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日本企業のSDGs取り組み事例3選・各社の取り組み状況とは

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ニュースやメディアで、「SDGs」についてよく目にするようになりました。SDGsは世界全体で取り組むべき課題として、2030年までに達成すべき目標が掲げられており、一人ひとりが日常生活のなかで意識していくことが求められています。

また、目標を達成するために、SDGsの取り組みを行う企業も増えています。実際、企業単位でSDGsの取り組みに着手しようと考えている方もいるのではないでしょうか。

当コラムでは、企業がSDGsに取り組むメリットについて解説し、あわせて実際の日本企業の取り組み事例をご紹介します。

SDGsとは、持続可能な開発目標の略称

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SDGsは英語で「Sustainable Developments Goals」と表され、それぞれの頭文字をとった略称です。日本語では、「持続可能な開発目標」という意味をもちます。

SDGsは世界共通の課題

SDGsは、2015年に国連で開かれた「持続可能な開発サミット」にて、国連加盟全193か国の承認を得て採択されました。

SDGsは、気候変動や海洋汚染などの環境問題、貧困問題といった世界共通の課題に対し、社会全体で解決しようとするものです。

参照:「JAPAN SDGs Action Platform」(外務省)

企業が事業を通して世界的な課題の解決に取り組むことで、自社の経営や事業内容を世間に伝えやすくなります。

現在は世界中の企業が、SDGs達成に向けた取り組みを進めています。今後は、現在以上に企業の社会的な責任が問われるようになってくると予想されるため、そうしたなかでSDGsを意識せず事業活動をするのは、企業の持続可能性を揺るがすリスクとなりかねないでしょう。

企業がSDGsに取り組むメリット

企業が環境問題やジェンダー平等などの課題に取り組むことには、大きなメリットがあります。

企業イメージの向上

事業を持続的に行ううえで欠かせないのが、消費者や投資家の存在です。SDGsに取り組むと企業イメージが向上し、消費者や投資家へのアピールにつながると考えられています。

昨今、SDGsがメディアや教育のなかで大きく取り上げられるようになったこともあり、消費者の購買行動もSDGsに配慮した商品を好む意識が生まれています。特に、欧米ではその傾向が顕著です。日本でも今後、SDGs教育を受けた世代が消費者世代の中心となり、消費者個人のSDGsへの意識はより向上するでしょう。

また、SDGsへの取り組みは投資家へのアピールにもなります。近年、ESG投資が広がっています。ESG投資とは、環境・社会・ガバナンスの観点から、企業を判断して投資する企業を選定することです。現在は多くの投資家が、企業のSDGsへの取り組みやその成果を投資先選定の判断基準として重視しています。そのため、企業のSDGsへの取り組みが投資家へのアピールにつながるのです。

新規ビジネスの創出

企業がSDGsに取り組むことで、新規ビジネスにつながる可能性があります。新規ビジネスは顧客の声をヒントにつくられるのが一般的ですが、 SDGs達成のための社会課題の解決という視点で新規ビジネスを考えると、これまでにないアイデアが生まれることも期待できるでしょう。

また、既存のビジネスであってもSDGsの観点から考えることで、課題点の発見や新たな販売先・顧客の開拓につながることもあります。

たとえば中小企業の場合、専門分野の異なる他企業との連携をすることで、新規ビジネスへの展開が期待できます。

大企業の場合、自治体や教育機関やNPOなどと連携し、2030年という長期的な時間軸を想定した、より大きな新規ビジネスへの発展も期待できるでしょう。

社員のモチベーション向上

SDGsへの取り組みは、社員のモチベーション向上にもつながるといわれています。特に、義務教育でSDGsを学習してきた若い世代にとって、SDGsの目標達成に取り組む企業は魅力的に映るでしょう。

入社歴の浅い社員は、先輩社員と比べると事業と社会の関わりが見えにくい傾向があります。

しかし、社会への貢献度が高いSDGsの取り組みを通し、自身が取り組む業務と社会との接点が見えやすくなることで、はたらきがいやモチベーションの向上につながる可能性があります。

日本企業のSDGs取り組み状況

日本のSDGsへの取り組み状況を見ていきます。

2022年時点で日本のSDGs達成スコアは79.6、ランキングの対象になっている163か国中、19位という結果でした。ランキング上位はヨーロッパの国々が占めており、1位はフィンランド、次いでデンマークなど、TOP3を筆頭に上位には北欧の国が並んでいます。

SDGsの17の項目別に日本の目標達成度を見てみると、ジェンダーや気候変動などの項目で大きな課題が残っているとされています。

引用:SDGs達成度の高い国(外務省/キッズ外務省)

   SDGsアクションプラン2023~SDGs達成に向け、未来を切り開く~(外務省)

SDGsに積極的な日本企業は53.6%

帝国データバンクの調査によると、2023年にSDGsに積極的な日本企業の割合は53.6%でした。そのうちSDGsの重要性を理解し、実際に取り組んでいる日本企業の割合は27.4%です。

またSDGs の17項目のうち、「働きがいも経済成長も」を今後特に取り組みたい項目として挙げている日本企業が多くなっています。

社員の健康増進やキャリアアップに向けた研修などは、社内で始められる取り組みやすい項目といえるでしょう。

ほかには、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「つくる責任つかう責任」といった、環境問題に関連した項目に取り組もうとしている日本企業も増えています。

中小企業よりも大企業のほうが積極的

同様の調査で、SDGsに積極的な日本企業の割合は大企業が71.6%で中小企業は50.4%と、企業規模で差があることがわかっています。

また、SDGsに積極的な企業を業界別に見ると、金融が72.0%と最も高く、農・林・水産業界が64.8%と続く形となりました。

SDGsの取り組みによる効果

さらに、SDGsへの取り組みをしている日本企業のうち、69.2%が「SDGsの効果を実感している」と答えています。具体的には、38.1%の企業が「企業イメージの向上」を感じていると回答しました。

ほかにも「従業員のモチベーションの向上」「経営方針等の明確化」を感じている企業が多いという結果も出ています。また、12.7%と低いものの、「売り上げの増加」につながったと回答した企業もありました。

SDGsへの取り組みが、企業にとってプラスになると実感しやすくなっているといえるでしょう。

※出典:「SDGsに関する企業の意識調査(2023年)」(帝国データバンク)

SDGsへ取り組む企業事例

実際に、日本の企業はSDGs達成に向けてどのような取り組みをしているのでしょうか。日本企業の事例をいくつかご紹介します。

通信会社/A社の事例

通信会社A社では、テクノロジーの力で社会貢献をすることをモットーにSDGs達成に向けた取り組みを掲げました。

たとえば、地球環境への貢献では、最先端テクノロジーを使用した地球温暖化への取り組みを実施しています。同社はもちろん取引先とも連携し、将来的にサプライチェーン全体で、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指す取り組みを進めているようです。

また、大学や地方自治体とも連携するなど、規模の大きなSDGsの活動が今後も期待されています。

さらに、社内におけるSDGsの特筆すべき活動を表彰するアワードを年1回開催していることからも、A社がグループ企業を含めて一丸となってSDGsに取り組んでいる様子が伝わります。

製造業/B社の事例

製造業のB社では、SDGsへの理解を深めてもらうために、SDGsについてまとめたガイドブックやパンフレットを配布しました。

また、普段実施している業務の棚卸しを行い、既存の取り組みのなかでSDGsに合致しているものがあれば、SDGsへの取り組みとして社外にPRしています。たとえば、B社は以前から地域の課題であったシングルマザーの問題を解決するべく、病児保育付きの保育所を開設しています。B社は問題の解決や社員のはたらきやすさといった観点から、この事業をSDGsの取り組みとしてPRしました。

ほかにも事業で使用する照明をLED化するなど、地球環境に配慮した製造にも力を入れています。

製造業/C社の事例

製造業のC社は、会社としてSDGsに取り組む方針を掲げています。取り組みを始めた当初、従業員からの理解がなかなか得られなかったようです。

そこで、社内にSDGsの考えを浸透するべく、SDGsに関する漫画を配布し、社員全体に勉強会を開くといった取り組みを行っています。結果として、C社では商品企画を練る際のキーワードが「SDGsへの貢献」になるほど、社員が日常的にSDGsを意識するようになりました。

また、新規の取り組み以外にも、企業としてこれまで取り組んだことや企業理念を見直し、SDGsと合致するものがあれば、それらの事業をSDGsにマッピングしています。

SDGsに取り組むポイント

日本企業がSDGsに取り組む際のポイントを2つ紹介します。

自社ならではの取り組みにする

企業がはたらき手や投資家にアピールをするためには、他社と差別化を図る必要があります。SDGsの取り組みについても同様で、自社ならではのものすることをおすすめします。

SDGsの17の目標をもとに、まずは自社製品やサービスに関連したSDGsの取り組みが行えないか考えてみるとよいでしょう。

また、SDGsの取り組みは、新たな施策に限りません。すでに自社が行っている活動のなかでSDGsに該当するものがないか、確認することも大切です。

SDGsウォッシュにならないような目標設定を行う

「SDGsウォッシュ」とは、実態が伴っていないにもかかわらず、SDGsに取り組んでいるように見せかけることです。SDGsウォッシュになっていることを指摘されれば、企業の社会的信頼を失ってしまうおそれがあります。また、実現困難な目標を設定してSDGsウォッシュの状態に陥ることで、社員のモチベーションが下がる原因にもなりかねません。

適切な目標を設定するために、社員の意見も取り入れましょう。目標が決定したあとは、研修などを実施して社内に浸透することも重要です。

まとめ

当コラムでは日本企業がSDGsに取り組むメリットや、SDGs取り組みのポイント、日本企業のSDGsへの取り組み状況を解説・紹介してきました。

SDGs達成への取り組みは社会貢献になるうえに、新規ビジネスの創出や売り上げアップなどの効果も期待でき、企業としての持続性が高まります。SDGsへの意識が日本企業のなかで高まっている昨今、SDGsに取り組まないこと自体が経営リスクになりかねません。これを機にSDGsへの積極的な取り組みをぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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