなサポートを提供してくれます。
一方で、近年ではネットで確定申告や税金納付ができる便利な会計ツールが台頭してきたため、収入が少ないうちはこちらを利用しても問題ありません。起業後に順調に収入が増えてきてから顧問税理士に相談するなど、将来を見据えてビジネスの適切な対処をすることがおすすめです。
副業を法人化するまでの流れ
法人化を決断したら、次は具体的な設立手続きに進みます。一見複雑に見えますが、一つ一つのステップを確実に進めれば、誰でも会社を設立することは可能です。
ここでは、株式会社の設立を例に、その全体像を6つのステップで解説します。
1.会社形態を選択する
まず、設立する会社の形態を決定します。主な選択肢は「株式会社」と「合同会社」の2つです。
株式会社は、株式を発行して資金調達ができ、社会的信用が高い反面、設立費用も高めです。将来的に外部からの出資を受けたい、事業の規模を大きくしたい場合に適しています。
一方、合同会社は設立費用が安く、経営の自由度が高いのが特徴です。出資者(社員)自身が経営を行うため、迅速な意思決定が可能です。まずはスモールスタートを切りたい場合に適した形態と言えるでしょう。
2.法人用の印鑑を作成する
会社を運営していく上で、いくつかの印鑑が必要になります。
最低限、以下の3つは作成しておきましょう。
代表者印(会社実印) | 法務局に登録する、会社にとって最も重要な印鑑です。契約書など公式な書類に使用します。 |
銀行印 | 法人名義の銀行口座を開設する際に、金融機関に届け出る印鑑です。 |
角印(社印) | 請求書や領収書など、日常的な業務で会社名を示すために使用する認印です。これらの印鑑は、登記申請前に準備しておく必要があります。 |
3.定款を作成する
定款(ていかん)とは、会社の組織や運営の基本的なルールを定めた重要な書類です。定款には、以下の3つの項目があります。
- 必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」
- 記載しなければ効力が生じない「相対的記載事項」
- 任意で定められる「任意的記載事項」
特に絶対的記載事項に漏れがあると定款自体が無効になるため、注意が必要です。また、株式会社の場合、作成した定款は公証役場で認証を受ける必要があることも覚えておきましょう。
4.代表者名義の銀行口座に資本金を払い込む
定款の作成と並行して、資本金の払込みを行います。
資本金は1円からでも会社を設立できますが、事業の元手となる資金であり、会社の信用度を示す指標でもあるため、適切な額を設定することが重要です。
払込みは、発起人(会社設立の企画者)個人の銀行口座に、各発起人が出資額を振り込む形で行います。
そして、その通帳のコピーなどを添付した「払込証明書」を作成し、登記申請の際に提出します。
5.登記書類を作成・提出する
設立準備の最終段階が、法務局への登記申請です。
登記申請書をはじめ、定款、役員の就任承諾書、印鑑証明書、資本金の払込証明書など、これまで準備してきた書類一式を揃え、会社の本店所在地を管轄する法務局に提出します。
書類に不備がなければ登記が完了し、会社が法的に成立します。この登記申請日が、会社の設立日となります。
6.必要書類を税務署・自治体等に提出する
登記が完了しても、それで終わりではありません。
速やかに税務署・都道府県税事務所・市区町村役場へ「法人設立届出書」を提出する必要があります。
従業員(役員1名でも)を雇用する場合は、年金事務所へ健康保険・厚生年金保険の新規適用届が必要です。また、労働基準監督署やハローワークへ労働保険関係の届出も必要になります。
これらの手続きを怠ると、税制上の優遇措置が受けられなくなったり、罰則の対象となったりする可能性があります。必ず忘れずに行いましょう。
副業を法人化する際に必要な書類一覧
法人設立の手続きには、多くの書類が必要となります。抜け漏れなく準備を進めるために、株式会社(内国普通法人)を設立する場合の主要な必要書類を一覧にまとめました。
【必ず提出が必要な書類】
書類名 | 提出期限 |
法人設立届出書 | 設立の日から2か月以内 |
源泉所得税関係の届出書 | - |
消費税関係の届出書 | - |
【必要に応じて提出する書類】
書類名 | 提出期限 |
青色申告の承認申請書 | 設立第1期目から青色申告の承認を受ける場合 |
棚卸資産の評価方法の届出書 | 設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限まで |
減価償却資産の償却方法の届出書 | 設立第1期の事業年度の確定申告書の提出期限まで |
有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出書 | 有価証券を取得した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限まで |
定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請書 | 適用を受けようとする事業年度終了の日まで |
事前確定届出給与に関する届出書 | 設立の日以後2か月を経過する日まで |
これらの多くは、法務局のウェブサイトでテンプレートが提供されています。必要な項目を漏れなく記入し、適切に提出しましょう。
副業での起業を成功させるポイント
本業がありながら副業での起業を成功させるには、どうすればよいのでしょうか?ここでは、副業での起業を成功させるためのポイントを紹介します。
事前に勤務先の就業規則や副業規定を確認する
副業で法人設立を考える際に、まず確認しておきたいのが勤務先の就業規則です。多くの企業では副業に関する規定が設けられており、許可が必要な場合や、特に競合する事業を制限しているケースがあります。
就業規則に反してしまうと、注意や処分を受ける可能性も考えられます。法人を設立すると代表者の氏名や住所は登記情報として公開されるため、本業の会社に知られる可能性は高いといえるでしょう。
こうした点を理解したうえで、自社の就業規則を事前に確認することが重要です。許可制なのか届出制なのか、禁止されている業種があるかどうかを把握してから動くと安心です。
本業を疎かにしない
副業での起業を成功させることに力を入れるあまり、本業が疎かにならないように気を付けましょう。
本業での評価が下がると、副業にも悪影響を及ぼす可能性があります。本業で高いパフォーマンスを維持することで、安定した収入を確保し、精神的な余裕を持って副業に取り組むことができます。
目標を立て、計画的に副業を行う
具体的な目標を設定し、計画的に副業を行うことが成功への鍵となります。目標を細分化し、達成するための具体的なアクションプランを立てることで、ビジネスの成功率が高まります。例えば、短期、中期、長期の目標を設定し、それに基づいた行動計画を作成することが効果的です。
また、時間が限られる副業での起業は、スケジュール管理も大切です。毎日のタスク管理や休憩時間を含むスケジュール管理を徹底し、無理なく達成できる目標設定を心掛けましょう。
起業や経営の相談ができる人を見つける
起業は一人で行うよりも、経験者や専門家に相談することでスムーズに進みます。ビジネスのアドバイスを受けられる人を見つけ、定期的に意見を交換することが重要です。例えば、同業者の勉強会に参加する、インキュベーション施設を利用するなどして人脈を広げ、信頼できる相談相手を持つことで、事業を発展させやすくなるでしょう。
起業を見据えた副業の職種例
本業にすることを見越して、副業を選ぶことも大切です。具体的に起業を見据えた副業として、どのようなものがあるのかを紹介していきます。
営業マネジメント
営業マネジメントの専門家は、単に商品を売る代行をするのではありません。クライアント企業の売り上げ目標達成のために、市場分析から営業戦略の立案、具体的な営業プロセスの設計、人材育成までを包括的に支援します。
業務を遂行するには、以下の能力が必要です。
- 市場や競合を分析する論理的思考力
- チームを牽引して実行するプロジェクト推進能力
- 経営層や現場の営業担当者と円滑に連携するコミュニケーション能力
営業マネジメントは、法人として契約することでクライアントからの信頼を得やすくなります。大規模なプロジェクトの受注につながりやすくなるでしょう。
経営コンサルタント
経営コンサルタントは、企業が抱えるさまざまな経営課題を解き明かし、解決へと導く専門家です。
まず、クライアントへのヒアリングや詳細なデータ分析を通じて、課題の真因を特定します。その後、論理的な思考に基づいて具体的で実行可能な解決策を策定し、経営陣に対して説得力のあるプレゼンテーションを行います。
必要とされるスキルは多岐にわたりますが、特に重要なのは以下の3つです。
- 複雑な事象を構造化して本質を見抜く「論理的思考力」
- 実現可能な解決策を導き出す「問題解決能力」
- 自らの提案をクライアントに理解・納得させる「プレゼンテーション能力」
企業の経営という機密性の高い領域を扱うため、信頼関係が欠かせません。法人として起業すれば、クライアントからの信頼を得られやすくなるでしょう。
業務改善コンサルタント
業務改善コンサルタントは、企業の日常業務に潜む「ムリ・ムダ・ムラ」を発見し、業務プロセス全体を最適化する専門職です。
現場の従業員へのヒアリングや業務フローの可視化を通じて現状を分析し、非効率な作業やボトルネックとなっている工程を特定します。
その上で、新しい業務フローの設計や、それを実現するためのITツールの導入提案、導入後の定着支援までを一貫して行うのが特徴です。
業務改善コンサルタントに必要なスキル・知識は、主に以下の3つです。
- 物事を筋道立てて考える「ロジカルシンキング」
- 改善プロジェクトを計画通りに推進する「プロジェクトマネジメント能力」
- 適切な解決策を提案するための「ITソリューションに関する知識」
業務プロセスという企業の中心部分に関わるため、クライアントとの信頼関係が重要です。法人としてアプローチできると、信頼性を築きやすいでしょう。
講師
語学やITのスキルがある人は、講師として誰かに教えることも副業にできます。今はオンライン授業なども主流になってきており、在宅で自分のスキルを活かして講師などをする選択肢もあります。
英語の講師として独立・起業する場合は、ブログやSNSで英語に関する情報を発信し、集客しましょう。また、法人化して拠点を増やしたい場合は、フランチャイズビジネスにチャレンジするという選択肢もあります。
趣味やスキルを活かした職業
自分の趣味や本業で培ってきたアイデアやビジネスの人脈など、どのようなスキルや経験が副業に活かされるか分かりません。たとえばスポットコンサルティングは、特定のプロジェクトや課題に対して、限られた回数や期間でコンサルティングを行う仕事です。営業やマーケティングなど、自分が本業で培ってきた経験やスキルを活かして取り組めます。
副業に興味があれば、自分のスキルを見つめ直すことも重要です。スキルを洗い出し、やりたい仕事が見つかったのであれば、クラウドソーシングサイトを使ってみるのもひとつの手です。初心者でも可能な副業が多く掲載されています。
副業で起業を考えている人によくある質問
法人化を検討する際には、多くの方が共通の疑問を持つものです。ここでは、特に相談が多い3つの質問について、整理しました。
Q1.副業から法人化すると本当に節税できる?
必ずしも「全員が」「すぐに」節税できるわけではありません。所得が低い段階で法人化すると、法人税や社会保険料の負担が増え、かえって手取りが減る可能性があります。
一方で、課税所得がおおむね800万円を超えるあたりからは、節税効果が見込めるケースも出てきます。法人から自分へ支払う役員報酬には、個人事業主にはない「給与所得控除」が適用されるためです。
この仕組みによって個人の課税所得を抑えられる可能性があります。また、会社に残した利益(内部留保)には個人の所得税率より低い法人税率がかかるため、事業の成長資金を効率的に積み上げやすい点も特徴です。
そのため、状況に応じて適切なタイミングで法人化を検討することが、節税につながる場合があります。
適切なタイミングで法人化することで、節税は可能です。
Q2.税理士にはいつから相談・依頼すればいい?
税理士に相談する理想的なタイミングは、「法人化を決断する前」といえます。多くの方が設立手続きの後に税理士を探しますが、その場合は有利な選択肢を逃してしまうこともあります。
法人化を検討し始めた段階で税理士に相談すれば、具体的な収支状況に基づいた詳細なシミュレーションを行ってくれます。これにより、本当に今が法人化すべきタイミングなのか、客観的なアドバイスを得ることが可能です。
さらに、株式会社と合同会社のどちらが向いているか、定款にどのような事業目的を記載するかといった部分から税務上のサポートを受けられます。
法人設立後の申告や会計処理は複雑になるため、税理士は頼れるパートナーといえるでしょう。費用はかかりますが、それ以上のメリットを得られる場合も多いです。
Q3.個人事業主・法人は赤字になったら税金を払わなくていい?
赤字の際の税金には、個人事業主・法人で明確な違いがあります。
個人事業主の場合、事業が赤字(純損失)であれば、所得税と住民税の所得割、個人事業税は課税されません。
一方、法人の場合、赤字であっても「法人住民税の均等割」という税金を支払う義務があります。これは、会社の資本金や従業員数に応じて課されるもので、事務所を構えているだけで発生する税金です。
ただし、法人にはメリットもあります。青色申告をしている法人は、その年の赤字(欠損金)を翌年以降10年間繰り越し、将来の黒字と相殺することができます(欠損金の繰越控除)。
個人事業主の青色申告でも繰越制度がありますが、原則3年間と期間に違いがあります。
事業立ち上げ期など赤字が想定されるビジネスモデルでは、この制度を活用することで将来のリスクを軽減できる可能性があります。
出典:No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除(国税庁)
出典:No.2070 青色申告制度(国税庁)
副業から適切に起業できるよう準備を整えよう
副業から起業することについて解説しました。社会的に副業を推進している今こそ、副業を始めてみるチャンスでしょう。
起業と聞くと身構えてしまうイメージがあります。しかし、副業を始めて気付いたら本業より収入が多くなり、副業が本業になった人など、思わぬことが人生を変えることも多々あります。
副業の収入が安定化し、事業として拡大できる見込みを見いだせたなら、起業を検討してみると良いでしょう。
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