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CDO(最高デジタル責任者)とは?役割や求められるスキルをわかりやすく解説

CDO(最高デジタル責任者)とは?役割や求められるスキルをわかりやすく解説
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本コラムでは、「CDO(最高デジタル責任者)」について、デジタル領域に詳しくない方も理解できるよう、わかりやすく解説します。

CDOは、DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめ、組織のデジタル化推進を担う役職です。DX推進に加え、デジタルマーケティングに精通していたり、企業の経営戦略を立てられたりする人材として、近年注目されています。

CDOの意味や役割、重要性について理解を深めたい、CDO設置による具体的な改善の事例などを知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。

CDO(Chief Digital Officer)とは

CDOイメージ画像

先頭にC(Chief=責任者)、末尾にO(Officer=役員)が付く役職として、CEOやCFO などがあります。それぞれはどのような違いがあるのでしょうか。

本章ではCDOの基本的な概念から混同されやすいCIOについて、さらには同じCDOでも意味合いが異なる役職との違いについて解説します。

最高デジタル責任者のこと

CDOとは、「Chief Digital Officer(チーフデジタルオフィサー)」の頭文字をとったものです。「最高デジタル責任者」を意味しており、文字どおりデジタル部門の責任者を指すことが多くなっています。

経営側の視点で組織のDX推進を進める重要ポジションでもあります。具体的には、AI、ロボティクスやIoTなどの最新テクノロジー、さらにはデジタルマーケティングやビッグデータなどの情報を活用し、従来の組織体制では検討できなかった新領域でのビジネス創出や経営戦略の立案などに加え、社内のデジタルシフト推進が求められる役職です。

Chief Information Officer(最高情報責任者)との違い

CIOは「Chief Information Officer」の頭文字をとったものです。「最高情報責任者」や「情報統括役員」などを意味します。

情報システム技術に特化した役職であり、ITシステムの保守や運用をメインに担当します。さらに、既存の業務プロセスの改善に加え、社内セキュリティの運用・管理も担い、守りの意味合いの業務が多いのも特徴です。

近年はDXの重要性が増し、IT部門の役割が見直されつつあり、CIOの権限が拡大しつつあります。より経営的な視点で最新テクノロジーの活用を進めるべく、社内だけでなく顧客や競合の動向も見据えて業務を進めるCDOを、CIOの代わりに設置する企業も増えているようです。

Chief Data Officer(最高データ責任者)との違い

3文字で表現すると同じCDOで略される役職として、「Chief Data Officer(チーフデータオフィサー)」があります。

Chief Data Officerとは「最高データ責任者」を意味し、組織が扱うあらゆるデータを適切に管理する役割です。データの活用促進(データ分析やデータマネジメントなど)や戦略立案など、データをビジネスに活かす取り組みに携わる役職でもあります。傘下のデジタル部門を率いつつ、経営視点をもつデータの専門家です。

なお、略称は同じですが「CDO」という場合、一般的には「最高情報責任者」(Chief Digital Officer)を指します。

CDOが求められる背景

なぜCDOが求められ、設置する企業が増えているのでしょうか。 背景を解説します。

デジタルマーケティングの普及

デジタルマーケティングとは、デジタル技術を活用して行うマーケティング全般を指す言葉です。デジタル化が進むなか、SNSを使ったプロモーションやインターネット広告の活用など、オンラインを活用したマーケティングはどんどん成長し、デジタルマーケティングの価値が向上していると言えます。

デジタルマーケティングは従来のマーケティングとは異なる手法で、専門知識をもち、業務を先導できる人材が不可欠です。必要なデジタルツールを適切に選定・導入し、具体的な戦略を立案するなど、経営側の視点とデジタルの知識を併せもつ必要があるため、CDOのようにデジタルに精通した人材が求められています。

DX化にともなう組織変革

ビジネスでスピード感が求められる現在、DX推進による組織の変革が必要とされています。そのためには、メンバーが一丸となって取り組みを進める必要があります。しかし、変革の内容が大きいほど課題も生まれやすく、社内全体の意識改革も容易ではないでしょう。

このような場面では、部門横断的に指示が出せるCDOのリードが欠かせません。経営側の視点で変革の必要性を丁寧に説明し、理解が得られることではじめて社内調整が進み、目標としている変革がスムーズに進みます。

DX実現のために、変革を実践する力のあるCDOが求められているのです。

CDOの役割と仕事内容

企業におけるCDOの役割と仕事内容を解説します。

デジタルデータの徹底活用

CDOの重要な仕事の1つに、データを活用しやすい環境の整備が挙げられます。

従来のデジタルデータ活用は、既存業務の効率化や最適化を重視し機密性を考慮するあまり、個別の組織や部署・部門内で運用されることが多く、組織横断的なデータ活用をできていないことが問題点でした。

デジタルデータを一部の部署・部門内に留めるのではなく、自由で活発なデータ活用を促進するための環境を整備するのも、CDOの役割です。

デジタルマーケティングの推進

デジタルマーケティングの推進もCDOの役割です。

インターネットやモバイル端末での通信が普及した現在、デジタルマーケティングは標準的な手法となりました。

ただし、デジタルマーケティングは従来のマーケティングとは異なる手法のため、専門知識をもつ人材の配置が不可欠です。組織内のデジタルマーケティングの現状把握と目標設定、課題抽出や結果に基づくデジタルツールの適切な選定・導入などにCDOはかかわります。

デジタルマーケティングの世界はトレンドの変化が激しいため、常にアンテナを立て、最新技術やマーケティングモデルの情報収集が求められます。

これら役割を果たすための専門人材として、CDOは企業のデジタルマーケティング推進に不可欠な存在といえるでしょう。

ビジネスモデルの考案

CDOは組織や業務の変革に留まらず、部門を超えた新規のビジネスモデルの考案にも取り組みます。

創業時のビジネスモデルの永続だけではなく、必要に応じて変革していかなければなりません。既存ビジネスの市場が成熟している場合や、将来性が見込めないケースでは、新規のビジネスモデルのアイデア出しが必要です。

その際、デジタル分野の専門知識やITスキル活用の観点からだけでなく、社外の専門家などと協力してネットワークを構築するなど、工夫を凝らしてアイデアを模索することもCDOの重要な仕事です。

CDOに必要なスキルと資質

これまで説明してきたCDOが求められる背景や役割を踏まえ、CDOに必要なスキルおよび資質を解説します。

高度なITリテラシー

ITリテラシーとは、通信・ネットワーク・セキュリティなど、ITに関連した要素を理解する能力のことです。CDOには高度なITリテラシーが求められる役割を担います。

ただ、CDOのITリテラシーだけが高度でも、組織として十分ではありません。組織全体のITリテラシーを高める能力も、CDOに求められる資質です。

従業員のITリテラシーが低いと、セキュリティ事故のリスクが高まり、場合によっては組織としての信頼を損ないかねません。情報漏洩や情報改ざんなど、組織のセキュリティに関する不祥事を未然に防止するためにも、組織全体のITリテラシー向上に取り組む姿勢がCDOには求められます。

リーダーシップ

CDOは組織のDX化を推進しなければならないため、強いリーダーシップが求められます。デジタルに関する専門知識を持つCDOがリーダーシップを発揮し、必要性を丁寧に説明することで、組織は円滑で滞りないDX化を進められるでしょう。

組織を先導し円滑にDX化を進められるかどうかについては、CDOが担う役割は大きいといえます。

コミュニケーション能力

CDOはデジタル部門の責任者として、知識・経験をビジネスに活用する能力が必要です。さらに、デジタル技術に詳しくない人にわかりやすく情報を伝えることのできるコミュニケーション能力も求められます。

たとえば、DX推進に理解が得られない従業員が現れた場合、相手に合わせてDX推進の必要性やメリットをわかりやすく伝え、理解を得る能力がCDOには必要です。

CDOを設置した企業のDX推進事例

近年では自治体でもCDOを導入するケースも出てきており、組織におけるCDOの登用がより一般的になってきたことが分かります。ここでは、実際にCDOを設置した企業でのDX推進事例を紹介します。

実際の事例を参照することで、自社組織におけるCDOの必要性がイメージしやすくなるかもしれません。

食品製造業/A社の事例

食品製造業のA社は、CDOをアサインしDX推進準備委員会を設立することで、一部のみでおこなわれていたDX推進を、グループ関連企業を含めた全面展開へと転換しました。

_また、DX推進のためにDX人材の積極採用・社内育成も開始しました。DX人材はシステム開発者、データサイエンティストなど3つに分類され、育成カリキュラムが設けられています。

デジタル技術のもつ拡張性、汎用性、シナジーによって、他企業団体や行政、医療機関などとの連携は加速しています。

エネルギー事業/B社の事例

エネルギー業界に属するB社では、老朽化が進むプラントの操業維持費用をどのように抑えるかが重要な経営課題でした。

DX化を推進するCDOは、デジタルの力でこの課題を解決しようと考えます。同時に、社内にDX推進の本気度を示す目的で、B社の基盤事業からDX化に着手しました。従来の業務プロセスにはなかったデジタル技術の導入によって、事業の効率化とマニュアルのデジタル化を試みたのです。

そもそも、プラントの保全オペレーションは、法定点検などをはじめ、膨大な事務作業を要していました。CDOは適切なデジタルツールで作業を自動化させ、保全員の負担軽減と業務効率化を実現したいという狙いです。

そのほかB社では、DX人材の育成や、DX化を通じた新しい価値の創造にも取り組んでいます。

まとめ

本コラムでは、CDO(Chief Digital Officer)の概要とCIOやChief Data Officerとの違い、CDOの重要性と役割、CDO設置による具体的な改善事例を解説しました。

CDOとは最高デジタル責任者のことで、組織のDX化の牽引、デジタルマーケティングの推進、ビジネスモデルの考案などを担う役職です。CDOには高度なITリテラシー、リーダーシップ、コミュニケーション能力を備えた人物が求められます。

CDOの存在が組織横断的な変革活動を推し進め、デジタル時代を生き残るカギになっていくでしょう。

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