なぜ新規事業はPoCから先に進まないのか?停滞する3つのパターンと「戦略」の共通課題

「PoCまでは進んだのに、先に進まない」

「役員会に上げるたびに差し戻しが続いている」

「気づけばリリース時期が半期ずつ後ろにずれている」

こうした状況に、心当たりはないでしょうか?

本記事では、新規事業がどこで止まりやすいのか、その停滞の裏側にある共通の要因、そしてとるべき打ち手の方向性について、新規事業において豊富な経験と実績を持つプロ人材、白神 敬太氏監修のもと詳しく解説します。

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<今回お話を伺ったプロ人材>

株式会社プリミス 代表取締役 新規事業・商品開発プロジェクトチームコーチ

白神 敬太氏

大手家電メーカーにて約25年商品企画、新規事業開発に携わる。その経験をもっと社会に役立てたいと在職中より企画コンサルタントを開始。その後コーチングを学び、支援スタイルをコーチング型に変更。2020年株式会社プリミスを設立。大手企業から中小企業まで、新規事業、商品開発チームをコーチングで伴走支援している。銀座コーチングスクール チームコーチング講座講師、国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ。

新規事業は「フェーズごと」に止まり方が違う

新規事業はフェーズごとに止まり方が違うため、その原因を探るべくまずは現在のフェーズを確認するところからはじめましょう。

主なフェーズとして、「アイディア創出 → 試行GO → PoC → 事業化」の4つの工程があり、それぞれのフェーズでよく起こる停滞の原因として、以下のようなものが挙げられます。

●    アイディア創出:種が出ない/広がらない

●    試行GO:誰の/何の課題かが曖昧なまま着手

●    PoC:検証の完了条件が決まらないまま続いてしまっている

●    事業化:PoCは通ったのにローンチできない、商品化はしたが事業にならない

 「アイディア創出」から「試行GO」までの前半部分で停滞が起きているのであれば、原因は「アイディアと仮説」にあります。なお前半部分については以下のホワイトペーパーで詳しく取り上げていますので、気になる方はあわせてご覧ください。

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そして、「PoC」から「事業化」までの後半部分で停滞が起きているのであれば、原因は「戦略と計画、そして実行体制」にあると考えられます。次の章からは、自社がどこで停滞するかを確認するために、よくある停滞パターンと原因をご紹介します。

よくある停滞パターンと、その裏側

自社の新規事業が停滞している原因をより深く探るためには、他社で実際に起きた停滞パターンと停滞要因を参考にしたほうが分かりやすいでしょう。

今回、白神氏への取材をもとに、よくある停滞パターンを「経緯」「つまずき」「欠けていたもの」の3つの観点から整理しました。自社の状況と重なる部分がないか、確認しながら読み進めてみてください。

■パターン1:アイディアはあるが、顧客が見えていない

経緯:経営陣の号令で兼務メンバーによるプロジェクトチームが立ち上がり、自社技術を活かした新サービス案が社内で盛り上がる

つまずき:技術がいかに優れているかの説明に終始してしまい、いざパートナー企業へ説明に行っても相手の反応は薄く、検証に付き合ってくれる相手がなかなか見つからない

欠けていたもの:自社の技術や事情を語る「自社視点のストーリー」になっており、誰の/どんな場面の/どの課題を解決するのかという顧客視点が抜け落ちていた。現場に足を運んで声を拾いに行く動きや、実在する具体的な相手、その先にある市場規模の手応えも不足していた

■パターン2:PoCは通ったのに、事業化できない

経緯:PoCで仮説検証はクリアし、企画も無事に承認された

つまずき:あとは導入するのみとなっているにもかかわらずローンチ時期が半期ごとに後ろへずれ、実現時期を疑問視する声が社内であがる一方、チームの意欲が低下してきている

欠けていたもの:企画通過後のリリース日程へのコミットメントが不十分で、また日単位まで詰めたマスタースケジュールが描けておらず進捗が担当者個人の「出来高」に委ねられてしまっていた

■パターン3:経営判断が進まない

経緯:市場調査や競合分析の資料は分厚く揃っている

つまずき:役員会で「それで、いくらの事業になるのか」「なぜうちがやるのか」に答えられず、差し戻しが続く

欠けていたもの:目指す事業規模やビジネスモデル、売上利益計画や投資回収の目安といった事業性の試算が甘く、経営層が期待する数値になっていなかった。事業の性質によって投資回収にかかる年数の前提も変わってくるため、事業規模やビジネスモデルを早期にオーナーと合意できていなかったことが、意思決定を遅らせる要因になっていた

共通しているのは「戦略が決まっていない」こと

 前章で新規事業が停滞する3つのパターンを見てきましたが、3つに共通しているのは「誰に/何を/どこが新しいか/他とどう違うのか」が未定義のまま進み「戦略が決まっていない」状態だという点です。戦略が決まっていないと、実行が場当たり的になり、判断のたびに迷いが生まれる構造に陥りがちです。

 大事なのは「戦略がある」ことです。「戦略がある」とは、次の5つのポイントが決まっていることを指します。

①何のためにやるのか(ミッション/パーパス)

②どんな事業を目指すのか(ビジョン)

③中期プランとロードマップ

④市場でのポジショニングと戦い方

⑤短期ゴールと計画

 5つのポイントのどれかが欠けても、新規事業が停滞するリスクが高まります。

前章のパターン1、2、3を振り返ってみると、それぞれ上記5つのポイントのうち、パターン1では④、パターン2と3では⑤が特に欠けていたケースといえます。

また、新規事業が停滞する要因は、「戦略が決まっていない」ことだけでなく「戦略にとらわれすぎて柔軟に動けない」ことにもあるので、注意しましょう。

 

戦略として決めるための4つの着眼点

前章まで見てきたとおり、新規事業を停滞させずに進めるためには「戦略を決めること」が重要です。戦略を立てるには、前章で挙げた5つのポイントを決める必要がありますが、決定にあたっては「顧客理解」「市場理解」「自社優位性」「事業性」の4つを言語化しておく必要があります。

1. 顧客理解

ターゲットとなる顧客について、「誰の」「どんな場面の」「どの課題を解決するのか」を具体的に決められているかどうかがポイントです。理解したつもりでも、実は言語化できていないケースが少なくありません。

2. 市場理解

新規事業が参入する市場が「既存市場への参入型」なのか「市場創造型」なのかによって、押さえるべきポイントは変わってきます。自社の事業がどちらのタイプに近いのか、見極めることが出発点になります。さらに、期待する事業規模を実現できる市場なのかも見極めましょう。

3. 自社優位性

競合他社と比べて、自社の優位性がどこにあるのかを探ります。「なぜ自社か」「どこが新しいか」「他とどう違うか」を、あらためて言語化できているかがカギです。

4. 事業性

「目指す規模(売上/利益)」「ビジネスモデル」「投資回収の目安」など、事業性を現実的な数字に落とし込めているかを確認します。

 

4つの着眼点は順番に完成させる必要はありません。考えやすいものから着手し、行ったり来たりしながら「この顧客のこの課題に、この市場環境で、自社のこの強みを使い、これだけの事業として成立させる」という1本のストーリーにつなげることがゴールとなります。

社内だけでは埋まらない部分をどうするか?

新規事業を成功させるためには、ここで見てきた4つの着眼点を整理し、戦略を具体化していく必要があります。一見、4つの着眼点を押さえることは容易に見えます。しかし、実際には社内だけでは十分に補いにくい部分もあります。

社内だけでは埋まらない部分とは、たとえば業界知見や利害関係のない客観的な視点、事業化の実務経験などですが、これらはどうしても社内だけでは構造的に不足しがちです。戦略設計を社内の議論だけで進めると、仮説の甘さに誰も気づけないまま投資判断に向かうリスクがあり、事業判断を誤る可能性があります。

そんな社内では埋められないピースを補う選択肢のひとつが、外部知見です。求めるものや関わり方によってさまざまな支援のタイプがあり、自社に合った支援方法を選ぶことで失敗のリスクをおさえ、より高い目標に早く到達しやすくなるでしょう。また、外部知見をプロジェクトへ取り入れるタイミングとしては、比較的早い段階が向いています。戦略を固め切ってしまってからでは、軌道修正が難しくなってしまったり、コストが大きくなってしまったりすることがあるためです。

まとめ

新規事業が停滞してしまうのは、アイディアや頑張りが不足しているわけではありません。改めてここまでを振り返ってみましょう。

停滞する要因として考えられるのが、「戦略が決まっていないこと」です。戦略とは、以下の5つが決まっている状態のことです。

①何のためにやるのか(ミッション/パーパス)

②どんな事業を目指すのか(ビジョン)

③中期プランとロードマップ

④市場でのポジショニングと戦い方

⑤短期ゴールと計画

戦略を決定するためにも、まずは「顧客理解」「市場理解」「自社優位性」「事業性」の4つの着眼点をもとに「誰に/何を/どこが新しいか/他とどう違うのか」を言語化することが重要です。

とはいえ、「言語化」と言われても、実際に何から手をつければよいのか迷う方も多いはずです。 

「では、実際何をどこまで調べれば意思決定できるのか?」

「勝ち筋をどう言語化すればいいのか?」

こうした疑問を解消し、次の一歩を踏み出すために、今回新たにホワイトペーパーをご用意しました。

本ホワイトペーパーでは、次のような内容を解説しています。

■PoC以降で新規事業が停滞する典型的ケースとその共通要因

■「顧客理解・市場理解・自社優位性・事業性」4つの着眼点に対する具体的な深掘り方法

■「勝ち筋」をコンセプトとして言語化する実践法

■着眼点別に整理しておきたい戦略要素のセルフチェック など

▼PoC止まりを抜け出す「勝ち筋」のつくり方はこちらから

自社の新規事業を次のフェーズに進めるためにも、ぜひこの機会にご一読いただき、自社の戦略検討を行う際にお役立てください。

あわせて、前述でもご紹介した「外部知見」の活用についてもご興味をお持ちであれば、「HiPro Biz」も活用の選択肢にくわえてみてはいかがでしょうか。

新規事業にまつわる専門的知見や実績を豊富に有するプロ人材が多数登録されている「HiPro Biz」が、さまざまなケースにおける課題解決をご一緒します。

プロジェクト進行における明確な課題をお持ちの方も、漠然としたお悩みを抱える方も、まずはお気軽にご相談ください。

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