フリーランスとは?はたらき方や仕事内容、必要な準備、仕事の選び方などまとめて解説!

フリーランスとしてはたらく人は年々増加しており、企業側も多様な人材を活用する手段としてフリーランスに注目しています。しかし、「フリーランスとは具体的に何をしているの?」「会社員との違いは?」「フリーランスとして活動するための準備や仕事の選び方は?」など、疑問を持つ方も多いでしょう。
本記事では、フリーランスの定義やはたらき方、メリットやデメリット、案件の獲得方法、収入を伸ばすためのポイントなどについて、まとめて解説します。フリーランスを目指す方はもちろん、フリーランスというはたらき方に興味がある方も、ぜひ最後までご覧ください。
フリーランスとは

フリーランスとは、特定の企業や組織に雇用さることなく、自らのスキルや経験を活かして契約ごとに仕事を行うはたらき方のことです。かつては、エンジニアやデザイナー、ライターといった一部の職種で多いイメージがありましたが、近年ではコンサルタントやマーケター、人事、経理など、さまざまな職種でフリーランスとして活躍する人が増えています。
企業に所属せず仕事をするという点で「自由」な印象が強い反面、自分で管理すべきことが多いはたらき方でもあります。
フリーランスの定義
フリーランスの明確な定義は法的に定められていませんが、政府の資料によると、フリーランスは以下のように定義されています。
実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者
出典:厚生労働省「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」
また、「フリーランス=個人事業主」というイメージもありますが、会社を設立(法人化)するケースもあります。フリーランスとしてはたらく際の報酬や業務内容は契約先との合意で決まり、労働基準法の適用を受けない場合も多いため、契約内容の確認、収入や経費の管理などをすべて自分で行う必要があります。
フリーランスのはたらき方
フリーランスのはたらき方は多様です。たとえば、プロジェクト単位で契約を結び、複数のクライアントの仕事を同時に進める人もいれば、大手企業と長期契約を結び、半ば専属のようにはたらく人もいます。
具体的なスケジュールとしては、「午前中は自宅で作業、午後はクライアントとの打ち合わせやオンライン会議、夜はコワーキングスペースで作業」といったように、時間と場所を自由に選べることが特徴です。ただし、これは契約内容やプロジェクトの要件によって異なる場合があります。また、納期や成果物のクオリティに対する責任は重く、契約を失わないよう自律的に行動することが求められます。
会社の指揮命令がない代わりに、すべての業務管理やスケジュール調整、トラブル対応などを自身で行う必要があるため、自己管理能力やコミュニケーションスキルが欠かせません。
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フリーランスが注目されている背景
近年のフリーランス人口の増加には、社会や経済の変化が大きく影響しています。ここでは、フリーランスというはたらき方が注目される主な要因を見ていきましょう。
多様化するはたらき方
従来であれば、新卒で就職した企業に勤め続けることが一般的でしたが、はたらき方の多様化が進み、必ずしも一つの会社に長期雇用されるスタイルだけが選択肢ではなくなりました。
副業や兼業を認める企業も増え、「自分の得意分野を活かして外部の仕事も受けたい」「育児や介護と仕事を両立させたい」といった、多様なニーズに合わせた柔軟なはたらき方として、フリーランスが注目を集めています。
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慢性的な人材不足
パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2035」によると、2035年の労働力は384万人分相当が不足すると推計されています。
企業にとって、慢性的な人材不足は深刻な課題です。しかし、正社員としての採用が難しい場合でも、フリーランスを活用すれば即戦力として人材を確保することが可能です。特にITやクリエイティブ分野では、優秀な人材を正社員として雇用するよりも、必要なタイミングだけ業務委託するほうがコストを抑えられる場合があります。
そうした背景から、雇用形態にこだわらず、プロジェクトに合ったフリーランスを起用する企業が増えているのです。
リモートワークの浸透
コロナ禍をきっかけにリモートワークが急速に広がり、場所にとらわれないはたらき方が一般化しました。パソコンとインターネット環境があれば自宅やコワーキングスペースなど、どこからでも業務に取り組めるため、複数の企業相手に仕事を行うフリーランスのはたらき方は広がりを見せています。
また、オンライン会議やチャットツールの普及により、物理的なオフィスへの出社が必須ではなくなったこともフリーランス増加の背景として挙げられます。
フリーターや個人事業主との違い
フリーランスに似た言葉として「フリーター」や「個人事業主」がありますが、それぞれ意味や法的な位置づけは異なります。混同しやすいため、違いを整理しておきましょう。
フリーターとの違い
フリーターは、企業にアルバイトやパートという形で雇用され、給料を得ている人を指します。
厚生労働省では、フリーターを以下のように定義しています。
フリーターとは、15~34歳の若年者(学生及び主婦を除く)のうち、勤め先における呼称がアルバイト又はパートである者(これまでアルバイト・パートを続けてきた者で無業の者を含む。)をいう。
出典:厚生労働省「主な用語の定義」
一方、フリーランスは業務委託契約を結んで収入を得るため、企業から指示を受けるのではなく、仕事内容や報酬などを自ら交渉して決める立場にあります。つまり、フリーターの場合は労働者として雇用関係にあり、フリーランスの場合は独立した事業者として取引関係にある点が決定的に異なるのです。
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個人事業主との違い
個人事業主は法律上の呼称であり、法人を設立しないまま事業を行う人全般を指します。税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出すれば、個人事業主として扱われることになります。
フリーランスは個人事業主に該当するケースが多いものの、厳密には「フリーランス=個人事業主」ではありません。たとえば、フリーランスが法人を立ち上げる場合もあり、その場合は「法人経営者」になります。あくまで「雇用されずに契約ベースで仕事を行う人」を広くフリーランスと呼ぶため、法的な呼称としての個人事業主とは一致しない場合もあるのです。
フリーランス新法とは
フリーランスを取り巻く環境が急速に変化するなか、フリーランスとしてはたらく人の取引条件を整備するための法律として注目を集めているのが「フリーランス新法」です(正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)。フリーランス新法は企業とフリーランスの公正な取引を促すことを目的としています。
具体的な内容としては、「書⾯等による取引条件の明⽰」や「報酬⽀払期⽇の設定・期⽇内の⽀払」などが挙げられます。
参考:厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法リーフレット」
これまでフリーランスは、企業に対する交渉力が弱い場合に不利な条件を受け入れざるを得ないといった問題がありました。フリーランス新法によって、フリーランスにとってよりはたらきやすい環境が整うことが期待されています。
フリーランスの代表的な仕事内容
フリーランスが行う仕事は多岐に渡ります。これまでのキャリアで培ったビジネススキルを活かすコンサルティング業務や税理士、弁護士といった専門資格を活かすフリーランスも増えています。また、WebエンジニアやWebデザイナー、ライター、動画クリエイターなど、クリエイティブ領域の専門スキルを活かせる職種も人気です。
副業でフリーランスとしての仕事を始める人も多く、たとえば本業で身に付けた人事や経理、マーケティングなどのスキルを活かしながら、副業でコンサルタントやアドバイザーとして活動するケースもあります。
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フリーランスになるメリット・デメリット
ここからは、フリーランスというはたらき方のメリットやデメリットを見ていきましょう。会社員とは大きく異なる点が多いため、自分に合っているかどうか検討する際の参考にしてください。
フリーランスの主なメリット
フリーランスの主なメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 自由にはたらける
- 自己成長につながりやすい
- 収入を大きく伸ばせる可能性がある
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自由にはたらける
フリーランス最大のメリットは、時間、場所、取引相手を自由に選べることです。仕事をする場所は自宅やコワーキングスペースなどでもよく、契約するクライアントも自分で選ぶことができます。ただし、これらは契約内容に応じて制約がある場合もあります。
また、はたらく時間も自分で調整できるため、ライフスタイルに合わせてはたらける点は大きな魅力です。ただし、納期や成果に対する責任はすべて自分で負う必要があるため、難しさも伴います。
自己成長につながりやすい
企業に所属していると、業務範囲がある程度決まっている場合が多いでしょう。しかしフリーランスであれば、案件の選び方次第で新しい分野やスキルに挑戦する機会に恵まれやすく、自己成長につながりやすいといえます。
基本的に案件ごとにプロジェクト内容や求められるスキルは異なるため、常に学習しながら自己成長を実感することになるでしょう。クライアントからの要望に応えることで、自分自身のスキルセットを拡張していくことが可能です。
収入を大きく伸ばせる可能性がある
フリーランスの収入は、クライアントとの交渉次第で大きく変わります。自分の専門性や実績が高く評価されれば、会社員時代より高い報酬を得られる場合もあります。複数のクライアントと契約できれば、それだけ収入アップのチャンスも増えるでしょう。
フリーランスの主なデメリット
一方で、フリーランスには会社員にはないリスクやデメリットも存在します。ここでは、以下3つのポイントを見ていきましょう。
- 収入の安定性に欠ける
- 社会的な信用を得るのが難しい
- 徹底した自己管理が必要である
収入の安定性に欠ける
収入アップのチャンスがある一方、企業に雇用されているわけではないため、フリーランスになると毎月決まった収入が得られる保証はありません。短期で契約が終了したり、売上が思うように上がらない月が続いたりすることもあります。生活基盤を守るためには、収入の波に備えて貯金や保険などのリスク対策が不可欠です。
社会的な信用を得るのが難しい
フリーランスは、会社員に比べると社会的な信用を得にくいという傾向があります。住宅ローンの審査などでは、収入の安定性に欠けると判断されることもあるでしょう。
また、企業と業務委託契約を結ぶ際にも、実績や専門性を証明できなければ断られる場合があります。自分の信用力を高めるには、日頃から実績を積み重ねる努力が必要です。
徹底した自己管理が必要である
フリーランスは、スケジュール管理から納税、保険手続きまで、すべてを自己管理する必要があります。体調不良や長期休暇なども自分の責任で調整しなければなりません。仕事が忙しいときほど無理をしがちですが、その結果、身体を壊してしまうと収入が途絶える可能性もあるため、セルフマネジメント能力がきわめて重要だといえます。
フリーランスになるための準備
フリーランスとして独立するためには、事前の準備が欠かせません。活働時間やはたらく場所を自由に設定できる一方で、営業活動から経理業務まで自身で行う必要があるため、計画的に行動することが重要です。具体的には、以下5つのステップで準備を進めるのがおすすめです。
- 自分に合った仕事を選ぶ
- フリーランスで活躍するためのスキルを磨く
- 資金面の準備をする
- 退職・開業の手続きを行う
- 案件を獲得する
まず、自身がどの領域でフリーランスとして活動するのかを決めましょう。強みやスキルの棚卸し、ニーズの調査などを経て、自分に合った仕事を選びます。そのうえで、本業や副業を通じてスキルを磨きます。
しばらく収入がなくても生活できるよう、資金面の準備も欠かせません。フリーランスとしての準備が整ったら、退職や開業の手続きをし、いよいよ案件を獲得します。このように、段階を踏んで計画的に進めれば、リスクを抑えつつフリーランスに転向することができるでしょう。
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フリーランスの仕事の選び方
フリーランスは、仕事選びにおいても大きな自由度があります。どのような基準で案件を選択すればよいか、以下3つのポイントを整理してみましょう。
- 興味で選ぶ
- スキル。経験で選ぶ
- 報酬水準や市場の需給バランスで選ぶ
興味で選ぶ
自分の興味や関心に合った仕事を選べることは、フリーランスの醍醐味です。長く続けるためにも、モチベーションを維持しやすい分野の仕事に取り組むとよいでしょう。新しいスキルが求められるような案件でも、興味があれば学習や作業の継続がしやすく、結果的に仕事の質も高まりやすいといえます。
スキル・経験で選ぶ
自分がこれまで培ってきたスキルや経験を活かせる仕事を選べば、スムーズに案件を獲得できるでしょう。実績があればクライアントからの評価が高まりやすく、高単価の案件も狙いやすくなるはずです。エンジニアやデザイナー、コンサルタント、経理など、専門性の高いスキルは常に需要があるため、実績を適切にアピールできれば仕事を獲得しやすくなります。
報酬水準や市場の需給バランスで選ぶ
フリーランスとして生活していく以上、報酬面も重要な基準です。自分が目標とする収入を達成できる職種なのか、平均的な案件単価がどの程度なのかをリサーチすることが大切です。
たとえば、ITエンジニアやWebデザイナーは需要が高く報酬が高単価になりやすいですが、その分競合も多いのが特徴です。逆にニッチな分野であれば、ライバルは少ないものの案件数が限られるかもしれません。自分の目指す収入水準と、市場の需給バランスを見極めて仕事を選びましょう。
フリーランスが案件を獲得する方法
ここではフリーランスが案件を獲得する方法として、代表的な3つの方法をご紹介します。
- フリーランス向けマッチングサイトを利用する
- 知人・友人に紹介してもらう
- 自ら情報を発信する
フリーランス向けマッチングサイトを利用する
近年ではフリーランス向けのマッチングサイトやクラウドソーシングサービスが増えており、自分のスキルを登録するだけで企業からスカウトが来ることもあります。
クラウドソーシングであれば単発の仕事から始められるため、実績がない初心者にとっても参入障壁が低いのがメリットです。一方、フリーランス専門のエージェントやマッチングサイトは高単価の案件が多く、企業と直接契約できる場合もあります。本業を通じて一定の専門性を獲得できている方は、フリーランス向けのマッチングサイトで案件を検索してみるとよいでしょう。
知人・友人に紹介してもらう
人脈を活かして知人や友人に仕事を紹介してもらうのも、効果的な方法です。すでに人間関係があるため、仕事のやり方やスキルを理解してもらいやすく、スムーズに受注できるケースが多いでしょう。
また、実績を積むにつれてクライアントからの紹介が広がり、新たな案件を自然と獲得できるようになることもあります。フリーランスとしての第一歩を踏み出すため、身近なところからアプローチしてみましょう。
自ら情報を発信する
SNSやブログを活用して、自分が得意とする分野の情報発信を行うのも有効です。たとえば、デザイナーの方が定期的に作品を投稿したり、エンジニアの方が技術的な知見を投稿したりすれば、興味を持った企業や個人から声がかかる可能性があります。
また、検索エンジンからの流入を増やせば、自ら営業しなくても仕事のオファーがくることもあります。SNSやブログを通じて自分のブランディングを確立することで、案件獲得のチャンスを広げられるでしょう。
フリーランスとしての収入を増やすために
フリーランスとして収入アップを図るためには、単に案件を処理するだけでなく、自分の市場価値を高める努力が必要です。ここでは、収入アップにつなげる具体的な施策をご紹介します。
専門性を高める
企業が抱える事業課題を解決するには、高度な専門知識やスキルが求められます。簡単に対応できる業務ばかりを受注するのではなく、新たな領域に挑戦してみるなど、専門性を高め続けることで高い報酬を得やすくなるでしょう。ほかのフリーランスとの差別化ができれば、高単価の案件や長期契約につなげられるチャンスが増えます。
ブランディングを行う
SNSやブログ、ポートフォリオサイトなどで実績や得意分野を積極的にアピールしていきましょう。自分が解決できる課題や、携わったプロジェクトの成果を分かりやすくまとめることで、クライアントからの信頼が高まります。ブランディングをしっかり行えば、相場より高い報酬を提示しても依頼を獲得できる可能性が高まるでしょう。
ポートフォリオを充実させる
これまでの実績が可視化されていれば、クライアントも安心して依頼を検討できます。特にクリエイティブ系やエンジニア系の職種では、ポートフォリオがあるかどうかで案件獲得率や報酬額が大きく変わります。作品や実績を掲載するだけでなく、プロジェクトの背景や成果を具体的に記載することで、自分の仕事ぶりや考え方を伝えることが重要です。ポートフォリオサイトや共有ドキュメント、SNSでの公開など、複数の媒体で提示できるよう準備しておくとよいでしょう。
まとめ
本記事では、フリーランスの定義やはたらき方、メリットやデメリット、案件の獲得方法、収入を伸ばすためのポイントなどをまとめて解説しました。
フリーランスとは、会社に属さず自分のスキルや専門性を武器に自由にはたらくスタイルを指します。はたらく場所や時間を自分でコントロールできる反面、収入や社会的信用の面でリスクを伴う場合もあります。フリーランスとしてのキャリアを成功させるには、自分の得意分野を明確化し、需要を捉えたうえで案件獲得に向けた営業やブランディングを積極的に行う努力が欠かせません。
フリーランスとしての独立を目指すなら、自身の目的に合った仕事を選び、スキル面や資金面の準備を進めていきましょう。複数のクライアントと取引するなど、適切にリスクを管理できれば、フリーランスは自身のキャリアを充実させる有効な手段になるはずです。
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