
第三期 相互副業実証実験成果報告 ~実施企業から見た相互副業による効果とは~
2022年から「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」にて相互副業の実証実験を開始し、現在第三期を迎えています。これまでに計28社114案件128名のマッチングが実現、相互副業が誕生しました。今回は相互副業を実施した、日本たばこ産業株式会社 人事

<当コラムは、このような疑問や考えをお持ちの方にオススメです>
製造の話題でよく耳にする、「品質管理」というワード。漠然とイメージはできるものの、具体的に何を行うのか、イメージがつかない方も多いのではないでしょうか?
当コラムでは、品質管理の中でも「これだけは抑えておきたい」最低限の基礎知識に絞り、難しい専門用語をなるべく使わず に解説します。

製品やサービスにおいて、一定水準の品質を担保するための取組や仕組み全般、もしくはこれらを 専任で担当するポジション名 を指します(時々、検査や検品行為のみを限定して「品質管理」と認識されているケースも見受けられますが、検査・検品は「品質管理」の一部といえます)。
モノ・コトづくりを営む企業にとって、顧客から選ばれ続けるための命題ともいえるのが 「品質」「費用(コストカット)」「納期(生産スピード)」 の向上です(各ワードの英単語頭文字を取って、QCDとも呼ばれます)。
というのも、顧客側にとって、この3つはモノ・コトの良し悪しを見極める指標そのもの。
「品質」が悪ければ使い物になりませんし、「費用」があまりに高いと手を出しづらくなり、「納期」の遅延は、緊急度が高ければ高いほど不便をもたらします。
とくに「品質」はQCDの中で最も重要視されている項目と言われています。たとえば、医薬品が「品質」の差によって生命維持にもかかわる事態となることを想像すると、「品質」の重要性がお分かりいただけると思います。
「品質管理」はモノ・コトの価値を守る要であり、とりわけメーカーでは運営に必要不可欠な要素として、専任の部署を設けていることがほとんどです。
品質管理が担う仕事や役割について、詳細を見ていきましょう。
言葉そのものの意味を平たくいえば「納期までに目標数を生産するための取組」であり、製造現場全体で使われるワードです。
ただし、いくら生産数が納期に間に合っていても、欠陥品ばかりでは世に送り出せません。そこで品質管理の考え方が重要となってきます。
品質管理における工程管理とは、誰が携わっても一定水準のモノを均一に生み出せる仕組みを整える ことであり、「マニュアルの作成」や「作業担当の育成・訓練」などが取組例として挙げられます。
冒頭でお話した「検査・検品」に加えて、モノの規格そのものを定めることとイメージすると分かりやすいでしょう。
原料や完成品に欠陥がないかをチェックするだけでなく、チェック項目や合格ラインの設定、さらに設けた項目・ライン自体が、客観的に見ても問題がないかどうかを審議します。
欠陥品となりうる要因を減らす フェーズです。
工程管理や品質検証を整えていても、完成品に欠陥が出てしまった場合、必ず原因があります。たとえば、製造機械の故障なのか、そもそも仕入れた原料の質がよくなかったのか、はたまたヒューマンエラーによるミスなのか。そのミスが頻発するようであれば、環境自体にミスを起こしやすい要因はないか…
欠陥の要因を根本的に突き詰め、二度と同じ原因で欠陥品を出さないように、事前に改善策を検討・実行することを、品質改善と呼びます。
ここからは、品質管理を行うための、具体的な手法を3つご紹介します。
まずは「PDCAサイクル」です。PDCAとはそれぞれ、下記4つの頭文字をとったワードです。
上記4つを、P→D→C→A→P→D→…とローテーションで実施し、品質の改善を図ることから「PDCAサイクル」と呼びます。

実際に、品質管理の目標と業務例にPDCAを当てはめてみると、下記のようになります。
P…制作開始までに、目標を達成するための生産計画を立てる。
D…制作前日までに、生産計画に沿って、現場に指示を出す。
C…最終日に、100個中何個完成しているかを確認。
A…予定より10個未完成だったため、原因をチェックし対策を練る。
P…前週でロスした10個の補填分を含め、110個製作するための計画を立てる。
(——以下、同様のサイクルを繰り返す)
2つ目は「QC7つ道具」と呼ばれる手法です。データを図やグラフ・表で可視化し、課題と要因を洗い出すことが可能となります。以下、それぞれを解説します。

データの全体像(傾向や変化、大小関係)を可視化する図です。例として「棒グラフ」「折れ線グラフ」「帯グラフ」「レーダーチャート」などがあります。

あらかじめ指定しておいた項目の結果を記録するシートです。チェックの合否や点検結果など、測定による結果を記し、改善のためのデータ収集に役立ちます。

棒グラフと線グラフを複合的に用いて、どの項目を優先的に改善すべきかを可視化する図です。ひとつの大きな課題に複数の項目が起因している際、各項目が全体の何割を占めているかがひと目で分かります。

データの分布状況を可視化する図です。どこに値が集まっているのか、またはバラつきがあるのかが図として顕在化するため、どこに要因があるのかの把握が容易になります。

問題となっている特性(結果)が、どのような要因で構成されているかを分類する図です。要因の詳細を細分化して図にするため、一見結果とは関連性のないように見える問題点をあぶり出すことができます。

対となった2種のデータを縦軸と横軸に置き、点の集合で結果を示した図のことです。2種のデータの相関性を把握できます。

時系列で工程の状態を示した折れ線グラフです。実績数値(青)の平均値となる中央線(黄)を軸に、上限値の折れ線グラフ(グレー)と下限値の折れ線グラフ(赤)を敷き、それぞれを対比することで、どの工程に異常があり、その異常が対策可能な範囲なのか、あるいは偶然性が高く、対策が難しいのかを数値で判断できます。
モノづくりに必要な要素(人・機械・材料・エネルギー)を、どのように組み合わせて活用すれば、より効率よく生産が進むかを、データの測定と蓄積をもとに分析し、改善策を検討する手法です。
IEの具体的な施策を分類すると、大きく分けて下記2つ(or両者を複合的に活用)となります。
…品質担保のための取組や仕組み全般(もしくはポジション名)を指す。
…モノ・コトの品質を守り、顧客の信頼を獲得することにある。
…工程管理(生産の仕組みづくり)、品質検証(製品の規格づくり)、 品質改善(欠陥品を事前に防ぐ)の3つに分かれる。
…代表的な手法に、PDCA法、QC7つ道具、IEがある。
品質管理が及ぼす製品へのブランディング力は非常に大きく、今では国内産の製品が「メイドインジャパン」、すなわち「上質なモノ」と海外から評されるようになったのも、他国の追随を許さぬほどに高品質なモノづくりにこだわった結果と言えます。
その一方で、不具合や偽装によるリコール問題などが度々ニュースで取り上げられていることからも、品質管理の背負う責任の大きさがお分かりいただけると思います。今後も海外製品との競争を視野に入れ続けなければならない中、ひとたび品質に対する信頼を損ねれば、経営の継続にも大きな損害を与えることは明白でしょう。
モノづくりの、いわば“最後の砦”を担う品質管理。その役割や意義を改めて実感いただくことで、少しでも品質管理への新たな気づきや、興味が見つかれば幸いです。