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パラレルワークと副業の違いは?急増の理由とメリット・デメリットを解説

パラレルワーク

近年、パラレルワークという言葉を聞く機会が増えています。パラレルワークと似た意味で副業という言葉もありますが、明確に異なる点もあるため、本記事ではパラレルワークと副業の違い、メリット・デメリット、パラレルワークにおすすめの職種についてご紹介します。

パラレルワークを検討している方はもちろん、パラレルワークが注目される背景や具体的な仕事の種類が知りたい方はぜひ本記事を参考にしてください。

パラレルワークとは

パラレルワーク

パラレルワークとは、2種類以上の仕事を同時に手がける働き方のことです。パラレルワークのパラレル(parallel)は「並行」という意味で、並行して複数のワーク(work)をするという意味になります。

ただし、パラレルワークは、必ずしも営利目的の仕事を指すわけではありません。研究、社会貢献、ボランティアなど、自分自身が主体的に行う活動全般が含まれます。

つまり、パラレルワークは、報酬の有無に関わらず、仕事と並行して人生を豊かにするもう1つの活動に取り組むことなのです。

副業とパラレルワークの違い

パラレルワークと似た意味の言葉が「副業」です。よくパラレルワークと同じものとして混同されますが、明確な違いがあります。

副業は、本業の他に仕事を持つことです。本業の収入を補う意味合いが強く、サイドワークとも呼ばれます。本業がメイン、副業をサブと区別していることが、パラレルワークとの明確な違いです。

増加するパラレルワーカーの背景

近年、パラレルワークを実践する人が増えています。その背景にあるのが以下の3つの要素です。

  • 働き方の多様化
  • 終身雇用制度の終焉
  • 将来の収入が不安

それぞれ詳しく解説していきます。

働き方の多様化

新型コロナウイルス感染症の影響によってテレワーク/リモートワークが注目を浴び、ニューノーマルな働き方が浸透しました。ITやWebなど、限られた業界で推進されていた働き方が一般化したことで、働き方に対するニーズが多様化し、スキルやキャリア、プライベート活動に対する考え方にも変化が生まれています。

さらに、政府による副業・兼業の推進もパラレルワークの実践を後押しするかたちとなり、時短勤務、ジョブ型雇用、在宅勤務(テレワーク/リモートワーク)など、さまざまなニーズに対応する企業が増えています。

終身雇用制度の形骸化

終身雇用制度の形骸化も、パラレルワークを実践する人が増加する要因の1つです。

終身雇用制度とは、企業が正規雇用した従業員を定年まで雇用する制度のことです。終身雇用制度の代表的な仕組みに年功序列型賃金があり、年齢や勤続年数に応じて賃金や役職を決定することで、収入の安定化や勤続価値を見出していました。

かつて日本の高度経済成長期を支えた終身雇用制度ですが、欧米企業では成果主義・ジョブ型雇用・パラレルワークなどが主流となっており、日本企業も終身雇用を見直す企業が増えています。

さらに、時代の移り変わりが早く、企業の平均寿命が短くなっている現在では、1つの企業に定年まで在籍する魅力が薄まっている状況です。企業にとっても従業員にとっても終身雇用を前提とする考えは、メリットが少なくなりつつあります。

将来の収入が不安

将来の見通しが極めて不透明な時代で、少子高齢化による年金問題も相まって、将来の収入に対する不安は強くなる一方です。人生100年時代と呼ばれ、長期的に働くことが求められるなか、右肩上がりに賃金を上昇させていく難易度は上がっているといえるでしょう。

また、働き方改革によって残業時間が減少し、会社員は収入の減少も余儀なくされます。さらに、2019年に金融庁が公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」から、「老後の生活では約2,000万円が不足する」という試算が話題になりました。

※出典:金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」(金融庁)

だからこそ、年収に対する不安を解消する方法として、パラレルワークのニーズが増しているのです。

パラレルワークのメリット

パラレルワークのメリットには、主に以下の4つがあります。

  • 幅広い経験が得られる
  • 幅広い業種の人とつながれる
  • スキル向上にも役立つ
  • 収入が増える

それぞれ具体的に解説していきます。

幅広い経験が得られる

旧来の考えでは、新しい仕事に取り組むために今の仕事を辞めることが一般的でした。終身雇用制度によって転職が現代ほど浸透していなかったなかで、企業を辞めるのは大きな決断で、かつリスクの高い行為だったのです。

しかし、パラレルワークであれば退職せずに、複数の仕事に携われます。また、パラレルワークでは1つの仕事だけでは得られない経験ができ、スキルも磨けるでしょう。

幅広い業種の人とつながれる

パラレルワークのメリットは、普段出会えないような人ともつながれることです。

1つの組織だけに留まっていると、どうしてもプロダクトや業界に閉じた関係性になりやすい傾向にあります。しかし、パラレルワークではさまざまな業種の人との会話を通じて、新しい視点や気づきを得る機会があり、結果として仕事の視野や幅が広がることもあるでしょう。

また、パラレルワークにより幅広く人脈を築けられれば、キャリアアップにつながる出会いもあるかもしれません。

スキル向上にも役立つ

パラレルワークで得た知識やスキルの多くは、結果的に別の仕事でも役に立つケースが多いです。

例えば、ライターは雑誌や書籍の執筆、Web上の記事を作成するなど、多岐に渡る仕事です。ライター業で培った文章作成スキルは、別の仕事でも求められます。

他にもパラレルワークは売上や経費の管理も自分で行うことになるため、経理や会計の知識も学べます。これらの知識はどの業界でも役立ち、複数の業務で活かせる知見になるでしょう。

収入が増える

ボランティアなどの営利目的でない活動以外のパラレルワークであれば、基本的には収入を得られるため、働いた分だけ収入の増加を実現可能です。

また、パラレルワークで複数の収益源があると、収入がゼロになるリスクを分散できます。仮に所属企業の経営状況が悪化し、給与の支払いが難しくなったとしても、別の仕事から収入を得られるためです。

加えて、パラレルワークによって多様な経験やスキルアップを図ることは、将来収入を増やすきっかけとなるでしょう。

パラレルワークのデメリット

パラレルワークのデメリットは、主に以下の3つです。

  • 就業規則に注意する
  • 他の仕事に支障が出ないようにする
  • ワークライフバランスを確保する

パラレルワークに取り組むと、自分自身だけでなく周囲に迷惑をかけてしまう可能性もあります。迷惑をかけないために、次に紹介するデメリットを理解しておきましょう。

就業規則に注意する

パラレルワークの実施前に確認したいのが就業規則です。企業によっては、パラレルワークと副業を同義として表現していることもあります。パラレルワークの場合、収入をともなわない社会貢献活動なども含まれますが、収入をともなう場合は特に注意が必要です。

就業規則で副業禁止と明記されている場合には、パラレルワークであっても就業規則違反になる可能性があります。まずは勤務先の就業規則をよく確認してから、パラレルワークに取り組みましょう。

他の仕事に支障が出ないようにする

パラレルワークで注意したいのが、長時間労働です。休みを設けずにいると、疲労が蓄積し、寝不足になると仕事のパフォーマンスが低下することもあります。

また、パラレルワークで重要なのが、スケジュール管理です。複数の仕事に携わると、どうしてもスケジュール管理が煩雑になります。適切にスケジュールが管理できないと、パラレルワークを続けることは難しいでしょう。

自分自身が請け負える業務量を理解し、無理のない範囲で業務を遂行することが大切です。

ワークライフバランスを確保する

パラレルワークで多岐に渡る仕事を請け負うと、家族や友人との時間も自由に取れなくなってしまう可能性があります。プライベートも重視したい人は、仕事と休暇のバランスを考慮し、適切に業務量を調整しましょう。

また、パラレルワークでは依頼を抱え込みすぎてしまうこともあります。過労による心身のトラブルが起きた場合は、仕事で関わる人だけでなく家族や友人とのトラブルにも発展しかねません。身体が資本であることを忘れず、自己管理を徹底することが大切です。

パラレルワーカーにおすすめの職種

パラレルワークにおすすめの仕事を5つご紹介します。

  • システムエンジニア・プログラマー
  • Webディレクター
  • ライター
  • 動画編集・制作
  • フードデリバリー

システムエンジニア・プログラマー

システムエンジニアやプログラマーなどのIT関連人材は不足しており、パラレルワークを活用して人材を獲得しようとする企業が増えています。また、IT業界ではテレワークを導入している企業が多いため、システムエンジニアやプログラマーはパラレルワークに挑戦しやすい職種でもあります。キャリアアップのために未経験の言語に挑戦するのもよいでしょう。

ただし、実務経験がない状態からすぐにエンジニアとして働くことは難しいものです。オンラインのプログラミングスクールなどでスキルを身につけ、実務経験を積んでから挑戦してみましょう。

Webディレクター

Webディレクターの仕事内容は、Webサイト制作やその他Webに関連するプロジェクトの監督・指揮・管理です。

クライアントの意向をヒアリングし、ライターやデザイナーの作業進捗や品質を管理しながら、各プロジェクトを指揮・監督します。トラブルへの対応力や、高いコミュニケーション能力が求められるポジションです。

Webディレクターは、一般的に複数のプロジェクトを並行して管理する仕事であり、社内のリソースを確保する目的で業務を外注するケースがあります。そのため、パラレルワークで仕事を獲得しやすい職種です。

ライター

ライターは、副業やパラレルワークで働いている人が多い職種です。ライターの仕事内容は文章を書くことで、何らかの資料の文章を執筆する、インタビュー内容をもとに記事を作成するなどのタスクが該当します。

ライティングスキルを求められますが、文章は仕事だけでなく生活の中でも必ず関わるものです。多くの人にとって始めやすい職種でしょう。

特に、専門知識や資格を持っている場合は、その経験や知見をもとに希少性の高いライターとして活躍できるかもしれません。ライティングは多くのビジネスで役に立つため、その他の職種でも相乗効果を生みやすいスキルの1つです。

動画編集・制作

SNSでの配信や動画広告のニーズが高まる昨今では、動画編集・制作の人材を求める企業・個人も増えています。動画編集の主な仕事内容は、動画のカットやテロップ入れ、BGMの挿入などです。簡単な編集であれば、スマートフォンのアプリでも行えるでしょう。

高度な編集をする場合は、一定の経験やスキル、場合よっては企画力も求められます。また、動画制作であれば、企画や編集に加えて、現地での撮影など、幅広い領域を求められる傾向にあり、著作権をはじめとする法律的な知識も必要です。

一方でSNSの普及によって個人の発注ニーズが増えたことで、動画編集・制作はパラレルワークが可能な求人も増えてきています。

フードデリバリー

フードデリバリーは、新型コロナウイルス感染症による外出自粛の影響で、急速にニーズが高まった宅配ビジネスです。少しの隙間時間を活用できるため、パラレルワークにおすすめの職種といえます。

また、フードデリバリーは個人事業主として登録するため、経理や確定申告などを学ぶ機会にもなるでしょう。特別なスキルを必要とせず、気軽に始められるため、すぐにパラレルワークをしたい方にも適しています。

まとめ

本記事ではパラレルワークに取り組む人が増加し始めている背景や、パラレルワークのメリットやデメリットを解説しました。

近年、働き方改革や社会構造の変化によって、働き方は多様化しています。政府の後押しもあり、複数の職場でスキルを磨くことも、着実に一般化へと近づいている状況です。

数ある働き方のなかでも、パラレルワークは副業のように収入だけに着目するのではなく、目的を持って自分のやりたいことをできるのが魅力です。パラレルワークに取り組み、スキルアップ・キャリアアップを実現すれば、将来の選択肢が広がり、収入の不安も軽減できるでしょう。

過労で体調を崩さないように自己管理しながら、パラレルワークに挑戦してみてください。

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