フリーランスとは?はたらき方や仕事内容、必要な準備、仕事の選び方などまとめて解説!

フリーランスとしてはたらく人は年々増加しており、企業側も多様な人材を活用する手段としてフリーランスに注目しています。しかし、「フリーランスとは具体的に何をしているの?」「会社員との違いは?」「フリーランスとして活動するための準備や仕事の選び方は?」など、疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、フリーランスの定義やはたらき方、メリットやデメリット、案件の獲得方法、収入を伸ばすためのポイントなどについて、まとめて解説します。フリーランスを目指す方はもちろん、フリーランスというはたらき方に興味がある方も、ぜひ最後までご覧ください。
フリーランスとは

フリーランスとは、特定の企業や組織に雇用されることなく、自らのスキルや経験を活かして契約ごとに仕事を行うはたらき方のことです。かつては、エンジニアやデザイナー、ライターといった一部の職種で多いイメージがありましたが、近年ではコンサルタントやマーケター、人事、経理など、さまざまな職種でフリーランスとして活躍する人が増えています。
企業に所属せず仕事をするという点で「自由」な印象が強い反面、自分で管理すべきことが多いはたらき方でもあります。
フリーランスの定義
フリーランスの明確な定義は法的に定められていませんが、政府の資料によると、フリーランスは以下のように定義されています。
実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者
出典:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
また、「フリーランス=個人事業主」というイメージもありますが、会社を設立(法人化)するケースもあります。フリーランスとしてはたらく際の報酬や業務内容は契約先との合意で決まり、労働基準法の適用を受けない場合も多いため、契約内容の確認、収入や経費の管理などをすべて自分で行う必要があります。
フリーランスのはたらき方
フリーランスのはたらき方は多様です。たとえば、プロジェクト単位で契約を結び、複数のクライアントの仕事を同時に進める人もいれば、大手企業と長期契約を結び、半ば専属のようにはたらく人もいます。
具体的なスケジュールとしては、「午前中は自宅で作業、午後はクライアントとの打ち合わせやオンライン会議、夜はコワーキングスペースで作業」といったように、時間と場所を自由に選べることが特徴です。ただし、これは契約内容やプロジェクトの要件によって異なる場合があります。また、納期や成果物のクオリティに対する責任は重く、契約を失わないよう自律的に行動することが求められます。
会社の指揮命令がない代わりに、すべての業務管理やスケジュール調整、トラブル対応などを自身で行う必要があるため、自己管理能力やコミュニケーションスキルが欠かせません。
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フリーランスが注目されている背景
近年のフリーランス人口の増加には、社会や経済の変化が大きく影響しています。ここでは、フリーランスというはたらき方が注目される主な要因を見ていきましょう。
多様化するはたらき方
従来であれば、新卒で就職した企業に勤め続けることが一般的でしたが、はたらき方の多様化が進み、必ずしも一つの会社に長期雇用されるスタイルだけが選択肢ではなくなりました。
副業や兼業を認める企業も増え、「自分の得意分野を活かして外部の仕事も受けたい」「育児や介護と仕事を両立させたい」といった、多様なニーズに合わせた柔軟なはたらき方として、フリーランスが注目を集めています。
慢性的な人材不足
パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2035」によると、2035年の労働力は384万人分相当が不足すると推計されています。
企業にとって、慢性的な人材不足は深刻な課題です。しかし、正社員としての採用が難しい場合でも、フリーランスを活用すれば即戦力として人材を確保することが可能です。特にITやクリエイティブ分野では、優秀な人材を正社員として雇用するよりも、必要なタイミングだけ業務委託するほうがコストを抑えられる場合があります。
そうした背景から、雇用形態にこだわらず、プロジェクトに合ったフリーランスを起用する企業が増えているのです。
リモートワークの浸透
コロナ禍をきっかけにリモートワークが急速に広がり、場所にとらわれないはたらき方が一般化しました。パソコンとインターネット環境があれば自宅やコワーキングスペースなど、どこからでも業務に取り組めるため、複数の企業相手に仕事を行うフリーランスのはたらき方は広がりを見せています。
また、オンライン会議やチャットツールの普及により、物理的なオフィスへの出社が必須ではなくなったこともフリーランス増加の背景として挙げられます。
フリーランスの満足度が高い
フリーランスが注目されている理由の一つに、はたらき方の満足度の高さが挙げられます。
HiProが発表している「副業・フリーランス人材白書2025」によると、現在のはたらき方に対する満足度について、フリーランスハイクラス層の80.9%、メンバークラス層では65.5%の人が「満足している」と回答しています。
特に、「業務の内容」「はたらき方、就業環境」といった点が、満足度を高める主な要因として挙げられています。自身で業務やはたらく時間、場所を選べる自己裁量の大きさは、会社員ではなかなか得られないフリーランスならではの魅力といえるでしょう。
しかし、同調査では、フリーランスとしてはたらく上での課題は「新規案件の獲得が難しい」が突出して高い結果が出ています。収入面の不安定さに不安を感じる人は多いようです。このように、フリーランスのはたらき方は「自由」と「自己裁量」という大きな魅力がある一方で、「安定した収入の確保」という現実的な課題も抱えているのが現状です。
フリーターや個人事業主との違い
フリーランスに似た言葉として「フリーター」や「個人事業主」がありますが、それぞれ意味や法的な位置づけは異なります。混同しやすいため、違いを整理しておきましょう。
フリーターとの違い
フリーターは、企業にアルバイトやパートという形で雇用され、給料を得ている人を指します。
厚生労働省では、フリーターを以下のように定義しています。
フリーターとは、15~34歳の若年者(学生及び主婦を除く)のうち、勤め先における呼称がアルバイト又はパートである者(これまでアルバイト・パートを続けてきた者で無業の者を含む。)をいう。
出典:厚生労働省「主な用語の定義」
一方、フリーランスは業務委託契約を結んで収入を得るため、企業から指示を受けるのではなく、仕事内容や報酬などを自ら交渉して決める立場にあります。つまり、フリーターの場合は労働者として雇用関係にあり、フリーランスの場合は独立した事業者として取引関係にある点が決定的に異なるのです。
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個人事業主との違い
個人事業主は法律上の呼称であり、法人を設立しないまま事業を行う人全般を指します。税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出すれば、個人事業主として扱われることになります。
フリーランスは個人事業主に該当するケースが多いものの、厳密には「フリーランス=個人事業主」ではありません。たとえば、フリーランスが法人を立ち上げる場合もあり、その場合は「法人経営者」になります。あくまで「雇用されずに契約ベースで仕事を行う人」を広くフリーランスと呼ぶため、法的な呼称としての個人事業主とは一致しない場合もあるのです。
フリーランスになる人が理解すべきフリーランス新法とは
フリーランスを取り巻く環境が急速に変化するなか、フリーランスとしてはたらく人の取引条件を整備するための法律として注目を集めているのが「フリーランス新法」です(正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)。フリーランス新法は企業とフリーランスの公正な取引を促すことを目的としています。
具体的な内容としては、「書⾯等による取引条件の明⽰」や「報酬⽀払期⽇の設定・期⽇内の⽀払」などが挙げられます。
参考:厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法リーフレット」
これまでフリーランスは、企業に対する交渉力が弱い場合に不利な条件を受け入れざるを得ないといった問題がありました。フリーランス新法によって、フリーランスにとってよりはたらきやすい環境が整うことが期待されています。
フリーランスになるメリット・デメリット
ここからは、フリーランスというはたらき方のメリットやデメリットを見ていきましょう。会社員とは大きく異なる点が多いため、自分に合っているかどうか検討する際の参考にしてください。
フリーランスの主なメリット
フリーランスの主なメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 自由にはたらける
- 自己成長につながりやすい
- 収入を大きく伸ばせる可能性がある
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自由にはたらける
フリーランス最大のメリットは、時間、場所、取引相手を自由に選べることです。仕事をする場所は自宅やコワーキングスペースなどでもよく、契約するクライアントも自分で選ぶことができます。ただし、これらは契約内容に応じて制約がある場合もあります。
また、はたらく時間も自分で調整できるため、ライフスタイルに合わせてはたらける点は大きな魅力です。ただし、納期や成果に対する責任はすべて自分で負う必要があるため、難しさも伴います。
自己成長につながりやすい
企業に所属していると、業務範囲がある程度決まっている場合が多いでしょう。しかしフリーランスであれば、案件の選び方次第で新しい分野やスキルに挑戦する機会に恵まれやすく、自己成長につながりやすいといえます。
基本的に案件ごとにプロジェクト内容や求められるスキルは異なるため、常に学習しながら自己成長を実感することになるでしょう。クライアントからの要望に応えることで、自分自身のスキルセットを拡張していくことが可能です。
収入を大きく伸ばせる可能性がある
フリーランスの収入は、クライアントとの交渉次第で大きく変わります。自分の専門性や実績が高く評価されれば、会社員時代より高い報酬を得られる場合もあります。複数のクライアントと契約できれば、それだけ収入アップのチャンスも増えるでしょう。
フリーランスの主なデメリット
一方で、フリーランスには会社員にはないリスクやデメリットも存在します。ここでは、以下3つのポイントを見ていきましょう。
- 収入の安定性に欠ける
- 社会的な信用を得るのが難しい
- 徹底した自己管理が必要である
収入の安定性に欠ける
収入アップのチャンスがある一方、企業に雇用されているわけではないため、フリーランスになると毎月決まった収入が得られる保証はありません。短期で契約が終了したり、売上が思うように上がらない月が続いたりすることもあります。生活基盤を守るためには、収入の波に備えて貯金や保険などのリスク対策が不可欠です。
社会的な信用を得るのが難しい
フリーランスは、会社員に比べると社会的な信用を得にくいという傾向があります。住宅ローンの審査などでは、収入の安定性に欠けると判断されることもあるでしょう。
また、企業と業務委託契約を結ぶ際にも、実績や専門性を証明できなければ断られる場合があります。自分の信用力を高めるには、日頃から実績を積み重ねる努力が必要です。
徹底した自己管理が必要である
フリーランスは、スケジュール管理から納税、保険手続きまで、すべてを自己管理する必要があります。体調不良や長期休暇なども自分の責任で調整しなければなりません。仕事が忙しいときほど無理をしがちですが、その結果、身体を壊してしまうと収入が途絶える可能性もあるため、セルフマネジメント能力がきわめて重要だといえます。
フリーランスに向いている人の特徴
フリーランスとして安定的な成果を出すには、単なるスキル以上に「資質」や「姿勢」が問われます。以下に当てはまる方は、フリーランスに向いている可能性が高いといえるでしょう。
- 自己を律する「内なる経営者」であるか
- 不確実性を「機会」と捉えられるか
- 学び続け、変わり続けられるか
- 孤独を「力」に変えられるか
- 価値を言語化し、「交渉」できるか
フリーランスは、他者からの指示がなくても目標を設定してタスクを管理し、納期を遵守できることが大切です。パフォーマンスを維持し安定して成果を出すために、自己管理能力が求められます。
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フリーランスの代表的な仕事一覧
フリーランスの活躍の場は、多岐にわたります。ここでは代表的な職種を、その領域で活躍するためのポイントと共に紹介します。
IT・Web系のフリーランスの仕事一覧
IT・Web系のフリーランスの仕事を表にまとめました。
職種 | 仕事内容 | 活躍のポイント |
ITエンジニア(SE) | システム開発・インフラ構築 | 専門的な知識に加え、顧客の要望を整理し、技術に落とし込む力が必要 |
Webエンジニア | Web・アプリ開発 | UI/UX設計・マーケティング視点の融合による“使われるサービス”設計力 |
Webデザイナー | サイトデザイン全般 | 美しさと成果の両立を目指す「デザイン戦略」 |
Webマーケター | SEO・広告運用・SNSなど | 数値分析と仮説検証を繰り返し、成果に直結する「マーケティング思考」 |
IT・Web系のフリーランスの仕事では、クライアントのビジネス課題をテクノロジーで解決する「パートナー」としての役割が求められます。
クリエイティブ系のフリーランスの仕事一覧
クリエイティブ系のフリーランスの仕事は、以下のとおりです。
職種 | 仕事内容 | 活躍のポイント |
Webライター | 記事・LP・メルマガなどの執筆 | 読者心理を捉え、行動を促す文章力が重要 |
動画編集者 | 広告、PR動画の編集など | 見やすく、伝わりやすい編集ができることが評価される |
イラストレーター | 書籍・Web・広告などのイラストや図の制作など | 世界観・ブランド文脈を視覚化する能力 |
カメラマン | 商品・人物・風景の撮影など | 構図や光の使い方が上手く、魅力的に見せる技術が必要 |
クリエイティブ系のフリーランスの仕事はどれも、クライアントのメッセージを「伝わる形」に変換し、人の心を動かす「翻訳者」としての専門性が問われます。
コンサル系のフリーランスの仕事一覧
コンサル系のフリーランスの仕事は、主に以下のとおりです。
職種 | 主な仕事内容 | 活躍のポイント |
経営コンサルタント | 経営課題の整理や改善提案など | 客観的な視点で課題を整理し、解決策を提案できる力が求められる |
人事コンサルタント | 採用や人材育成、制度づくりの支援など | 組織や人に関する課題を把握し、実現可能な仕組みを提案できることが大切 |
Webコンサルタント | Web集客やサイト改善の提案など | アクセス数やコンバージョン率などの数値に基づいて施策を立てられることが強みになる |
特定の知識を教える「教師」ではなく、クライアント自身も気づいていない本質的な課題を発見し、共に未来を創造する「伴走者」としての役割が中心です。
フリーランスとしての独立準備から開業までの5ステップ
ここでは、成功確率を高めるための戦略的な5つのステップを解説します。これからフリーランスとして独立を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
ステップ1:スキルの棚卸しと事業計画の策定
まずは、自身の強みを明確にし、それを軸とした事業計画を立てることがスタート地点です。
これまでの経験・スキル・実績を洗い出し、「誰に」「何を」「どのように」提供していくかを具体化しましょう。あわせて、3年後・5年後の理想像を描き、そこから逆算して初年度の目標(売上、受注件数など)を設定することが重要です。
ステップ2:独立資金の準備と生活費の見積もり
フリーランスは収入が不安定になりやすいため、事前に資金計画を立てておくことが不可欠です。
目安として、生活費の6か月分〜1年分の資金を確保しておくと、精神的な余裕を持ってスタートできます。準備が不十分だと、低単価案件に頼らざるを得ず、長期的なキャリア形成が難しくなります。資金面の備えは、戦略的に案件を選ぶための武器にもなります。
ステップ3:退職前の準備(退職手続きなど)
独立を決意したら、在職中にできる準備を着実に進めましょう。
退職の申し出は、業務の引き継ぎや関係者との調整を考慮すると、1〜3か月前が望ましいとされています。また、担当していた業務のマニュアル化や、後任者への引き継ぎ資料の作成も意識して進めると、社内外からの信頼を得やすくなります。
退職は「終わり」ではなく、新たなキャリアの始まりです。最後まで丁寧な対応を心がけることで、独立後のスタートがよりスムーズになります。
ステップ4:開業届の提出と税金・保険の手続き
開業後1か月以内に、税務署に「開業届」を提出しましょう。併せて、「青色申告承認申請書」も提出することで、最大65万円の所得控除が受けられるようになります。
開業届と青色申告承認申請書を提出することで、正式な個人事業主として認められ、屋号での銀行口座開設などが可能になります。
出典:No.2090 新たに事業を始めたときの届出など(国税庁)
ステップ5:仕事獲得のための基盤づくり
最後に、受注に向けた準備を整えましょう。以下のような手段があります。
- 過去の人脈を活かして紹介を受ける
- SNSでスキルや専門性を発信する
- 実績をまとめたポートフォリオを作成する
- フリーランス向けの案件マッチングサイトやエージェントに登録する
ターゲットとする顧客に対し、スキルや知識を適切にアピールできる方法を選択してアプローチすることがが、安定した受注につながります。
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フリーランスの仕事の選び方
フリーランスは、仕事選びにおいても大きな自由度があります。どのような基準で案件を選択すればよいか、以下3つのポイントを整理してみましょう。
- 興味で選ぶ
- スキル。経験で選ぶ
- 報酬水準や市場の需給バランスで選ぶ
興味で選ぶ
自分の興味や関心に合った仕事を選べることは、フリーランスの醍醐味です。長く続けるためにも、モチベーションを維持しやすい分野の仕事に取り組むとよいでしょう。新しいスキルが求められるような案件でも、興味があれば学習や作業の継続がしやすく、結果的に仕事の質も高まりやすいといえます。
スキル・経験で選ぶ
自分がこれまで培ってきたスキルや経験を活かせる仕事を選べば、スムーズに案件を獲得できるでしょう。実績があればクライアントからの評価が高まりやすく、高単価の案件も狙いやすくなるはずです。エンジニアやデザイナー、コンサルタント、経理など、専門性の高いスキルは常に需要があるため、実績を適切にアピールできれば仕事を獲得しやすくなります。
報酬水準や市場の需給バランスで選ぶ
フリーランスとして生活していく以上、報酬面も重要な基準です。自分が目標とする収入を達成できる職種なのか、平均的な案件単価がどの程度なのかをリサーチすることが大切です。
たとえば、ITエンジニアやWebデザイナーは需要が高く報酬が高単価になりやすいですが、その分競合も多いのが特徴です。逆にニッチな分野であれば、ライバルは少ないものの案件数が限られるかもしれません。自分の目指す収入水準と、市場の需給バランスを見極めて仕事を選びましょう。
フリーランスが案件を獲得する方法
ここではフリーランスが案件を獲得する方法として、代表的な3つの方法をご紹介します。
- フリーランス向けマッチングサイトを利用する
- 知人・友人に紹介してもらう
- 自ら情報を発信する
フリーランス向けマッチングサイトを利用する
近年ではフリーランス向けのマッチングサイトやクラウドソーシングサービスが増えており、自分のスキルを登録するだけで企業からスカウトが来ることもあります。
クラウドソーシングであれば単発の仕事から始められるため、実績がない初心者にとっても参入障壁が低いのがメリットです。一方、フリーランス専門のエージェントやマッチングサイトは高単価の案件が多く、企業と直接契約できる場合もあります。本業を通じて一定の専門性を獲得できている方は、フリーランス向けのマッチングサイトで案件を検索してみるとよいでしょう。
知人・友人に紹介してもらう
人脈を活かして知人や友人に仕事を紹介してもらうのも、効果的な方法です。すでに人間関係があるため、仕事のやり方やスキルを理解してもらいやすく、スムーズに受注できるケースが多いでしょう。
また、実績を積むにつれてクライアントからの紹介が広がり、新たな案件を自然と獲得できるようになることもあります。フリーランスとしての第一歩を踏み出すため、身近なところからアプローチしてみましょう。
自ら情報を発信する
SNSやブログを活用して、自分が得意とする分野の情報発信を行うのも有効です。たとえば、デザイナーの方が定期的に作品を投稿したり、エンジニアの方が技術的な知見を投稿したりすれば、興味を持った企業や個人から声がかかる可能性があります。
また、検索エンジンからの流入を増やせば、自ら営業しなくても仕事のオファーがくることもあります。SNSやブログを通じて自分のブランディングを確立することで、案件獲得のチャンスを広げられるでしょう。
フリーランスとして活動する前に理解すべき注意点
フリーランスとして独立すると、これまで会社が担っていた社会保障や契約面の管理、情報セキュリティまで、すべて自分で対応する必要があります。ここでは、事前に押さえておきたい重要なポイントを解説します。
国民健康保険・国民年金へ切り替えが必要
退職と同時に、会社の健康保険(社会保険)から脱退し、原則として「国民健康保険」に加入します。保険料は前年の所得に応じて市区町村ごとに計算され、多くの場合、会社員時代の負担額より増加します。
年金も同様に「国民年金」への切り替えが必要です。これらの手続きは、退職日の翌日から14日以内に居住地の役所で行う必要があります。
消費税の課税事業者になる可能性
原則として、課税期間の前々年、法人であれば前々事業年度における課税売上高が1,000万円を超える場合、その事業者は「課税事業者」となり、消費税および地方消費税(消費税等)を納付する必要があります。
課税事業者は、取引の際に売上にかかる消費税等(通常10%、軽減税率適用の場合は8%)を顧客から受け取り、これを税務署に申告・納付しなければなりません。
出典:消費税のしくみ(国税庁)
さらに、2023年10月から「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が導入され、取引先が仕入税額控除を受けるためには、適格請求書(インボイス)の発行が必須となりました。
免税事業者のままではインボイスを発行できず、取引先が仕入税額控除を受けられなくなることから、取引機会の減少や契約見直しのリスクが生じる可能性があるため注意が必要です。そのため、売上規模にかかわらず、戦略的に課税事業者(適格請求書発行事業者)への登録を選択するフリーランスも一定数存在しています。
自身の状況や取引先のニーズを踏まえた上で、適切な選択と対応が重要です。
顧客情報や機密データの管理は慎重に
クライアントから預かったデータや機密情報を、プライベートで使用するPCやクラウドストレージで管理するのは避けましょう。
誤送信・ウイルス感染・第三者のアクセスなどのリスクを避けるため、ウイルス対策ソフトの導入、事業専用のPCやアカウントの利用など、セキュリティ対策を徹底することが大切です。
契約書のない業務には注意
業務委託においては、契約書を取り交わさずに仕事を始めることは避けましょう。
納期、報酬、支払い条件、成果物の著作権や再利用範囲など、口約束だけではトラブルの原因になります。必ず書面または電子契約で合意事項を明文化し、双方の認識を一致させることが大切です。
契約書の雛形を自分でも持っておくと、急な案件やクライアントとの交渉時にも役立ちます。
フリーランスとしての収入を増やすために
フリーランスとして収入アップを図るためには、単に案件を処理するだけでなく、自分の市場価値を高める努力が必要です。ここでは、収入アップにつなげる具体的な施策をご紹介します。
専門性を高める
企業が抱える事業課題を解決するには、高度な専門知識やスキルが求められます。簡単に対応できる業務ばかりを受注するのではなく、新たな領域に挑戦してみるなど、専門性を高め続けることで高い報酬を得やすくなるでしょう。ほかのフリーランスとの差別化ができれば、高単価の案件や長期契約につなげられるチャンスが増えます。
ブランディングを行う
SNSやブログ、ポートフォリオサイトなどで実績や得意分野を積極的にアピールしていきましょう。自分が解決できる課題や、携わったプロジェクトの成果を分かりやすくまとめることで、クライアントからの信頼が高まります。ブランディングをしっかり行えば、相場より高い報酬を提示しても依頼を獲得できる可能性が高まるでしょう。
ポートフォリオを充実させる
これまでの実績が可視化されていれば、クライアントも安心して依頼を検討できます。特にクリエイティブ系やエンジニア系の職種では、ポートフォリオがあるかどうかで案件獲得率や報酬額が大きく変わります。作品や実績を掲載するだけでなく、プロジェクトの背景や成果を具体的に記載することで、自分の仕事ぶりや考え方を伝えることが重要です。ポートフォリオサイトや共有ドキュメント、SNSでの公開など、複数の媒体で提示できるよう準備しておくとよいでしょう。
フリーランスに関するよくある質問(FAQ)
最後に、フリーランスとして独立や副業を検討している方から寄せられる質問と、その回答をまとめました。
Q1.フリーランスで20万円の手取りはいくらになりますか?
会社員の手取りとは概念が全く異なり、フリーランスの手取りを単純計算することは困難です。
フリーランスの20万円はあくまで「売り上げ」です。ここから、国民健康保険料・国民年金保険料・所得税・住民税、そして事業に必要な経費(PC代、通信費、交通費など)が引かれます。
報酬額面だけでなく、そこから差し引かれるものを全て考慮した上で、事業の資金計画を立てることが重要です。
Q2.会社員をしながら副業でフリーランスを始めることはできますか?
会社員をしながら副業でフリーランスを始めることは可能です。副業から始めることで、本業の安定収入を確保したまま、スキルや実績を積み上げることができます。
また、本業で得た知見を副業に活かしたり、副業で得たスキルや視点を本業に還元したりできる点も強みです。
ただし、就業規則で副業が禁止されている企業もあるため、事前に確認が必要です。また、収入が増えた場合は確定申告や住民税の申告方法の選択など、税務上の対応も求められます。
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本記事では、フリーランスの定義やはたらき方、メリットやデメリット、案件の獲得方法、収入を伸ばすためのポイントなどをまとめて解説しました。
フリーランスとは、会社に属さず自分のスキルや専門性を武器に自由にはたらくスタイルを指します。はたらく場所や時間を自分でコントロールできる反面、収入や社会的信用の面でリスクを伴う場合もあります。フリーランスとしてのキャリアを成功させるには、自分の得意分野を明確化し、需要を捉えたうえで案件獲得に向けた営業やブランディングを積極的に行う努力が欠かせません。
フリーランスとしての独立を目指すなら、自身の目的に合った仕事を選び、スキル面や資金面の準備を進めていきましょう。複数のクライアントと取引するなど、適切にリスクを管理できれば、フリーランスは自身のキャリアを充実させる有効な手段になるはずです。
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