関係人口とは?定義や地方創生とのつながり、取り組み事例をわかりやすく解説

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地域の人口減少や東京一極集中を解消するため、全国各地で地方創生の取り組みが活発化しています。なかでも、地方創生の手段として注目を集めているのが関係人口の創出です。しかし、関係人口が重要であることは認識していても、具体的に何から始めるべきかと悩む地方自治体の関係者は少なくありません。

また、関係人口として副業や兼業という形で地方創生に貢献したいと考える個人の方もいるでしょう。

本記事では、関係人口の定義や地方創生とのつながり、具体的な取り組み事例をご紹介します。関係人口の創出に取り組む地方自治体関係者の方、関係人口としての地域貢献に興味がある方はぜひ参考にしてみてください。

関係人口とは

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ここでは、関係人口について以下3つのポイントで解説します。

  • 関係人口の定義
  • 定住人口との違い
  • 交流人口との違い

順番に見ていきましょう。

関係人口の定義

関係人口について、総務省のサイトでは以下のように定義しています。

移住した『定住人口」でもなく、観光に来た『交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと

出典:関係人口(総務省)

例えば、以下のような人が関係人口に該当します。

  • 仕事で往来している人
  • 二拠点生活をしている人
  • 地域イベントに参画している人
  • 過去その地域に居住・勤務していた人
  • その地域に親族がいる人

定住はしていないものの、その地域と何らかの関係性を持っている人だといえます。地域経済活性化のために人口を増やそうとしても、若い世代の人たちに移住してきてもらうのは難易度が高いでしょう。そこで、関係人口として地域経済に関わってもらう人たちを増やすというアプローチが有効だと考えられているのです。

近年では、個人のはたらき方の多様化が進みました。首都圏の企業に勤務しながら、副業・兼業で地域事業に携わるといったはたらき方も増えています。令和3年に公表された国土交通省の調査では、全国の関係人口は1,800万人超えという結果でした。関係人口とうまく関わりながら地域活性化に成功する自治体が増えており、近年注目度が高まっています。

出典:全国の「関係人口」は 1,800 万人超! 〜「地域との関わりについてのアンケート」調査結果の公表〜(国土交通省)

定住人口との違い

定住人口とは、主な居住地としてその地域に住み、日常生活を送っている人を指します。具体的には、その地域で長年暮らす住民や地域外からの移住者が定住人口に該当します。

定住人口は地域との関わりが密であり、生活そのものが地域経済と結びついているのが特徴です。定住人口1人当たりの年間消費額は国内旅行者(宿泊)23人分にあたるとされ、地域経済の活性化において重要な役割を担っているといえます。

出典:関連データ・資料集(国土交通省観光庁)

しかし、自地域に定住する人口を大幅に増やすことは、多くの自治体にとって困難です。そのため、現実的な地域経済活性化の手段として、関係人口の創出により大きな注目が集まっています。

交流人口との違い

交流人口とは、一時的にその地域を訪れる人を指します。観光やショッピング、レジャーなど、目的は多岐にわたります。 関係人口との違いとしては、地域との関係性が挙げられるでしょう。関係人口の場合、人によって関わり方は異なるものの、継続的に地域と関わっているという特徴があります。一方、交流人口は一時的な目的のために地域を訪れているだけであり、地域社会との深い結びつきはありません。

交流人口が増加すれば、地域産業の発展や雇用促進が見込めます。しかし、継続的な関わりはないため、長期的かつ持続的な発展への影響は限定的といえるでしょう。

関係人口の種類

関係人口には、大きく分けて以下の2種類があります。

  • ファンベース
  • 仕事ベース

どのような人が該当するのか、それぞれわかりやすく解説します。

ファンベース

ファンベースの関係人口とは、趣味や娯楽を通じて地域と交わる人を表します。例としては、地域イベントを通じた交流が挙げられます。ただし、イベント当日だけ参加するといった一過性のものではなく、継続した関係性を築くのが特徴です。

例えば、田植えや祭り、イベント、ふるさと納税などの取り組みに対し、地域外から参加したり開催をサポートしたりといった活動が挙げられます。後述する「仕事ベース」とは異なり、収入を得る目的ではなく純粋な楽しみややりがいのために地域社会と関わる人が対象となります。

仕事ベース

仕事ベースの関係人口とは、フリーランスや副業・兼業といった形で地域外から自治体や地域企業と連携し、活動する人を指します。自身の生活拠点は首都圏などに置きながら、リモートワークで遠隔地から仕事を受注したり、週末に地域を訪れて業務に従事したりします。

本業での経験を活かしながら、プロ人材として自治体・地域企業の発展に貢献する人が増えており、地方創生のためにはこのような仕事ベースの関係人口をいかに増やし、活用していくかが重要だといえるでしょう。従来であれば対面での打ち合わせの実施などがハードルとなっていましたが、リモートワークの浸透により遠隔地に住む人材の活用は現実的な選択肢となっています。

関係人口が注目される理由

近年、関係人口の注目度が高まっている理由としては、以下の2点が挙げられます。

  • 地方創生につながる
  • 個人の多様なはたらき方を実現できる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

地方創生につながる

まず、関係人口の増加は政府が目指す「地方創生」につながることが期待されています。地方創生とは、少子高齢化が進む日本社会のなかで東京圏への人口集中を抑制するとともに、それぞれの地域でよい居住環境を確保し、活力ある日本社会の維持を図るものです。

地方自治体は人口減少と高齢化による経済活動の減速に直面しており、地域と関わり合いながら地方経済を活性化できる人材を必要としています。若い世代の定住人口を増やせるのが理想ですが、居住地の移転は多くの人にとってハードルが高いものです。そこで、定住していなくても関係人口として地域活性化に貢献できる人材の活用が注目されています。

首都圏でビジネスパーソンとして培った経験やスキルを地方に還元してもらえれば、新たなビジネスアイデアの創出などにつながる可能性が高まります。

個人の多様なはたらき方を実現できる

関係人口としての地域貢献は、時間・場所を問わない多様なはたらき方の一つとしても注目されています。政府が副業解禁を推進するなか、新型コロナ感染症の拡大をきっかけとしてリモートワークが広く社会に浸透しました。その結果、本業を続けながらもリモートワークを活用して空いた時間で副業・兼業に取り組む方が増えています。

関係人口としての地域社会への貢献についても、平日はリモートワークで首都圏からサポートし、週末は地域を実際に訪れて打ち合わせをするといった柔軟なはたらき方が可能になっています。また、首都圏と地方の二拠点生活にライフスタイルとしての魅力を感じる方も多いでしょう。関係人口として仕事ベースで地域社会に関われば、本業以外の収入源を増やしながら、思い入れのある地域の維持・発展に貢献できるため、大きなやりがいを感じられる可能性があります。

近年は、地方企業での副業・兼業を紹介するサービスも増えてきました。パーソルキャリア株式会社が運営するHiPro Directでは、地方創生に携われるプロ人材向けの案件を多くご紹介しています。90%以上がリモート案件(2023年5月18日時点)であるため、本業を続けながら地域社会に貢献し、副業収入を得るといったはたらき方が可能です。

副業人材としての地域社会への貢献に興味がある方は、ぜひ案件をチェックしてみてください。

関係人口創出に向けた地方創生の取り組み事例

ここでは、関係人口創出に取り組む地方自治体の事例として、以下の2つをご紹介します。

  • 複業による地域企業と都市部人材のマッチング(岩手県)
  • ワーケーションを活用した地方創生研修(和歌山県)

複業による地域企業と都市部人材のマッチング(岩手県)

岩手県の一関市および釜石市では、地域内の人口減少や担い手不足による中小事業者の承継問題といった課題の解決に向け、「複業する関係人口」に焦点を当てて経済活性化に取り組んでいます。

具体的には、複業希望者に向けた説明会や講座の実施、地元企業との地域協働実践活動、マッチングなどを実施してきました。ターゲットを首都圏ではたらく20代後半〜40代前半のビジネスパーソンと定めて徐々に関係性を構築し、最終的に関係人口として地域経済の発展に貢献できる人材を増やすことが目標となっています。

説明会や講座は首都圏でも実施されており、マッチング度を確認しながら関係性を構築できるため、副業で地域社会に貢献したいと考えている方にも貴重な就業機会だといえます。

参考:総務省モデル事業の取組事例(総務省)

ワーケーションを活用した地方創生研修(和歌山県)

和歌山県、田辺市および白浜町では、2014年度よりワーケーションを活用した地方創生研修を実施しています。

首都圏の企業などのリーダー・管理職層を対象とし、ワーケーションの要素を取り入れた研修プログラムを提供しています。研修のテーマには地域企業のメリットになるような地域課題が設定されており、参加者はビジネスプランの作成やプレゼンに取り組むのが特徴です。

プログラム中はリモートワークに必要な設備の提供などによって通常業務にも支障が出ないよう配慮されており、ワーケーションとして滞在してもらいながら着実に関係性を構築することが可能となっています。地域社会・参加企業の双方にメリットがある形で関係人口の創出につなげている事例だといえます。

参考:総務省モデル事業の取組事例(総務省)

まとめ

本記事では、関係人口の定義や地方創生とのつながり、具体的な取り組み事例をご紹介しました。

人口減少が続く日本社会において、各地で地域経済活性化の取り組みが重要性を増しています。定住人口を増やすのが簡単ではないなか、関係人口として地域に関わる人材が増えれば、新たなビジネスアイデアの創出によって地域経済・地域企業の成長につなげられる可能性が高まります。

また、リモートワークや副業が広く浸透したなか、首都圏の企業に勤める会社員にとっても関係人口としての地方創生への関与は難しいものではなくなりました。本業のスキルや経験を活かし、馴染みある地域の発展に貢献する取り組みは大きなやりがいをもたらしてくれるでしょう。

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