なぜAI導入後にうまくいかないのか?多くの企業に共通する「課題設定」のズレとは

近年、急速に台頭する生成AIの波は、企業内のあらゆる場面にも広く浸透しています。営業支援から顧客対応にいたるまでさまざまな場面に生成AIが導入され、業務効率化などの改善を図ろうとする企業が増えています。

その一方で、導入当初の期待感と現状との間に少なからずギャップや現場での課題感に直面するケースも少なくありません。

本サイト上で公開中の『大手企業におけるAIエージェント活用実態調査』でも、AIエージェント導入・活用において業務への定着や特定領域での成果実感などが寄せられる一方、「解決したい課題がある」との回答が6割以上にのぼるなど明確に課題意識が持たれている傾向も見えてきました。

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そこで今回は、日頃さまざまなお客様と向き合うフロント現場からの声をもとに、ご相談内容を整理し読み解き、そこから見えてきたAI導入後の課題とその「共通項」、また根本的な課題解決につなげるためのポイントについて考えてみたいと思います。

多数の声が寄せられる現場から見えてきた3つのケース

AI導入に関して感じているお悩みは、企業ごとに実にさまざまです。業種や企業規模の違いはもちろん、AI導入を試みている業務によって導入形態なども異なるため一括りにすることは難しいものの、遭遇しやすいケースとして括ってみると寄せられる声の多くに共通するポイントも見えてきます。

ここではまず、「HiPro Biz」に寄せられる数々のご相談の中から、導入後における3つのケースとそのケースごとに想定されるお悩みの声の例をご紹介します。

ケース①AI活用における人材や知見が不足している

企業によっては、つい数年前まで馴染みの薄かったAI活用というテーマに対し、苦手意識や専門領域に対するスキルや知識の不足感を抱くケースも少なくありません。このケースにおける具体的なお悩みの声の例を見てみましょう。

お悩みの声イメージ例:

・AIに対する十分な知見を持った人材が社内に見当たらない

・どの業務からAI化すべきか優先順位判断できる人がいない

・そもそもAIでどんなことができるのか分からない など

ケース②AI導入後の活用拡大や定着までつながらない

AIは導入までがゴールではありません。それをどのように機能させ、活用成果を見出していくか。その導入の先における課題感を抱き、打開を求める声もあります。

お悩みの声イメージ例:

・導入当初は積極利用されたものの、数ヶ月後には利用率が下がってしまった

・一部の担当者や部署では活用継続されているが、その他の部署まで活用が広がらない

・社員ごとに活用頻度やレベルに差があり、全社的に活用の底上げができていない など

ケース③AI活用の実態が見えず導入成果を図りにくい

AI導入を済ませ、活用できている実感も何となくありながら、「具体的にどのくらい活用できているか」「その活用によってどんな成果が得られているか?」までは見えづらいといったケースも寄せられています。

お悩みの声イメージ例:

・AI活用による投資対効果(ROI)を経営層に説明しにくい

・導入したものの、コストに見合う成果を得られているか判断できない

・活用されている感じはするものの、実際の活用度合を図りにくい など

「AI導入後」と一口にいっても、その発生タイミングや視点によって毛色の異なるケースやそれによるお悩みの声の傾向や中身が見えてきました。

この課題テーマやお悩みの声に対し、それらをどのようにとらえ、どのようにして解決の糸口を探っていけばいいのでしょうか?次からもフロント現場からの声をもとに、その具体を深堀していきます。

3ケースに共通する要因は「起点」のとらえ方。課題設定時の「ズレ」にどう対処する?

「現状を何とかせねば」との強い思いで臨む当事者目線でのお悩みに対して、その悩み事が表面的なものであった場合、その表面的課題だけに着目し解決を試みようとしていてはいつまで経っても根本的解決に至りません。

時にそのお声のままを受け取るのではなく、対話を通じ冷静に見極め、客観的視点をもって「本質的な課題はどこにあるのか」を整理することも「HiPro Biz」ならではのアプローチです。

課題設定時に起こりやすいこのような着目点の「ズレ」に、どう対応すべきなのでしょうか。さまざまなお客様のお声と日々向き合うフロント現場での目線を参考に、前述のケース毎に「本質的課題」を見極めるためのポイントを紐解いてみましょう。

共通する要因は、AIを「ツール」として捉え、これを課題起点にしている部分

前述の3つのケースに共通する要因として挙げられるのは、AIを「ツール」として捉え、それを起点として目の前で起こるさまざまな出来事から課題を見つける傾向にある点です。

前述の「ケース①AI活用における人材や知見が不足している」場合から考えてみましょう。

DX化が急進する昨今において、人材や知見というとITスキルなどテクニカルな面を想起しがちですが、角度を変えて掘り下げてみると、異なる観点からのニーズが見えてきます。

たとえばAIエンジニアやデータ分析担当などのAI専門領域での人材よりも、実はビジネスサイドに精通したうえでAI活用の橋渡しができる人材、たとえば自社の事業全容や各事業における業務工程をしっかり把握した上で、「生成AIをどのように活用し、新たな事業付加価値を行うか」「そのためにどんな場面で自動化を推進するのが最適か」といったことを実現できる人材や知見が本質的に求められることも少なくありません。

AIそのものにとらわれず、自社の「目的起点」から本質的課題を見極める

ではどのように本質的課題を見極めればいいのでしょうか?

その際に重要なのは、AIという「ツールありき」での視点よりも、AIを通じてどのような自社の価値づくりを行いたいか?といった「目的ありき」での視点を持って臨むことです。

具体的な整理の流れについて考えてみましょう。

例:「自社事業における新価値創出のためのAI活用」

▼自社事業で成し遂げたいこと、新たに提供したい価値は何か?を定義

▼それを実現するためにどんな業務プロセスが発生するか?の把握

▼そのプロセスにおいてどんな場面でどのようにAI活用するのが最適か?の整理

▼自社におけるAI活用の定義(たとえば機械的業務に対するAI置き換えなど)を設計

▼ここまでをふまえ、自社AI活用にはどんな知見や人材が足りていないか?を洗い出し

このように「ツールありき」でなく「目的ありき」での逆算によってあらかじめAI活用のストーリーを立てることで、より本質的な課題を見極めるための糸口を導けるかもしれません。同じような視点をもって、他のケースも見てみてみましょう。

「ケース②AI導入後の活用拡大や定着までつながらない」の場合、たとえばAIの活用率向上や活用社員を増やすこと自体が目的化してしまうと、「導入によって成し遂げたい成果は何か?」という本来の目的が見えにくくなってしまいます。

社員全員がAI活用を積極的に進めた結果、自社にどんな良い変化や恩恵がもたらされるのか?その変化によってどのような新価値を顧客に提供できるようになるのか?そんな視点からの整理から始めることで、取り組むべき優先課題が見えてくるのではないでしょうか。

同様に、「ケース③AI活用の実態が見えず導入成果を図りにくい」の場合についても、事業目的に基づき、「その目的達成のためにどんな成果が得られればAI導入成功といえるか」「その成果獲得のためにどのようにAI活用実態を把握するか」といった観点から指標を設けてみてはいかがでしょうか?

AI活用実態を数値化すること自体は難しいものでなく、たとえば管理システムの導入やアンケートによるモニタリングなどによって、定量的に把握することは可能です。ただ、こうしたアウトプット(何を生み出したか)へ執着するあまり、アウトカム(その結果、どのような変化や成果を生まれたか)を見据えた課題整理にまで至っていないとしたら、この視点の見落としそのものも本質的な課題といえるのかもしれません。

ここまで、AI導入後の3つのケースにおいて、どのように本質的課題を探り解決につなげるかを整理してきました。そしてその見極めポイントを見てみると、改めて「目的起点で課題をとらえる」ことの重要性が見えてきます。

AIをツールとしてとらえ、その結果もたらされる目の前の事象に対して課題認識するのではなく、「自社事業で何を成し遂げるか」「そのためにどのような目的でAI活用を行いたいか」この目的を起点に、まず企業としてどのような価値を創造したいのか考え、そのプロセスを明確化、その過程においてAI活用しうる業務シーンはどんなものがあるのか整理し、課題を見極めていくことが重要ではないでしょうか。その意味からも、「目的起点」とは別に「事業起点」としてもとらえることができるかもしれません。

目的起点、事業起点によって導入されたAIにより業務効率改善が実現した結果、たとえば事務作業の工数削減により新たに生まれた時間を、お客様との接点を増やし議論を深め、より付加価値の高い新たな提案に費やす、といったことまで自然とストーリーが描けるようになれば、それはひとつの本質的課題解決といえるのではないでしょうか。

まとめ

AI活用が急速に進む現代ですが、その社会実装はまだまだ初期段階であるともいえ、目の前の課題が見えていても、実は本質的な課題に気づきにくいというケースも少なくありません。社内の知見を醸成するとともに、たとえば外部による客観的な視点を積極的に取り入れることも有効な選択肢となるかもしれません。

お客様からさまざまに寄せられるお悩みごとに対し、時にヒアリングや壁打ちによる客観的な課題整理を通じ、本質的課題解決をリードできるのも「HiPro Biz」の強みのひとつです。

表面的に浮彫になる課題だけに着目するのではなく、さらにその背景やこれまでの経緯を丁寧に掘り下げていくことで、最も解決したい本質的課題が見えてくるのではないでしょうか。

「本質的課題を見つけ、抜本的な解決を実現したい」そんなお考えをお持ちの方はぜひお気軽に問い合わせ頂ければと思います。

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