「スタートアップ×プロ人材」で事業を成長させる
「HiPro」では1社でも多くの地域の企業にとって、プロ人材の活用が当たり前になることを目指し2023年6月から「スキルリターン」プロジェクトを開始、2023年12月からは福岡にて取り組みをスタートしています。
今回は、2024年2月7日に開催した「MEET UP EVENT」より、トークセッション「スタートアップ×プロ人材で事業を成長させる」の様子を紹介します。モデレーターに福岡スタートアップ・コンソーシアム 兼 62Complex株式会社 代表取締役 橋本氏、パネリストにヨクト株式会社 代表取締役 河野氏、ナガク株式会社 取締役COO 進氏を迎え、福岡のスタートアップにおけるプロ人材の活用について意見を交わしました。
スタートアップで広がる、柔軟な人材活用」
橋本:それでは、福岡でスタートアップの経営に携わるお二人に、人材活用の現状を聞いていきたいと思います。まず、組織内に副業として業務に携わっている方はどの程度いらっしゃるのでしょうか?
進:かなり多いですね。具体的にはボードメンバーが2人、副業や業務委託が6名という体制で事業に取り組んでいます。
河野:同じような状況です。私自身がボードメンバーで、残り約5名は副業や業務委託の方々です。
橋本:創業されてから、人材活用の面でどのような変遷を辿られてきたのでしょうか?
河野:現在8期目になるのですが、当初は正社員が1~2名いたものの、事情により退職されました。そんななか、徐々に副業の方に業務をお願いする機会が増え、メンバーも増えていったという感じです。
橋本:「スタートアップに合う・合わない」「会社の文化に合う・合わない」といった点を見極める意味でも、「副業」という関わり方から入るのは良いのかもしれませんね。進さんはいかがでしょうか?
進:副業の方を受け入れるきっかけは、SNSで募集した際に大学生の方から応募があり、そのまま業務委託として携わっていただいたり、前職のつながりでデザインをお願いしたりといった形ですね。
橋本:数年前だと、副業人材メインというという人材計画はなかなか立てなかったのではないかと思います。
進:私たちに限らず、副業の方を受け入れるなど、柔軟な人材活用が一般的になりつつあると感じますね。
橋本:東京や福岡など、地域による違いはありますか?
進:フルリモートで東京在住の方が福岡の会社に関わったり、その逆であったり。はたらき方が増えている印象です。ボーダーレス化が進んでいるのではないでしょうか。
橋本:たしかに、副業に取り組むうえで地方に住むことのデメリットは、なくなりつつあるかもしれません。
河野:私の会社もフルリモートが前提で、東京と長野の方がいらっしゃいますね。福岡在住の方でも、対面でお会いするのは月に一度の食事会程度です。一時期はインドネシア在住の方もいました。
進:同じく、東京・長野・福岡の方に業務をお願いしています。
橋本:スタートアップにとっては、地域にとらわれず人材獲得ができるようになってきたので、よい環境が整いつつあるのかもしれませんね。
河野:ホームページなどで事業内容を見て興味を持ってくれた方、スキルを活かしたいと思ってくれた方からの応募が多いので、地域による制限がないのは大きいですね。
橋本:地域を限定して自社の事業に興味を持つ人材を探すとなると、かなり絞られてしまいますよね。全国から応募可能にすることで、かなり母数が増えると思います。
副業だからこそ「フレキシブルに付き合える」
橋本:なぜ正社員ではなく副業の方に業務をお願いしているのでしょうか?
河野:正社員で採用した場合、抜けてしまったときの影響が大きいというのはあります。副業であれば、人となりやモチベーションを確認しながらお願いする業務の量を調整したり、資金が限られるなかでも、スポットで必要な業務をお願いしたりといった柔軟な人材活用が可能です。
橋本:正社員としてのフルコミットが不要な業務であれば、副業の方と一緒にやるほうが効率はよいのかもしれませんね。進さんはいかがでしょうか?
進:個人的に、雇用形態にはあまりこだわっていません。前職でインドのエンジニアと仕事をした経験などもあり、住んでいる国・地域も気にしないですね。あと、副業だとフレキシブルにその方と関われるというのは大きいです。以前よりもタスクを細分化して、外部の方に業務を委託しやすくなったとも感じています。
橋本:フレキシブルに付き合いやすくなったという点について、もう少し詳しく教えていただけますか?
進:一つは社会の空気感が変わったという点が挙げられます。副業が広がるなか、企業と副業に取り組む個人が同じマインドで取り組めている印象です。あと、オンライン会議などが普及したことで、オフィスや対面を前提としないはたらき方が可能になったのは大きいと思います。
橋本:企業による副業解禁の流れや、オンライン会議ツールの普及は間違いなく関係しているのですね。副業人材と出会うきっかけについて、先ほどSNSでの募集という話がありましたが、そのほかにはどのような方法がありますか?
進:以前勤務していた会社のスタッフにお願いしたり、たまたま出会った方と意気投合したりといったケースがあります。
橋本:リファラル系が多いということですね。特にスタートアップの立ち上げ初期であれば、リファラルに寄るのは自然ともいえると思います。河野さんはいかがでしょうか?
河野:大きく分けてエンジニアとバックオフィス、マーケティングがあるのですが、エンジニアについては完全に知り合い経由などのリファラルですね。あとはSNSでこちらからDMを送り、アプローチすることもあります。過去の更新内容などを見れば、人となりがわかるのと、技術系の方であればプロフィールにスキルや実績がまとめられていることも多いので、参考になります。
橋本:私自身も副業の方々にお手伝いいただく機会が多いものの、当初はやはりリファラルがメインでした。スタートアップにとって、副業人材を探す方法が現状は限られているのかなとも感じています。副業を希望する方々と出会うための仕組みが整ってくれば、スタートアップの底上げにつながりそうな気がしますね。
河野:副業という形で、企業側も副業者側も少し一緒に取り組んでみて「合うかどうか」を見極められるのはメリットですよね。
橋本:ちなみに、副業の方の定着率はいかがでしょうか?
進:まだ立ち上がったばかりの会社ということもありますが、まだ辞めた方はいないですね。今後会社が続くなかで、辞める方が出てくる可能性はあるとは思います。
河野:当社も長い方が多いです。基本的にどの方も1~2年は携わってくれています。本人たちの人生・キャリアのフェーズなどによって抜けることはあるものの、数ヶ月で抜けてしまうというのは少ないですね。4年間はたらいてくれている方もいます。
橋本:私自身の例でいうと、高頻度で入れ替わるというケースがあります。長い方は長いのですが、1~2ヶ月で終了する場合もあります。タスク自体が短期間で終わるというケースや、お互いに合わないという結論になって終了するケースなどですね。人材を見極める際に意識されていることはありますか?
河野:見極めるのは難しいなとは感じるポイントではありますが、結局は人となりを見ることが大事だなと感じています。
進:永遠の経営課題ですよね。その方がどの程度時間を使えるのか、事業やプロダクトを好きになってもらえるのか、人柄はどうかなどを見ています。また共通項がある方のほうが、長続きするようには感じます。
チャレンジ精神豊富な副業人材と、今後も積極的な関わりを
橋本:副業ではたらく方々の印象はいかがでしょうか?
進:正社員と比較してマイナスな面があるかというと、特に感じてはいません。あくまで関わり方が異なるだけなので、企業側がスタンスを変えるのもおかしな話かなと思います。スキルという面では、むしろハイスキルな方が多い印象です。副業に取り組まれているということは、それだけ企業から声がかかっているということでもあります。スキルや信用があったり、社会に求められていたりする方々なので、ハイスキルだなと感じることが多いです。
河野:ハイスキルな方が多いというのは同じ意見ですね。あと、スタートアップとの相性がよいとも感じています。本業がありながらスキルを活かしたいという方は、好奇心旺盛でチャレンジする意欲のある方が多い印象です。
橋本:営業やエンジニアなど、職種による違いはありますでしょうか?
河野:職種による違いはあまり感じません。どのような職種でも、チャレンジ精神やパッションにあふれた方が多い印象です。
進:同じ意見ですね。スタートアップの初期に関わろうとする方々は、チャレンジャータイプが多いのかなと思います。現在は本業を続けつつ副業でチャレンジする環境が整ってきているので、リスクヘッジしやすいという面もあると思います。本業ではできないチャレンジを副業でするという方が、増えていると感じます。
橋本:ありがとうございます。いろいろとお話をうかがって、やはりスタートアップとして副業の方々とも今後も積極的に関わっていくことが、必要だと感じました。
改めまして、本日はありがとうございました。
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