「チャレンジに溢れる社会」の実現を目指して。 タレントシェアリング領域におけるマーケットの基準は、我々が作る
リモートワークの拡大や副業解禁に伴い、フリーランス人口が増加するなど、副業・フリーランス市場は年々拡大傾向にあります。各社さまざまな新サービスを展開するなど、“タレントシェアリング”にいま市場の注目が集まっています。
今回は、新たなマッチングプラットフォームサービスを立ち上げた大里さんに、副業・フリーランス領域の現状や、新規サービスを通してどのような社会の実現を目指しているのかについて、お話を伺いました。
チャレンジ損のしない社会を作りたかった
――大里さんのパーソルキャリアへの入社の経緯についてお聞かせください。
僕は学生の頃、野球に打ち込んでいたこともあり、大学時代はダブルスクールでスポーツビジネスを学んでいました。そこで関心を持ったのが、「アスリートのセカンドキャリア問題」です。アスリートはプロになるために人並み外れた努力と工夫を重ね、技術とメンタルを磨きます。ただ、日本社会では、多くのアスリートがスポーツの世界から離れた途端に、これまでの努力やスキルが正しく評価されずにキャリアがリセットされてしまう。それっておかしいんじゃないかと。そこで湧いてきたのが、これまでのチャレンジがセカンドキャリアを考える際にも活かせる、つまり「チャレンジ損のしない社会を作りたい」という想いでした。
アスリートに限らず、ミュージシャンや漫画家もそうですけど、夢を追いかけチャレンジしてきた人たちが、「セカンドキャリアでも報われるような社会にしたい」「あらゆる人の挑戦を応援したい」と思い、人材業界に絞り就職活動をスタート。そこで「はたらくを楽しもう」をブランドスローガンに掲げているインテリジェンス(現パーソルキャリア)に出会い、「ここでなら自分の思いを叶えられる! 」と感じて入社を決めました。その後のキャリアは冒頭で紹介の通りです。
――現在、副業・フリーランス領域の市場は年々拡大を続けています。その背景には、何があるとお考えですか?
いま、個人と企業の双方が大きな課題を抱えていて、その解決策として副業・フリーランス人材の活用に注目が集まっているのだと思います。まず個人ですが、日本の社会構造として「個人が持つ価値やスキルにフォーカスされたキャリアを描きにくい」点に課題があると考えています。日本社会にはまだまだ、学歴や年齢、性別などの条件で個人を評価する風潮が残っていますし、自身の価値やスキルにフォーカスされたキャリアを実現するためには、これまで前提とされてきた正社員採用だけでは限界があると僕は捉えています。それは企業も同じです。
多くの企業は正社員採用をベースに人材を確保してきましたが、募集して採用が決まり現場配属に至るまでには、平均して半年程度はかかります。欠員が出ているのに半年も待つとなると、その分現場社員にしわ寄せがきますし、どうしたって事業成長は鈍化してしまう。それって、ものすごくもったいないですよね。今後、労働人口の減少が見込まれる中、企業が持続的な成長をしていくためには、副業やフリーランス人材をフレキシブルに活用していくことは、社会にとって絶対的に必要なことだと考えています。
目指したのは、「悩み」のフェーズからサポートできる新規サービス
――副業やフリーランス人材をフレキシブルに活用していくにあたっては、具体的にどのようなサービスがあるのでしょうか?
企業と副業・フリーランス人材をつなぐマッチングサービスがあります。当社であれば、つい先日「HiPro Direct」というマッチングプラットフォームサービスを立ち上げました。
当社には、フリーランスや副業といった「雇用によらないはたらき方」領域に関するサービスを展開する部門として、タレントシェアリング事業部があります。新規サービス立ち上げの直接的な経緯は、タレントシェアリング事業部の事業部長である鏑木に、今後のタレントシェアリング事業の未来について、話を聞かせてもらうことがあったのがきっかけですね。鏑木は「HiPro Direct」の核となるサービスの構想を数年ぐらい前から練っていて、それが、僕自身がチャレンジしたい未来にもつながるということから、2021年5月頃よりサービスの開発化が決まったんです。
――チャレンジしたい未来とは具体的にどういったものでしょうか?
一人ひとりの可能性を解き放つためにも、「よりフラットに企業と個人を結び付ける新しいサービスを開発したい」ということです。これは「チャレンジ損のしない社会を作りたい」という入社時の想いと、入社後さまざまなポジションを経験する中、「これまでの人材採用のあり方だけでは、企業の持続的な成長に伴走できなくなる」といった焦燥感から生まれた想いでした。
――その後、どのように新規サービスを構築していったのでしょうか?
新規サービスでは、顧客体験の追求と向上を図りたいと思っていたので、個人・法人のお客さまがどのようなサービスを求めているか、業務委託に関してどのような心情を抱いているのかなど、多くの市場調査をもとに徹底的に洗い出しました 。「HiPro Direct」では、収集・分析した市場ニーズに応えるため、パーソルキャリアが持つ100万件以上の求人データを活用し、業務を600種以上の「ジョブ」に細分化したり、4つの質問に答えるだけで企業が掲載する募集案件を魅力的に作成できるようにするなど、独自の機能を盛り込みました。
サービス開発で一番大切にした思想は、企業の役員や事業責任者、決裁者の方が人材活用でお悩みを抱え、相談したいと思っている時に「真っ先に使ってみたいと思ってもらえるプラットフォーム」にすることです。「HiPro Direct」には、短期のスポットコンサルと長期のプロジェクトの2つの案件形式を用意しているのですが、そこには、リクルーティングアドバイザー時代の経験が活きています。
人材不足、人材活用で多くの企業さまが悩みを抱え、事業が停滞してしまう場面に数多く立ち会ってきました。 “1か月、いや1日でも悩みを抱えたその瞬間にスポットで相談してもらい、良ければ長期での活用を検討してもらえるサービスを作れないだろうか“。そんな想いが形になったのが2つの案件形式であり、そのフレキシブルさこそが「HiPro Direct」の最大の売りだと思っています。
ゆくゆくは、究極にボーダレス&シームレスな社会を創っていきたい
――今後新規サービスを通して、個人や企業にどのような価値提供をしていきたいとお考えでしょうか?
個人の皆さまには、スキルを活かして自分らしいキャリアを歩んでほしいと思っています。これまでは正社員採用が前提で一つの企業に所属するのが当たり前とされてきましたが、これからは複数の企業で複数の仕事を自身のはたらき方にする方が増えるだろうと考えています。
例えば、事業開発を本業にしながら、一度諦めたデザイナーとしてのキャリアを副業にしたりと、描けるキャリアの幅は今後大きく広がっていくと思います。一つに限定されたはたらき方を理由に夢を諦めることが減り、むしろ夢の実現度が高まっていく。今まで以上に、スキルを活かして自分らしいキャリアを歩んでいける社会になるんじゃないかなと思っていますね。
また、こうした動きが加速すれば、結果的に日本の雇用のあり方や人材活用のあり方が変わり、市場での人材不足解消に貢献すると思うので、企業にとってもプラスに働くと考えています。
――「HiPro Direct」リリース以降の進捗と、大里さんの今後の事業展望についてご紹介いただけますか?
嬉しいことに、リリース約1ヶ月で約1,000名以上の個人の方にご登録いただいていて(2022年6月末現在)、2023年3月末までに、登録者数2万人への拡大を目指しています。顧客体験をかなり意識して開発したので、「登録のしやすさ」や「UIの美しさ」は高く評価いただいていますね。法人のお客さまの契約も順調に推移し、初年度は約200社の導入を目標にしています。その後、500、1000社と拡大を目指し、タレントシェアリング領域において、「業界No.1のプラットフォーム」になることが、今後の長期的な事業目標です。
タレントシェアリング事業はまだ黎明期なので、我々パーソルキャリアが「HiPro Direct」でマーケットの基準を作りたいと考えています。「副業・フリーランス人材は、安心して活用できるんだ」と市場の認知度が高まり、多くの企業で活用が進めば、結果的に個人の方の活躍フィールドの拡大にもつながっていきます。その実現に向け、人材業界のプラットフォーマーである我々が、しっかりとこのマーケットを育てていきたいという想いがありますね。
――今後「HiPro Direct」を通してタレントシェアリングを広めていくことで、どのような社会を創造していきたいとお考えでしょうか。
ゆくゆくは、国や場所、年齢、性別など、あらゆる制約や境界といったものをなくしていき、究極にボーダレス&シームレスな社会を創っていきたいと思っています。「HiPro Direct」が一般化していくと、「はたらく」はもっと多様になり、「個人」は、もっとチャレンジできるようなる。そして、「日本社会」そのものに、エネルギッシュな、チャレンジングな、企業や人が溢れていく状態を作れると考えます。我々は、「はたらく」を変えるチャレンジを通し、社会に活力を与えていきたいと思います。
また、多様化する個人のはたらき方、企業の人材活用の在り方に応えるプラットフォームとして、「HiPro Direct」を世界に名だたるプロダクトになるまで成長させることが、僕の目標でありビジョンです。国を超え、文化を超え、チャレンジに溢れる社会の実現に向けて、僕自身もチャレンジを続けていきたいと考えています。
取材後記
今回のインタビューで驚いたのは、大里さん自身が「はたらく」上で大切にしてきたビジョンが、入社以来一貫していたことです。はたらき方や雇用のあり方が大きく変わり、個人や企業が抱える課題が複雑化する中、どうすれば「チャレンジに溢れる社会を実現できるか」を考え、言語化し、行動し続ける大里さんの姿に、今後の「HiPro Direct」の発展を感じました。
and HiPro(アンドハイプロ)は、「『はたらく』選択肢を増やし、多様な社会を目指す」メディアです。雇用によらないはたらき方、外部人材活用を実践している個人・企業のインタビューや、対談コンテンツなどを通じて、個人・企業が一歩踏み出すきっかけとなる情報を発信してまいります。
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