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リフレクションの意味とは?導入するメリットや注意点を解説

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リフレクションとは、ビジネスの改善や効率化のために、自己の行動や思考を振り返ることです。

本記事では、リフレクションを導入するメリット・デメリットや、実践する際の注意点を詳しく解説します。記事の後半では、リフレクションのやり方や便利なフレームワーク・手法を紹介しているため、本記事を最後まで読むことで、実際に導入するイメージが明確になるでしょう。

リフレクションの意味とは?

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リフレクションは、「反映」「反射」「内省」という意味を持つ言葉です。ビジネスでは、日常業務から一時的に距離を置き、自分の行動や思考を振り返ることを指します。

リフレクションにより単に業務を遂行するだけではなく、自分の経験や考え方を認識して、人材の育成や業務改善につなげることが可能です。 似たような言葉に情報共有や報告、振り返りや反省、フィードバックがありますが、意味が多少異なります。

情報共有や報告との違い

業務終了後の情報共有や報告はデブリーフィングと呼ばれ、チーム全体への成果や課題に重点を置き、業務の方向性の確認や方針調整のために行われます。

一方でリフレクションは、個人が自分自身の行動や考え方を振り返り、仕事に対する意識や姿勢を見直すことです。 つまり、リフレクションは個人の成長のために行い、デブリーフィングはチームが成長するために行う点で異なります。

振り返りや反省との違い

リフレクションには「振り返り」の意味も含まれていますが、単なる反省とは異なります。

反省は、自分の行動や言動を振り返り、再び同じ過ちを行わないように考えるプロセスです。自分の感情や自己評価の影響を受け、改善が必要な部分に焦点を当てる傾向があります。

一方のリフレクションは、自分の行動を客観的に振り返り、改善が必要な点だけでなく良かった点も含めて考察します。

フィードバックとの違い

リフレクションは自分自身で、自分の行動や思考を振り返ることです。これに対してフィードバックは、他者から自分の行動や思考に対する評価や意見をもらいます。

つまり、リフレクションは自分視点であり、フィードバックは他者視点である点が異なります。

リフレクション教育を導入する3つのメリット

リフレクションの考え方を人材育成に組み込んだものが、リフレクション教育です。ここでは、リフレクション教育を導入する具体的なメリットを紹介します。

リーダーシップをもった人材を育成しやすくなる

リフレクション教育の導入は、社員のリーダーシップ能力の育成につながります。

リフレクションで自分の行動を客観的に振り返れば、周囲の状況がより明確に理解できるようになります。社員は自分自身だけでなく、チーム全体の改善点にも気付き、結果としてリーダーシップを発揮する能力を身につけられるでしょう。

従業員が成長しやすくなる

指示待ちの仕事スタイルでは、自ら考えて行動する機会が制限され、スキルやモチベーションの向上が期待できません。 リフレクション教育を取り入れると、社員の自主性を育むことができます。

リフレクションを通じて社員が自ら業務の改善点を見つけ出し、自己評価をして行動するようになると、仕事の効率化や質の向上を自発的に追求するようになります。自分の仕事に対して正当な評価を下せるため、モチベーションの向上にもつながり、結果的に社員の意識改革と成長が期待できます。

生産性の向上につながる

通常、他者からの指摘を受けてからの行動改善では、業務の質の向上に時間がかかることがあります。

しかし、リフレクションを通じて社員が自ら考えて改善策を導くことで、仕事の効率と業務の質を向上させることが可能です。各社員のスキルアップは、結果的に企業全体の生産性の向上にもつながるでしょう。

リフレクションを導入するときの3つの注意点

リフレクション教育を効果的に導入する際には、いくつかの注意点があります。

失敗のみに注目しない

リフレクションは単なる反省ではなく、自分の行動を総合的に振り返る作業です。重要なのは、失敗だけでなく成功にも目を向けることです。失敗した点にばかりに焦点を当てると、反省に偏ってしまい、モチベーションの低下を招く恐れがあります。

小さな成功にも注目すると、前向きな振り返りが可能になり、モチベーションアップにつながります。

客観視する

リフレクションを行う際は、客観性を保つことが重要です。

特に仕事の結果が思わしくなかった場合には、感情に流されて問題点を適切に分析しづらい可能性があります。その際にも、事実と感情を混同せずに客観的な視点で真実を受け入れる姿勢が重要です。

感情に流されずに問題を分析することで、より効果的な改善策を見つけ出せるでしょう。

目標を高く設定しすぎない

過度に高い目標を設定すると、現実とギャップが出てしまうことがあり、社員のモチベーション低下につながる恐れがあります。そのため、社員の経験や過去の実績、実力を考慮したうえで適切な目標を設け、段階的な成長をサポートすることが大切です。

リフレクションのやり方

ここからは、リフレクションの実践方法を紹介します。リフレクションは以下の4ステップで進めていくと効果的です。

その1:リフレクションする内容を決める

リフレクションでは、多くの出来事を浅く考えるのではなく、1つの事例を深く掘り下げることが重要です。まずはリフレクションする対象を1つ決めることから始めていきましょう。

その2:内容を細かくしていく

次に、1つの事例を細かいプロセスに分けて考察していきます。

例えば、飲食店において料理の提供が遅れてしまった場合、「料理の提供が遅くなった」という事象全体を振り返るのでは不十分です。

「お客さまが○○を注文した」「Aさんが注文を受けた」「オーダー表を見てBさんが調理を開始した」など、その状況に至るまでの各事象を段階的に細かく分け、そのうえで「注文システム(伝達方法や注文の受け方)に問題はなかったのか」「料理の手順に何か改善点はなかったのか」など、それぞれのプロセスを振り返っていきます。

各プロセスを詳しく振り返ることで、失敗から改善点や学びを見つけ出せます。

その3:全体を振り返る

続いて、その事例に関連している人間関係や周囲の環境などについて考えていきます。この要素を十分に考慮することで、現実的な振り返りを実現することができます。

また、振り返りの多くはこの段階で終わってしまいますが、リフレクションを効果的に行うためには、次に「自分自身の行動を振り返る」ことが重要です。

その4:自分自身の行動を振り返る

リフレクションでは、プロジェクトやチーム全体の評価だけでなく、個人の行動や思考に焦点を当てて考えます。自分自身の行動や思考を振り返り、成功した点と失敗した点を考え、特に改善が必要だった箇所を深く考察しましょう。

このとき、実際に行動したことよりもさらに良くするにはどうするべきか、ということも考えます。

リフレクション教育がしやすくなるフレームワークと手法

フレームワークを用いると、リフレクションのプロセスを整理できます。リフレクション教育を効果的に実施するためには、フレームワークと手法の理解が大切です。

ここでは、リフレクション教育がしやすくなるフレームワークと手法を6つ紹介します。

YWT法(やったこと・わかったこと・次にやること)

YWT法は、個々の行動や経験を振り返る際に有効な手法です。

まず「Y(やったこと)」を振り返り、それからその経験を通じて「W(わかったこと)」を特定し、最後に「T(次にやること)」を考えます。これにより、個々の個性や潜在能力を引き出し、より自律的な人材育成につなげることが可能です。

YWT法はシンプルでありながら、自己の経験を深く掘り下げ、成長につなげられる手法です。

KDA法(続ける・やらない・始める)

KDA法は、無駄なタスクの削減や業務効率化の実現に適した手法です。「Keep(今後も続けること)」「Discard(今後はやらないこと)」「Add(新たに始めること)」の3つの要素を用いて、業務や行動の振り返りを行います。

まずは継続すべき業務や行動を振り返り、次に効果がないと判断された行動や習慣を特定して、改善のためにやめるべき点を明確化します。最後に、新たに取り組むべきことや挑戦すべきことを整理する、という流れです。

KPT法(継続・問題・挑戦)

KPT法は、「Keep(継続)」「Problem(問題)」「Try(挑戦)」を中心に振り返る手法です。

まず「Keep」で、継続すべき行動や習慣を特定します。次に「Problem」で業務の課題や問題点を明確にし、「Try」で課題や問題点に対する解決策、新たな試みを明確にします。

課題の早期発見や改善策の明確化ができ、チームでの振り返りにも適している手法です。

経験学習モデル

経験学習は、自身の経験をもとに学習する手法です。上司や指導者の指示に従う受動的なものではないため、ビジネススキルを自主的に向上させられます。結果的に、組織全体の発展にもつながるでしょう。 なお、経験学習は、以下4つのステップの繰り返しで成り立っています。

● 経験:実際の経験に基づいて学び、新たな気付きを得ます。

● 内省的観察:経験を客観的に振り返り、さまざまな視点から考察します。

● 概念化:考察により得た気付きを一般的な言葉や抽象的な概念に整理し、ほかの場面に展開可能な形にします。

● 実験:概念化された学びをほかの業務に応用し、効果や改善点を明確にします。

ダブルループ学習

ダブルループ学習は、行動の前提や枠組みを問い直す手法です。シングルループ学習が過去の経験から問題解決を図り、その過程で学びを得るのに対し、ダブルループ学習ではより根本的な改善策を探求します。

組織の競争力を高めるためには、シングルループ学習とダブルループ学習とを繰り返し行うことが重要です。

ジョハリの窓

ジョハリの窓は、自己認識と他者からの認識を、以下の4つのカテゴリーに分けて自己分析する手法です。これによって、自分自身が他人からどう見えているのかがわかります。

●開放の窓:

自己認識と他者の視点が一致する状態を指します。自分の認識と他者の認識が一致している領域が大きいほど相手との信頼感が高まるため、コミュニケーションが円滑にとれていることになります。

●盲点の窓:

他者は認識しているが、自分では気付いていない自分の一面です。他者からのフィードバックを受け入れて自己認識を高めれば、良好な関係を築けます。

●秘密の窓:

自分だけが知っている自分の姿を指します。この領域が大きいと良好なコミュニケーションが行えていないことになるため、自己開示を進める必要があります。

●未知の窓:

自分も他者も認識していない姿のことです。未知の可能性を秘めており、新たなチャレンジを通じて、潜在的な可能性を開花させられます。

ジョハリの窓を活用すると、自己理解の向上と人間関係の改善につながります。自分を理解し、他者からも認知されるためには、開放の窓を拡大することが大切です。開放の窓は、盲点の窓や秘密の窓にある自分の一面を理解することで広げられます。

まとめ

リフレクションは、自分の行動や思考を振り返ることです。自己理解を深めることで、自律的な思考力と問題解決能力の向上につながります。業務報告や反省、フィードバックなど似ている言葉はありますが、失敗点だけではなく成功点にも焦点を当てることや、自分自身で深く考えるプロセスが異なります。

リフレクション教育を行うことで、社員の自主性やリーダーシップ能力が向上し、確実なスキルアップと組織全体の生産性の向上が期待できるでしょう。また、リフレクション教育を導入する際は、フレームワークや手法を用いると効率的かつ効果的です。

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