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副業でも個人事業主になれる?メリット・デメリットや税金・注意点を徹底解説

副業を始める場合、個人事業主として活動するかどうかが一つのポイントになります。

税務署に開業届を提出し、個人事業主として認められることにはメリットがありますが、手続きの手間などの注意点もあるため、個人事業主になることについて事前に理解しておくことが重要です。

本記事では、副業で個人事業主になる方法やメリット、デメリットなどを詳しく紹介します。副業を検討中の方や、個人事業主としての副業を希望する方は、ぜひチェックしてみてください。

バナー:副業・フリーランスとして活動希望の方

副業でも個人事業主になれる?

結論から述べると、会社員であっても、副業として個人事業主になることは可能です。税務署に開業届を提出することで、会社員と個人事業主を両立する形ではたらくことができます。

ここでは、個人事業主の基本的な考え方や、会社員との違いについて整理します。

個人事業主とは

個人事業主とは、法人を設立せず、個人として事業を営む人を指します。アルバイトや正社員のように雇用契約に基づいてはたらくのではなく、自らの責任で、独自に事業を行っている点が特徴です。

個人事業主として活動を始める場合、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出するのが一般的です。会社員としてはたらいている状態でも、個人事業主として活動することは可能です。

会社員と個人事業主の違い

会社員と個人事業主は、その立場やはたらき方が大きく異なります。

会社員は雇用契約に基づいてはたらき、会社から給与を支払われるのが特徴です。毎月安定した収入が得られるのは大きなメリットですが、会社の指揮命令に従う必要があるなど、仕事の自由度には制限があります。

一方、個人事業主は会社に雇用されず、自分自身で事業を運営するのが特徴です。事業の内容やはたらき方を自分で決められるため、自由度が高いというメリットがあります。しかし、収入が不安定になるリスクや、確定申告などの税務手続きを自分で行う手間が生じるのがデメリットです。

副業に取り組む個人が近年増加

近年、政府の後押しもあって副業に取り組む個人が増加しています。2025年にパーソル総合研究所が行った調査では、副業実施率は11%で、前回の同調査(2023年)より4%増加しました。この調査結果から、会社員の副業は今後さらに浸透していくと考えられます。

出典:第四回 副業の実態・意識に関する定量調査(パーソル総合研究所)

副業で個人事業主になる6つのメリット

個人事業主として副業に取り組むことには、多くのメリットがあります。ここでは、副業で個人事業主になる4つのメリットについて、具体的に解説します。

経費を計上できる

副業で得た所得が20万円を超える場合、確定申告が必要となります。また、医療費控除やふるさと納税などで確定申告を行う場合は、20万円以下であっても申告が必要です。その際、個人事業主として事業にかかった各種経費を計上することで、節税につながります。副業で一定以上の収入を得たいのであれば、控除額の大きい「青色申告」の利用も含めて検討しておくのがおすすめです。

本業を続けながら新たな挑戦ができる

副業で個人事業主になると、本業を続けながら新しい分野に挑戦できるのもメリットです。「フリーランスとしてはたらきたい」「新しい職種に挑戦してみたい」と考えていても、転職や独立にはさまざまなリスクが伴うため、一歩踏み出すのに躊躇してしまう方も多いでしょう。

副業であれば、本業の安定した収入を維持したまま、興味のある分野に取り組むことができます。また、副業を通じて新しいスキルや経験を獲得できれば、いざというときにキャリアチェンジしやすくなるのもメリットです。

独立に向けた準備ができる

将来的に独立を目指している方にとって、副業で個人事業主として活動することは、リスクを抑えながら事前準備を進める最適な方法です。独立後すぐに安定した収入を得るのは難しく、仕事を受注できなかったり、顧客を獲得するまでに時間がかかったりするケースが珍しくありません。

そこで、副業の段階で仕事の流れを把握し、実績を積んでおけば、スムーズにフリーランスとしての活動を始められるでしょう。また、収支の管理や確定申告など、独立時にも対応が必要になる手続きを経験できる点も、独立を視野に入れている方にとっては、大きなメリットとなります。

屋号をつけられる

個人事業主として副業をすると、「屋号」をつけられるのもメリットです。屋号は事業を行う際に使用する名前のことで、会社名のようなものです。屋号をつけると、自分の本名ではなく屋号で銀行口座を作成したり、Webサイトや名刺に掲載したりできます。

特に、ブログやSNSなどで仕事の情報を発信する場合、屋号があると自身のプライバシーを守りながら活動できる点が大きなメリットです。さらに、屋号をつけることで事業のブランドイメージを構築しやすくなり、顧客に覚えてもらいやすいというメリットもあります。

自分のスキルの市場価値を確かめられる

副業で個人事業主として活動することは、自分の能力が社外でどれほど通用するかを知るきっかけとなります。

パーソル総合研究所の調査(2025年)によると、副業実施理由として「自分のスキルが他の場所でも通用するか試したい」と回答した20代は48.9%に達しました。

この数値は調査開始の2018年以来、過去最高を記録しており、若年層を中心に「個の力」を試す傾向が強まっています。

出典:第四回 副業の実態・意識に関する定量調査(パーソル総合研究所)

組織の肩書きに頼らず、一人の個人事業主として案件を獲得・完遂する経験は、本業では得られない自信につながります。市場からの直接的なフィードバックを受けることで、自分に足りないスキルや、強みとなる要素が明確になるでしょう。

自分の好きな仕事・やりたい仕事に挑戦できる

本業では組織の都合上、必ずしも希望する業務に携われるとは限りません。

同じくパーソル総合研究所のデータでは、副業の動機として「本業では自分の好きな仕事ができない」と答えた20代が45.1%に上り、こちらも過去最高を更新しています。

出典:第四回 副業の実態・意識に関する定量調査(パーソル総合研究所)

個人事業主になれば、業務内容や取引先を自分の裁量で決定できます。副業で自分の好きな仕事や、やりたい仕事に挑戦できる点はメリットと言えるでしょう。

副業で個人事業主になる3つのデメリット

副業で個人事業主になることには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあるため、事前に把握しておくことが大切です。ここでは、具体的に3つのデメリットについて見ていきましょう。

届け出や申告に手間がかかる

個人事業主として副業をするためには、開業届を提出する必要があります。また、毎年の確定申告のために収支の記録や経費の計算など、事務作業の負担が増える点もデメリットです。

特に青色申告を利用する場合は、複式簿記で記帳を行い、必要書類を整える必要があるため、慣れるまでは手間取るかもしれません。会社の仕事をしながらこれらの手続きや事務作業に取り組むことに、負担を感じる方もいるでしょう。

失業保険を受給できない場合がある

副業で個人事業主として事業を行っていると、本業の勤務先を辞めた際に失業保険を受け取れなかったり、減額になったりする可能性があります。失業保険を受給するには失業状態であることが条件となりますが、副業で事業を継続している場合、「労働を続けている」と判断されるケースがあるためです。

プライベートの時間が減る

副業で個人事業主としてはたらく場合、本業以外の時間を使って事業に取り組むため、プライベートに使える時間が減ってしまいます。家族や友人との時間が制限されることにストレスを感じる方もいるでしょう。

会社員と個人事業主を両立するには、過労やストレスで体調を崩さないようスケジュール管理を徹底し、無理のないペースで取り組むことが大切です。

副業で個人事業主になるべきタイミング

副業で個人事業主になるべきタイミングは、収入規模や活動の継続性、将来の運営方針によって判断するのが一般的です。

ここでは、判断の目安となる代表的な3つのケースを紹介します。

  • 副業収入が年間20万円を超えそうなとき
  • 継続的な活動が見込めるとき
  • 青色申告の65万円控除を使いたいとき

以下、それぞれ具体的に解説します。

副業収入が年間20万円を超えそうなとき

所得税のルールでは、給与所得者が副業で得る所得(売り上げ - 必要経費)が年間20万円を超えた場合、確定申告が必要になります。

なお、20万円以下であっても住民税の申告は別途求められるケースが多い点には注意が必要です。売り上げが伸びてから慌てるのではなく、成長の兆しが見えた段階で準備を始めましょう。

出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)

継続的な活動が見込めるとき

継続的な活動が見込まれるときも、個人事業主になるタイミングの一つです。

単発の不用品販売や一時的なアンケート回答などは、原則として「雑所得」とみなされます。一方、以下のような場合は、社会通念上の事業性が認められ「事業所得」として扱われる可能性があります。

  • 継続的なサービス提供や販売活動を行っている
  • 帳簿書類の記録・保存を適切に行っている

今後1年以上にわたって定期的に受注する見込みがある場合は、個人事業主になることを考えるとよいでしょう。

 ※事業所得か雑所得かは、継続性のみならず、営利性、規模、費やした労力等を総合的に勘案して判断されます

出典:所得税法第三十五条(e-GOV法令検索)

青色申告の65万円控除を使いたいとき

税務上の負担を軽減したい場合も、個人事業主になる判断材料となります。青色申告特別控除を利用すると、一定の条件のもとで、所得から最大65万円を控除できます。

最大の65万円控除を受けるための主な要件は以下のとおりです。

  • 事業所得として申告していること
  • 複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を作成・提出すること
  • 以下のいずれかを満たしていること
    1. e-Taxによる電子申告を行っている
    2. 優良な電子帳簿保存の要件を満たした帳簿を保存している

これらの要件を満たすために、開業届とあわせて「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

近年は会計ソフトの普及により、複式簿記による記帳や書類作成の負担も軽減されています。一定規模の利益が見込まれる場合には、青色申告を前提とした事業運営を検討する余地があるでしょう。

出典:No.2072 青色申告特別控除(国税庁)

副業で個人事業主になるには

個人事業主として副業を行うには、次のステップで進めるとスムーズです。

  1. 勤務先の就業規則を確認する
  2. 開業に必要な届け出を行う
  3. 事業を開始する

それぞれのステップで取り組むべき内容を、以下で詳しく解説します。

1.勤務先の就業規則を確認する

副業を始めたいと思ったら、まず勤務先の就業規則をチェックするようにしてください。勤務先によっては、副業を全面的に禁止としているケースや、指定の条件を満たした場合にのみ許可されるケースがあるため、注意しなければなりません。

就業規則をチェックせずに副業を開始すると、発覚した際に解雇や減給などの罰則を受けるリスクがあります。副業を認めている企業でも、事前申請が求められる可能性があるため、自身の勤務先の副業に対する方針を把握しておくことが大切です。

また、副業が本業に悪影響を与えないよう心がけることも大切です。副業による疲労や時間の管理不足で本業に支障が出ると、会社から副業を制限されるかもしれません。副業を始める際には、本業の勤務先との信頼関係を崩さないよう注意しましょう。

2.開業に必要な届け出を行う

個人事業主になる場合は、開業届を提出しましょう。開業届は、個人で事業を開始したことを税務署に申告するための書類で、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。提出期限は開業後1ヶ月以内のため、事業を始める前に書類を準備しておくとスムーズに手続きが進められます。

確定申告で青色申告を選択したい方は、開業届と同時に青色申告承認申請書も提出しましょう。手間はかかるものの、青色申告を利用できるかどうかで納税額が変わるため、申請しておくのがおすすめです。

3.事業を開始する

必要な手続きを済ませたら、個人事業主として事業を開始します。副業として取り組む事業内容は自由に選べますが、自身のスキルや経験を活かせるものがおすすめです。得意分野であればスムーズに取り組めるうえ、事業としても成功しやすいでしょう。

特に、本業と関連性のある分野の副業は、本業にもプラスの影響を与えられる可能性があります。たとえば、本業で培った知識や経験を活かしたコンサルティング業務や、関連する業務の受託などです。副業に取り組むことで、新しいスキルや知見が得られ、本業でのパフォーマンス向上にもつながるでしょう。

副業で個人事業主になる際に必要な準備

副業で個人事業主になる際は、適切な準備が必要です。ここでは、最低限押さえておきたい準備内容を整理します。

書類の提出

・個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)

・所得税の青色申告承認申請書
※青色申告による控除などの税務上のメリットを活用したい場合

ビジネス環境の整備

・副業専用の銀行口座

・副業用のクレジットカードの作成(事業用支出と私費の区別をしやすくするため)

・クラウド会計ソフトの導入(確定申告を効率化するため)

・印鑑や名刺の作成

副業で個人事業主になる際の注意点

個人事業主になることは自由ですが、本業とのバランスや法的リスクには細心の注意を払う必要があります。

副業で個人事業主になる際に注意しておきたいポイントは、以下のとおりです。

  • 副業に時間を取られて本業に支障が出ないようにする
  • 本業の競業避止義務・秘密保持義務に抵触しないようにする

以下、それぞれ具体的に解説します。

副業に時間を取られて本業に支障が出ないようにする

個人事業主として活動を始めると、副業に注ぐ時間が増えやすくなる傾向があります。しかし、本業の就業時間中に副業対応を行ったり、過労によって業務パフォーマンスが低下したりする場合、雇用契約上の問題につながる可能性もあります。

「副業は平日の夜2時間と休日のみ」といった明確なルールを設け、健康を損なわない範囲で仕事をしましょう。

本業での信頼があってこその副業であることを忘れず、相互に良い影響を与えるバランスを見極めることが大切です。

本業の競業避止義務・秘密保持義務に抵触しないようにする

多くの企業の就業規則には競業避止義務が含まれています。これは「本業の利益を害するような同業他社での業務や、同種の事業を個人で行うことを禁止する」というルールです。

また、本業で得たノウハウや顧客情報を副業に流用することは、秘密保持義務違反にあたる可能性があります。

自分の副業内容が本業と競合していないか、就業規則の規定に反していないかを確認しておくことが重要です。

副業で個人事業主になりたい人からよくある質問

ここからは、副業で個人事業主になりたい人からよくある質問に回答します。事前に不明点を確認し、スムーズに準備できるよう対策しておきましょう。

Q1家賃や光熱費は経費にできる?

自宅を仕事に使用している場合、使用している面積や時間の割合に応じて、必要経費として按分できます。

たとえば、自宅の一部を作業スペースとして使用している場合、その使用割合をもとに家賃や光熱費を計算するのが一般的です。算出方法については、後から説明できるよう、基準を記録しておきましょう。

出典:No.2210 必要経費の知識

Q2.副業なら白色申告と青色申告どちらがいい?

青色申告には、最大65万円の特別控除などの税務上のメリットがあります。一方で、白色申告は手続きが比較的簡易という特徴があります。

副業の規模や今後の見通しに応じて、どちらを選ぶか検討するとよいでしょう。

出典:No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度(国税庁)

まとめ

本記事では、副業で個人事業主になる方法やメリット、デメリットなどを詳しく紹介しました。

副業でも個人事業主になることは可能です。個人事業主になると、経費の計上ができたり、新たな挑戦ができたりといったメリットを享受できます。一方で、確定申告の手間やプライベート時間の減少といったデメリットも伴うため、メリットとデメリットを事前に把握したうえで決断することが大切です。

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