カスタマージャーニーマップの正しい作り方と手順を解説
カスタマージャーニーマップはあらゆるマーケティング施策を進めるうえで欠かせないフレームワークの一つです。なぜならカスタマージャーニーマップを作ることによって、顧客接点の強化やCX(顧客体験価値)の向上など、多くのメリットが得られるためです。
しかし一方でカスタマージャーニーマップについて、
「名前は聞いたことがあるけど、よく分かっていない」
「重要性は分かるけど、活用できていない」
「作れと言われたけど、何から手を付けたらよいのか…」
という方も多いのではないでしょうか。
本コラムではカスタマージャーニーマップについて知りたい、作り方を学びたい方に向けて、
- カスタマージャーニーマップとは
- カスタマージャーニーマップを作るための準備
- 作り方の4ステップ
上記3つを中心に解説していきます。
カスタマージャーニーマップとは
そもそもカスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスなどを認知してから購入に至るまでの、顧客の行動・思考・感情・抱えるであろう不満(課題)の変化を洗い出したものです。そしてその過程を時系列でまとめ、顧客と企業の接点(タッチポイント)を整理したものがカスタマージャーニーマップです。
現代はSNSなどデジタルを中心にタッチポイントが多様化し、それに伴い顧客と商品・サービスの関わり方も複雑化しています。そのため顧客の思考・感情と商品・サービスの関わり方を整理できるカスタマージャーニーマップは、現状の課題の把握や効果的なアプローチを検討するうえで有効的です。
そのほかのメリット
共通認識が持てる
マーケティング施策は営業部門やカスタマーサクセス部門など、組織を横断して取り組むことが少なくありません。その際カスタマージャーニーマップがあれば、課題を共通認識として持てるため連携を強化できます。また悩んだ際の指標とすることで、認識のずれも防ぎやすくなるでしょう。
CX(顧客体験価値)の向上
カスタマージャーニーマップによって明らかになった課題を改善することで、CX(顧客体験価値)の向上が期待できます。またCXが向上することで顧客満足度も高まり、結果として他社との差別化にもつながるでしょう。
カスタマージャーニーマップを作るための準備
さまざまなメリットがあるカスタマージャーニーマップですが、ただやみくもに作成しても、そのポテンシャルは発揮されません。まずは下準備として「目的」と「ペルソナ」の設定を行います。
目的を明確にする
カスタマージャーニーマップに限ったことではありませんが、目的を理解しないままで施策を走らせるのはよくありません。まずは何のためにカスタマージャーニーマップを作るのか、ゴールは何なのかをはっきりさせましょう。ここではジュエリーブランドを例に挙げてみます。
目的
新しく販売する20代後半・女性向けのジュエリーの販促のため。人気モデルが監修しており、話題性とデザイン性の高さが売り。
ゴール
ジュエリー購入における購買行動を可視化し、課題を特定。その改善案を打ち出す。
ペルソナを設定する
ペルソナとはターゲットとなる顧客の、具体的な人物像のことです。ターゲットと混同されがちですが、ターゲットの設定よりも、深く詳細に人物像を描くのがペルソナです。
ターゲット
20代後半、女性、会社員、一人暮らし
ペルソナ
年齢:27歳
住所:東京都渋谷区
仕事:IT企業 広報
家族構成:一人暮らし
休日の過ごし方:友人と話題のスポットに行くか、一人でショッピング。雑誌やSNSで見た美容法や料理をトライするのも好き。
価値観:ファッションが好きで、サブスクでファッション雑誌を毎月何冊も読む。新しいもの・話題のものは一通り目を通す。
このような形で具体的な人物を設定することで、商品購入までのプロセスにおける行動や感情がイメージしやすくなります。状況に応じてさらに詳細に設定する場合もあります。
作り方を4ステップで解説
目的とペルソナの設定が終わったら、実際にカスタマージャーニーマップの作成に入りましょう。ここでも先ほどのジュエリーブランドの例を題材に、4つのSTEPに分けて作成方法を解説していきます。
ステップ1:縦軸の項目を決める
まずはマップの縦軸の項目を決めていきます。ペルソナや扱う商品・サービスによっても差異はありますが、下記の項目を入れることが多い傾向にあります。
- ペルソナ:前章で設定したものです。マップの欄外など空いたところに記載する傾向にあります。
- フェーズ:顧客(ペルソナ)の行動をいくつかに分けた軸のことです。
- 行動:フェーズごとの顧客の行動です。
- タッチポイント:顧客と商品・サービスの接点です。
- 思考、感情:フェーズごとに顧客が持つ思考や感情です。
このほか、課題や問題点を書き込むこともあります。
ステップ2:フェーズを設定する
フェーズは顧客が商品・サービスを知ってから購入(または購入後の行動)に至るまでを、ステージごとに分けたものです。シンプルに設定する場合は「認知」「興味関心」「比較検討」「購入」が多いですが、商品・サービスによってアレンジを加えることもあります。
たとえば商業施設を運営する企業が「週末のデート先を探しているカップル」をペルソナ設定した場合、フェーズは「デート先を探す」「デート先を決定」「デート先に行く」「デートする」となるかもしれません。
ステップ3:行動、タッチポイントを記入する
タッチポイントは顧客と商品・サービスの接点のことです。たとえば顧客がSNSを見ていて商品・サービスを知り関心を持ったとします。その場合、タッチポイントは「SNS」、行動は「SNSで商品を知り気になった」となります。
ステップ4:思考、感情を記入する
フェーズごとに、顧客の思考や感情を記入していきます。商品・サービスに対するポジティブな感情だけではなく、ネガティブな感情も適切に書くことがポイントです。なぜなら商品・サービスに触れた人が持つ不満やストレスは、改善点や新しいアイデアを見つけるヒントになるからです。
思考、感情の項目とは別に、課題点や問題点という項目を作っても良いでしょう。
作成時の注意点
マップを埋める際には、あまり多くの情報を詰め込み過ぎないよう注意しましょう。情報が多いとマップが必要以上に複雑化してしまい、肝心の課題が見つけにくくなったり、施策が策定しにくくなったりすることがあります。
また、見やすくきれいにまとめるために図やイラストを用いることもありますが、見栄えを気にしすぎて本来の目的を見失わないように注意しましょう。
まとめ
マーケティング施策を行ううえで欠かせない、カスタマージャーニーマップの作り方について解説してきました。
近年、SNSなどデジタルのタッチポイントが増加していますが、顧客が店舗に訪れるといった従来のタッチポイントも発生し続けるため、顧客と商品・サービスの関わり方は複雑化しています。そのため、顧客の思考・感情と商品・サービスの関わり方を整理できるカスタマージャーニーマップは、現状の課題の把握や効果的なアプローチを検討するうえで有効的です。課題を把握したうえで、どの課題から取り組むべきか優先順位を付ける際にも役立ちます。
しかしフレームワークを知っているだけでは何も始まりません。最近はカスタマージャーニーマップを作成できるツールやテンプレートを配布しているサイトも多数あるため、まずは実際に作ってみることをおすすめします。作ることで課題が見つかり、今後のマーケティング施策に活かされれば幸いです。
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