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ビジネスモデルキャンバス(BMC)とは?具体的な活用方法やポイントも解説

ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスの現状を把握し、課題を明確にするためのフレームワークです。

しかし、ビジネスモデルキャンバスを活用したくても、「そもそもの意味がわからない」「進め方を知りたい」と考える方もいるのではないでしょうか。

本記事では、ビジネスモデルキャンバスの概要や具体的な活用方法を解説します。ビジネスモデルを考えていきたい方はぜひ参考にしてください。

ビジネスモデルキャンバス(BMC)とは

ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)とは、ビジネスモデルを考える際に、要素ごとに構造を整理して可視化するためのフレームワークです。主に、以下9つの要素で構成されています。

  • Customer segments(顧客層)
  • Channels(チャネル)
  • Value proposition(提供価値)
  • Key resources(リソース)
  • Key activities(主要活動)
  • Customer relationships(顧客との関係性)
  • Key partners(パートナー)
  • Revenue streams(収益の流れ)
  • Cost structure(コスト構造)

Customer segments(顧客層)

自社製品やサービスを介して価値を提供したい人、つまりプロジェクトにおけるターゲットとなりうる見込み顧客と顧客層の明確化です。

顧客層を分析する際のポイントは、なるべく具体的にイメージすることです。年齢、性別、生活様式、どのような課題を抱えていて何に困っているのか考えましょう。

Channels(チャネル)

チャネルとは、自社の価値を見込み顧客へ届けるために必要なコミュニケーションの起点となるポイントです。顧客は、さまざまな方法で情報を入手した結果、自社の商品やサービスの存在を知ります。

情報収集元の具体例は、SNSの企業アカウント、検索エンジン、ECサイトなどがあります。

また、チャネルを考えるときは、以下5つのフェーズに分けて検討すると効率的です。

フェーズ 概要 施策例
認識 見込み顧客との接点を作るためのフェーズ サービスサイト、SNS、オウンドメディア、各種広告など
評価 見込み顧客が商品やサービスと触れる機会を作るフェーズ トライアルの実施、サンプル品の提供など
購入 自社の商品やサービスを見込み顧客がどのような手段で購入するかを考えるフェーズ 購入は、対面かオンラインなどの手段が考えられます。近年はオンライン化が進んでいるものの、商品やサービスの性質上、どうしても対面で実施しなければ魅力を伝えられないケースもあるため、使い分けることを重視してください。
流通 自社の商品やサービスの成約後に、顧客がどのような手段で受け取るのかを明確にするフェーズ 無形商材であれば、オンライン上で完結する場合が多いでしょう。有形商材の場合には配送する場合が多いですが、顧客が来店して直接受け取る場合もあります。
アフターセールス 商品やサービスの成約後に、アフターサポートを検討するフェーズ 商品・サービスの使用方法などの疑問点を解消するだけでなく、悩みごとの効果的な活用例の共有など、より本質的な顧客の課題解決につながるサポートを心がけましょう。

Value proposition(提供価値)

提供価値とは、自社の商品やサービスを通じて顧客が得られる価値です。

顧客は、自分にとってどのような価値が得られるのかを考えてから、商品やサービスを選定し、購入します。そのため、提供価値の確認は、自社商品が顧客にもたらす価値を洗い出すことでもあります。

また、提供価値を分析するときにはバリュープロポジションキャンバスの利用が効果的です。バリュープロポジションキャンバスとは、自社の商品やサービスと顧客のニーズに生じるズレを解消するためのフレームワークです。

具体的には顧客への提供価値と顧客セグメントの要素を書き出し、両者の関係性を可視化します。結果、顧客のセグメントに価値のある提供ができているかを見極められます。

Key resources(リソース)

リソースとは、価値提供の継続に不可欠な経営資源です。具体的には以下4つの要素があげられます。

  • 人:企業でビジネスに関与する従業員
  • 財務:企業で保有する資金など
  • 有形資産:店舗、設備、在庫など
  • 無形資産:特許、著作権、ブランドなど

Key activities(主要活動)

主要活動とは、顧客への価値提供をするために実施が求められるアクションのことです。主要活動は、主に以下3つの分類で考えます。

  • 生産:顧客のニーズを満たす商品の開発や生産計画
  • 問題解決:製品やサービスに潜む問題を解決するための仕組み
  • プラットフォーム:ビジネスモデルのなかで新たなビジネスが誕生する仕組み

これらの活動を通じて、自社が価値ある商材を創出・提供するための基盤を整えていきます。

Customer relationships(顧客との関係性)

自社の商品やサービスを利用する顧客が、確立や維持を期待するつながりです。

  • カスタマーサポート:電話やメールなどを通じて顧客と直接やりとりする方法です。自社の仕様を満たした独自のシステム開発やサービスでの契約で多く見られます。
  • セルフサービス:SaaSサービスやECサイトなどを通じて、顧客自身が解決できる仕組みです。
  • 専用コミュニティ:同じ目的を持った人同士が集まる空間です。コミュニティ内で情報共有を実施することで、自社の介在なしで疑問の解消ができるだけでなく、新規商品の開発にも役立つでしょう。

Key partners(パートナー)

パートナーとは、自社の活動を支援してくれる主要な外部リソースとサプライヤーです。パートナーは、自社内のリソースだけでは不足するときに助けとなってくれます。パートナーには、以下3つの種類があります。

  • 業務提携:技術・生産・販売の強化を目的に、複数の企業が協力関係を築く形態
  • 合弁事業:複数の企業が出資し、お互いの弱点を補いながら新規プロジェクトを推進する形態
  • サプライヤー:自社製品の材料やサービス開発で必要となる人的リソースを提供する業者

Revenue streams(収益の流れ)

顧客に価値を提供した結果、得られた対価そのものと、対価が企業のもとに届くまでの流れのことです。顧客に価値を提供するときには、どのような流れで収益に結びつくのかを考えなければなりません。

Cost structure(コスト構造)

コスト構造とは、ビジネスの運用に際して発生するすべてのコストです。

コスト構造は、これまで紹介してきたValue proposition(提供価値)、Key resources(リソース)、Key activities(主要活動)、Key partners(パートナー)を考慮して算出すると効率的に進められます。

ビジネスモデルキャンバスの作成手順

ビジネスモデルキャンバスは、以下の手順で作成します。

  1. 顧客層と提供価値を明確にする
  2. コスト構造は最後に設定する

それぞれの作り方を理解し、ビジネスモデルキャンバスを効果的に進めましょう。

1.顧客層と提供価値を明確にする

9つの要素のなかでも、Customer segments(顧客層)とValue proposition(提供価値)を明確にしましょう。

上記を明確にすることで、企業にとって最適なChannels(チャネル)、Customer relationships(顧客との関係性)、Key partners(パートナー)、Key resources(リソース)、Key activities(主要活動)、Revenue streams(収益の流れ)を導き出せるためです。

2.コスト構造は最後に設定する

コスト構造は最後に設定します。なぜなら、コスト構造はすべての要素が確立してから俯瞰的に考え、設定する必要があるからです。

ビジネスモデルキャンバスのポイント

ビジネスモデルキャンバスには、以下3つのポイントがあります。

  • 全体像の把握を目的に実施する
  • 要素を書き込みすぎない
  • 新規事業ばかりに目を向けない

全体像の把握を目的に実施する

ビジネスモデルキャンバスは、全体像の把握が目的のひとつです。そのため、要素を洗い出すときにはある要素に時間をかけるよりも、全体を埋めるためにスピーディーに進めることがポイントです。

一度作成したら終わるわけではないため、すべてを埋めてから全体像を把握し、少しずつブラッシュアップして内容の精度を上げていきましょう。

要素を書き込みすぎない

ビジネスモデルキャンバスは、1つひとつの要素に書き込みすぎないよう注意してください。内容が難渋になり全体像を把握しにくくなると、ビジネスモデルキャンバスが本来の機能を発揮できない可能性があります。

できるだけシンプルにすると、全体像を把握しやすくなるでしょう。

新規事業ばかりに目を向けない

ビジネスモデルキャンバスは、新規事業ばかりに目を向けず、既存事業にも着目することが大切です。なぜなら、実際に書き出してみると既存事業の課題が見えてくるため、新規事業に取り組むよりも課題解決をするほうが即効性の高い効果が見込めるケースもあるためです。もちろん、既存事業でもキャンバス内の要素同士を比べながら、効率化を図る必要があります。

リーンキャンバスとの違い

ビジネスモデルキャンバスと似たフレームワークに、リーンキャンバスと呼ばれるものがあります。リーンキャンバスとは、以下9つの要素を可視化するためのフレームワークです。

  • Customer Segments(顧客層)
  • Problem(課題)
  • Unique Value Proposition(独自の価値提案)
  • Solution(ソリューション)
  • Channel(チャネル)
  • Revenue Streams(収益の流れ)
  • Key Metrics(主要指標)
  • Cost Structure(コスト構造)
  • Unfair Advantage(圧倒的な優位性)

リーンキャンバスは、新規事業の企画立案時に効果的なフレームワークです。リーンキャンバスは独自の価値提案や圧倒的な優位性などの要素が追加されており、新規ビジネスやサービスの本質や強みを把握しやすいです。

まとめ

本記事では、ビジネスモデルキャンバスの概要や具体的な活用方法を解説しました。

ビジネスモデルキャンバスは、9つの要素によりビジネスモデルの全体像を可視化できるため、現状の把握や課題の認識につながります。新規ビジネスの立案時に活用したいときには、ビジネスモデルキャンバスよりもリーンキャンバスを活用してみましょう。

それぞれの使い方や欠点を理解し、自社の価値や強みの可視化をしてください。

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